平凡社から5月に出版される本の原稿のチェック入れをしてもらうために、佐々木功さんのご自宅にお邪魔した。手ぶらで行くわけはいかないので、僕の地元で人気の和菓子屋で、苺大福を買って行った。
佐々木さんとは、僕がパーソナリティーを務めている衛星ラジオにゲストで来て頂いて以来、年賀状のやりとりを欠かさない仲である。
佐々木さんは、いつもの笑顔で僕を出迎えてくれた。
オーディオ・マニアの佐々木さんならではの応接室に通される。でっかいスクリーンが印象的だ。
あの美声で改めてウエルカムしてくれる。アミノサプリのコマーシャルの声が僕の頭のなかに流れる。いつ聞いても良い声だ。僕は佐々木さんの声を“筋肉を持つ声”と称している。
佐々木さんに原稿のチェックをお願いしている間、お手伝いさんが僕が持参した苺大福とお茶を、テーブルに運んでくれた。
本に使うジャズ喫茶に出演していた時代の写真が必要だと知って、佐々木さんは自らパソコンを操作して、ファイルされていた当時の写真をいくつかプリントアウトして下さった。片手には、苺大福があった。佐々木さんは、ガブリとその苺大福をほおばった。そのときである。
「いやあ、これは驚いた!ビリーさん、大福のなかに苺が入っているよ!うまい!」
シルベスター・スタローンが、コンドルのジョーが、エルヴィスが……、いや佐々木さんが、感嘆の声をあげたのである。
「佐々木さん、だから苺大福っていうんですよ」
「へえ。初めて食べたよ…」
僕は僕のぶんとして出された苺大福をそのままにして、佐々木さん宅をあとにした。その苺大福も佐々木さんが食べてくれたことを祈って…。