エルヴィスの登場で、各レコード会社は“第2のエルヴィス”の発掘に躍起になった。
そのなかでも早い時期に登場したのが、キャピトル・レコードからデビューしたジーン・ヴィンセントだった。彼はキャピトルのオーディションで〈ハートブレイク・ホテル〉をうたい合格。1956年6月に自身のオリジナル・ソング〈ビー・バップ・ア・ルーラ〉でデビューした。ところが、ヴィンセントの震えるような高音、そしてうたい方はエルヴィスの母親と、エルヴィスのバンド・メンバーを錯覚させた。
ラジオから流れてくるヴィンセントの声を聞いて、エルヴィスの母は息子に今度の新曲はとてもいい、と言った。またエルヴィスのバンド・メンバーたちは、その歌声
を聞いて、自分たちに内緒で別のバンドを使って録音した、とエルヴィスを攻めたてた。
【深層その1】ロックン・ロールは、エルヴィスより自分が先に始めたものだと公言してはばからなかったジーン・ヴィンセントは、ある日、エルヴィスと彼の故郷であるノーフォークの駅ではち合わせとなった。
そのとき、ヴィンセントは“ロックン・ロールの創始者”のエルヴィスを目の前にしてビビり、絶句した。いっぽうエルヴィスは「やあ!」と声をかけている。