両親に溺愛されて育ったエルヴィスは潔癖症だった。
思春期を迎えても2歳の幼子に接するかのごとく親密な関係を形成してきたプレスリー家で、例え親戚といえども他人がエルヴィスのものに触るというのはタブーだった。
ある親戚の子供がエルヴィスの本に触ろうとしたとき、エルヴィスの祖母からその子供は「その本にさわっちゃダメだよ。ワタシがエルヴィスに怒られてしまうからね」と注意された。
また親戚同士の夕食などで、親類の人間が食事のセッティングをしているときも、グラディスから「これと、これがエルヴィスのものだから」と言われて、彼の座る席にセッティングするよう彼らは命じられた。
仮に、もしエルヴィスのお皿や、ボウルを誰かが使ったことをエルヴィス自身が知ってしまったら、そのあとはひと口も食べない、というのがエルヴィスの常だった。
彼のこうした潔癖症は生涯続いた。
【深層その1】コーヒーを飲むにも彼はマグカップの取っ手のところの縁に口をつけ飲んでいた。万が一、誰かが口をつけていたらという懸念がそうさせた。
【深層その2】食事のマナーとでもいうか、後年、食卓にごちそうが並べられても、例え冷めようともエルヴィスより先に食べることは絶対に許されなかった。