黒人のブルース歌手がリズムを強調するときに使う“ギター・スラップ”という、ギターのボディを叩く技法をエルヴィスは早くから自分のレコーディングで用いていた。
幼少時に、黒人街のそばで育ったことが、多分に影響してのものだった。
1954年に録音された〈お日様なんか出なくてもかまわない〉から、56年の〈冷たくしないで〉、〈恋にしびれて〉、57年の〈やさしくしてね〉、〈愛していると言ったっけ〉、58年の〈思い出の指環〉など、1950年代の楽曲にはこの技法が用いられたものが多くある。
こういった技法を用いるというセンスは、彼が単なる歌手ではなく、実は優れたミュージシャンだったということが裏付けされている事実だ。
【深層その1】〈思い出の指環〉では、“ギター・スラップ”をわざわざオーヴァーダブする凝りようだった。