07月16日~18日 古里の名峠道を走る(3)-磐梯吾妻スカイライン後半(雨天編)の巻き | Cycling Wonder

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プレスポで行く神奈川の道

吾妻小富士に対する長年にわたる個人的なモヤモヤに決着がついた第3回です。
今回は土湯側出口までのレポートに変更です。
 
■見所
★浄土平
磐梯吾妻スカイラインの中間地点の標高1,600メートルに広がる平原。
一切経山の火山噴火により生成された火山荒原や、針葉樹林の原生林及び沼や湿原が点在している。
駐車場、ビジターセンター、レストハウス、天文台、木道が設置・整備されている。
「浄土平」の由来は、吾妻山は古くから信仰の山として栄え、山伏修行のための駆け道(登山道)が通じていた。
駆け道沿にあった「浄土平」は、山に囲まれた鮮やかな花々に満ちた平坦地で、極楽浄土のように思えたことから名付けられたと考えられている。

 

★吾妻小富士(あづまこふじ)
福島県福島市にある標高1,707mの山。
本来の名前は「摺鉢山」と言い、吾妻連峰のひとつ。
中央にある大きな火口と東側に広がる山すその形から、小さな富士山のように見える事から”吾妻小富士”と名が付いた。
毎年春の田植えの時期に「種まき兎」や「雪うさぎ」といわれる雪形が東側斜面に現れる。
浄土平駐車場から10分程度で火口壁に立つことができ、釜めぐり一周が約40分。福島盆地の展望を楽しめます。

 

★桶沼(おけぬま)
桶沼はスカイラインを挟み、浄土平の南に位置します。
樹木に囲まれた火口跡は水をたたえ、新緑や紅葉時は特に映えます。
3ヶ所の登り口は沼畔で合流し、斎藤茂吉の歌碑があります。

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桶沼コース
http://www.bes.or.jp/joudo/vc/sansaku/course3.htm
 片道20分ほど。自然探勝路をその先、兎平や鳥子平まで足を伸ばしてみるのもいいでしょう。

 

★一切経山(いっさいきょうざん)
標高:1,949m。
浄土平の北側にある現在も噴気をあげる活火山です。
浄土平から一切経山への登山ルートはきつい登り坂である。
しかし、山頂から望む景色はここで一番であり登り甲斐がある。
そして、この山からでないと見ることが出来ない五色沼(魔女の瞳)の眺めは格別だそうだ。
 
※規制情報
'15/7月現在、吾妻山噴火警戒レベル2による火山周辺規制により、浄土平から一切経山への登山道が一部を除き通行できません。
吾妻山登山道通行規制[PDF 83KB]
http://www.env.go.jp/park/bandai/guide/joudodaira/course/pdf/150327aa.pdf
 
★五色沼(ごしきぬま)
吾妻連峰一切経山の山腹にある火口湖である。
直径約300mの火口の中に水をたたえ、太陽の光具合いろんな色に変化する。
コバルトブルーの飲み込まれそうな美しさから、「魔女の瞳」や「吾妻の瞳」とも呼ばれる。
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磐梯山の北側、裏磐梯にある同名の湖沼群とは異なる。
 
■吾妻小富士に関するモヤモヤ
子供の頃から感じていた事なのだが、吾妻小富士の火口の大きさが、麓からと写真(西側から)で随分差があるのだ。
「何故だろう?」
毎日見ていたのは山の東側の麓である福島市街のはずれ、東北新幹線ホームからとほぼ同じ。
こちらからだと、あたかも富士山の山頂のように見える。(火口が小さく山すそが長い)
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ところが、西の山から撮られた写真を見ると、まさに擂鉢で胴長短足に見える。
てっきり吾妻連峰全体が東に傾いているからだとずっと思っていた。
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↑これは、西にある山の登山道から

 

今回実際に見て、自分の勘違いがはっきりと分かりました。

真相はと言うと、
”福島市街からは吾妻小富士の火口はまったく見えない”
”火口と思っているのは、火口のように見える植生である”
 

モヤモヤは解消されたが、ちょっとショックである。

吾妻小富士の火口は東側が高い。西に開いた火口を東の下から見えるはずがないのだ。
ならば何が火口と勘違いしていたのかと言うと、
山の東側にある植生のかたまりが、山肌と色の違いから遠目で見ると火口の様に見えたのだ。

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↑西側から水平に近い角度で撮られた画像を見れば一目瞭然です。

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↑山の近撮画像やGoogleマップの航空写真モードで、吾妻小富士の火口アップを見ると分かるだろう。火口があってこそ富士山なので、火口じゃないなら、”フジツボ”ですね。
 
■マップ
(1)浄土平

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(2)浄土平~土湯側まで
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土湯側は。高低差が少ないため楽に走行できる。
一箇所、”
段差に注意”の掲示がある場所だけ減速すれば、他は問題ない。

 
■実走報告
(11)浄土平
11:55、浄土平に到着。

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有料駐車場を通り抜け、真っ先に向かうは浄土平ビジターセンター。
浄土平のレイアウトはGoogleマップで学習済みだったが、どんなことが出来るのかまでは把握して来なかった。
「現地で大丈夫だろう」と簡単に考えていた。
どうも、春先から一切経山は火山性ガス発生で入山出来ないとのこと。

吾妻小富士に登ることなら私にも出来そうだ。
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駐車場から見上げるすり鉢山の火口は、すぐ近くに思えた(200mほど)

駐車場を歩いていると、ウェスタンハットに見事な口ひげの温和なシニアに話しかけられた。
「あなた、さっき坂を上っていた自転車の方でしょう」
「すごいね、あんな坂上ってくるなんて、私じゃとても無理だよ」(温和)
「いえいえ、何度も休んでますから」
「それに、ゆっくり走れば思ったほどきつくないんですよ」(俺)
 
この方、ご夫人と2人でキャンピングカー(千葉)で日本中を気ままに旅している最中だとか
(なんともうらやましい)
小富士に登るかどうかは下りてきた人に聞くと言う。
結局、私の後から夫人だけが登ってきた。
この夫人は健脚で火口歩きで抜かれてしまいました。
 
(12)吾妻小富士火口
12:06、西側から上り始めて、12:13にあっという間に火口到着。

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山の山容に対して火口が大きい、まさに”擂鉢”だが、”フジツボ”の方が合っている気がする。
火口底には何もありません。(火口へ下りることは禁止されている)
小さい山だが近くで見ると自然の力(噴火のエネルギー)に驚く。
せっかくなので火口を反時計回りで一周してみた。
火口を一周することを“お鉢回り”と呼ぶそうだ。

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↑お鉢回りスタート
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↑ここにも桶沼は写っていた。
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途中の風が強いのなんの、少し身構えるようにしないとよろけてしまう。
火口の東側(福島市街側)に来ると雲に囲まれて視界不良となる。

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「何にも見えません」
 

諦めて、東側の所でしばし雲を眺める。
そしたら、奇跡が起きた。
風が強まり、一瞬にして雲が流れていく。
もの凄いスピードで雲が切れていく。
(山の天気は恐ろしいな)
一瞬だが山すそが見えた。遠くに小さな沼は2つ見えたけど、期待した近くに大きな沼はありませんでした。

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↑猛スピードで雲が晴れた。

 

(13)桶沼
前から歩いて来た、地元民と思える親子(息子40歳代、母は元気)に聞いてみた。
「沼が見えると思ったんですけどないんですね」(俺)
「こっちにはない、もっと向こうの方にならあるよ」(息子)
と、私が歩いてきた方を指差す。
「あっ、そうなの」(俺)
来た道を戻る、戻る、戻る。ずいぶん戻った。

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「ほら、あそこの四角い看板の下に見えてる」(息子)
指差す先を追っても、私には分からない。
「分かりません」(俺)
「あの緑のこんもりとした桶みたいなの、みえっかい」(母)
「ほら、そこに、横に長く、みえっぴした」(息子)
「うーー、み・え・ま・せん」(俺)
「ん?」
「もしかして、斜め横に筋みたいに見えるやつですか?」(俺)
「そう、それ」(息子)

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(なんだ、”ぬま”見たいには見えないのか)

「それは、向かいの山にのぼんないと無理」(息子)
「ホントは一切経山の登山道からがいいのない、でも、いまのぼらんにんだ」(母)
「こっちの脇の鎌沼の方なら、いけっかもしんないね」(母)
「なるほど、いろいろ、ありがとうございます」
「桶沼に後で寄ってみます」(俺)
2/3ほど進んで1/3まで戻り、また向きを変えて火口を一周した。

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13:06、駐車場に下山完了。随分時間が掛かってしまった。

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(14)天候急変
レストハウスで昼食を取る。先客を見ると、さっき火口歩きで会話した人全てがいた。
食事の間、窓から見える周りの様子がおかしい。
天気予報が当たってしまったようだ。
食事を終えてレストハウスを出てみると、雨だった。

 

すぐには走り出す気になれず、軽食コーナーに向かう。
ソフトクリームを食べる気はしない、コーヒーで一息入れよう。
トレッキングツアーの団体客の中で、浮いた感じだが気にしない。
と、ここで大ベテランな方に話しかけられた。
 

「さっき火口で追い抜かれましたが、若いと体力ありますね」(大ベテラン)
「いやいや、そんなことないですよ」(俺)
聞くと、お歳は83歳で、昔は仲間と山に良く登ったと言う元山男の方でした。
なんでも75歳を過ぎたら急激に体力が落ちてしまって、皆に付いて行けなくなった。
迷惑をかけるので、それからは初心者向けのお手軽ツアーに時々参加していると言う。
浄土平で自由時間が2時間あり、この後蔵王に回ると言う、夜はどこかの温泉で宿泊するそうだ。
 

「体力が急に落ちちゃって」と言う時、はにかんで笑う姿が、ちょっと悲しかった。

(そうか、そうだな、あんまり75歳を越えるサイクリストって聞いたことないな)
(今年俺は55歳、あと何年乗れるのかな...考えちゃった)
泣きが入りそうなので、考えるのを止めた。

 

元山男の爺さんが乗り込んだバスが出るのを見送り、駐車場にはもうキャンピングカーしか停まってない。
さて、カッパを着て俺も行こうかなっと。

14:10、浄土平駐車場を後にする。

 

(15)桶沼と浄土平湿原
14:13、桶沼の入口に到着。
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「近すぎる、歩いて来れる」


ブツブツ言いながら道を進むと、霧に覆われてなんだか分からない所に出た。
「たぶんこの前が沼だね」
さっきの山と同じだろう、ちょっと待つ。
ちょっと霧が晴れて沼の輪郭が確認できた。
「確かに”桶”ですね」
ここは西側の山腹から、擂鉢山と桶沼を見渡すのが正解だな。残念。
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↑シャクナゲですね


ついでなので、道端にプレスポを置いて、木道を少し歩いてみた。浄土平湿原は木道が通っている。植生はイマイチだが、散歩には良いのではないでしょうか。

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(16)道路最高点1622m
14:47、スカイラインに復帰してすぐ標高1600m表示地点を通過する。

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14:52、浄土平駐車場から2.5kmほどで道路の最高標高地点を通過する。
ここは長い直線道路となっており、晴れていたら相当気分がいいだろう。
なんでも、春には雪の回廊を見ることができる場所らしい。
今日は雨だ。最悪な気分。



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(17)土湯側出口
道は下り基調になり楽になるが、視界は最悪で、ビューポイントはことごとく何も見えず。
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↑怪しい建物が見える(幕川温泉)
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「参った、なんにも見えねぇ!」(T.T)
(昨日写真撮っといて良かった)
後半のビューポイント4つ(双竜の辻、天風境、湖見峠、国見台)は全滅しました。


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15:36、土湯側ゲート跡に到着。
会津側の景色は次回のお楽しみとして残しておこう。
日本の道100選ゲートを抜けると、道が左右に分かれる。
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土湯街道から帰宅までは、第3回に入り切りませんでした。
雨の土湯街道と土湯バイパスは次回にレポートします。
 
(⌒_⌒)v いぇ~い!
 
■本日のデータ
・出発時刻-到着時刻(実時間)=07:30-17:20(09:50)
・乗車時間=04:58:37
・距離=72.45[km]
・AVE=14.5[km/hr]
・Max=54.8[km/hr]
・累積走行距離=2342.7[km](サイコンの設定を間違えてましたので再集計)
 
■感想
満足( ̄ー ̄)、満足( ̄ー
満足1つ半です。1つか2つか迷ったので。
浄土平は晴れでも雨でも楽しめた。残念なのはスカイラインの後半、会津側は曇りだとどうしようもない。
天気が良ければ良いのは分かっているだけに残念だ。
 
ではでは(⌒O⌒)
 
■参考URL
※1.スカイライン交通情報 - 福島県ホームページ
http://www.pref.fukushima.lg.jp/sec/41310a/bandaiazumaskyline.html

道路規制情報は道路管理課のホームページをご覧ください。
http://www.pref.fukushima.jp/douro/kisei/kisei-map.htm

 

※2.森林限界の絶景 浄土平ヒルクライム(土湯~高湯) - ひなたびBLOG
http://www.hinatabi.com/blog/20130218_jyododaira_hillclimb.html
↑2013/2/18
クロスバイクで土湯→高湯周りレポート。珍しい浄土平に近い山小屋「吾妻小舎」に宿泊。
朝、吾妻小富士に上がれるのは魅力的。

 

※3.浄土平ビジターセンター
http://www.bes.or.jp/joudo/vc/index.html
”浄土平をとりまく自然”でテーマ別に紹介(「山」、「湿原」、「沼」、「植物」、「星」)。
”浄土平散策コース案内”で5コース紹介
・浄土平湿原散策【お手軽】一周約20分
・吾妻小富士コース【短時間】駐車場から周遊1時間
・桶沼コース【短時間】片道約20分
・鎌沼コース【一般向け】約2時間弱
・一切経山コース【一般向け】約3時間少々

 

※4.一目瞭然!吾妻小富士
http://www012.upp.so-net.ne.jp/joudo/kofuji.htm
一目瞭然!浄土平