低音の印象が強い彼の声だが、実際には高音域の声だった。 | ビリー諸川の生涯ロカビリー!!

ビリー諸川の生涯ロカビリー!!

ロカビリー一筋40年!
日本で、いや東洋で唯一エルヴィスのバッキングメンバー達とレコーディングした
ロカビリーの伝承者、ビリー諸川が送る公式ブログ

〈ラヴ・ミー・テンダー〉や〈ラヴィング・ユー〉で聞かれるような口ごもる、甘い低音のイメージが強いエルヴィスの声だが、実際には彼の声は高い声域に属するものだった。
〈監獄ロック〉や〈恋の大穴〉はその一例といっていい。

その高音域の声をエルヴィスは軍隊時代にさらに磨きをかけた。
チャーリー・ホッジとエルヴィスは毎晩どうしたら音域が広がるのか、高音を安定して出せるのかを研究していた。
喉からでなく横隔膜から力強く発声するよう心がけた。
おかげで彼の声域は下がGから上がBまでの2オクターブと3分の1というポピュラー歌手では稀な広い音域の声の持ち主となった。
そうして生まれたのが〈イッツ・ナウ・オア・ネヴァー〉であり、〈サレンダー〉だった。
ベルカント唱法を体得したエルヴィスは言っている。「同じ音楽でももっと気持ちが込もっているものさ」

【深層その1】高音域を広げたが、低音域には手こずったエルヴィスだった。
彼はゴスペル歌手のバス・シンガーのパートにも強く魅かれていて、その低音を出そうと相当努力したが、低音域はなかなか広がらなかった。

【深層その2】かつてティーンエイジャーのとき、ジェシー・リー・デンソンから“女々しい声”と評された声を、エルヴィスはこうした日頃の努力と研究の積み重ねによって克服していった。