『白鷺庵』老舗旅館再生の物語 第1巻から第3巻まで
これは、崩れかけた宿の再生の物語である。
人は足りているはずなのに、誰もが追い詰められている。
走り続けても終わらない仕事。
笑顔の裏で、体力も、気力も、静かに削られていく。
売上はある。だが、手元に金はない。
このままでは、この宿は壊れる。
「一人では無理だ。全員でやるしかない」
現場、フロント、厨房、そして経営。
分断された仕事をつなぎ直し、全員で支える体制へ——。
その決断は、避けてきた現実と向き合うことでもあった。
過剰な人員、無駄なコスト、続けられないやり方。
それらを見直すことは、誰かの役割や働き方を変えることを意味する。
何かを残すためには、何かを手放さなければならない。
だが、それはまだ始まりにすぎない。
外から見れば、白鷺庵はこれまでと同じように動いている。
しかしその内側では、確実に歯車がずれ始めていた。
小さな宿から、大きすぎる器へ。
その歪みを抱えたまま——
白鷺庵は、次の一歩を踏み出そうとしていた。