長髪を理由にフットボール・チームを辞めさせられた。 | ビリー諸川の生涯ロカビリー!!

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ロカビリー一筋40年!
日本で、いや東洋で唯一エルヴィスのバッキングメンバー達とレコーディングした
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メンフィスに移り住んだエルヴィスが体が痩せるほど興味を持って熱中したのがフットボールだった。彼は友人たちと自宅近くにあった貯水池の広場などでプレイした。
ときには黒人たちとのチームとも対戦した。

そして彼が高校2年のとき、彼が通うヒュームズ高校のヒュームズ・ハイ・タイガースに加わることとなった。
彼のポジションはエンドだった。
体が少し小柄だったため、組織的にボールを動かすといったことには慣れていなかったが、タックルなどぶち当たっていくことはいつも本気で力いっぱいやっていた。

彼がチームに加わったその年、ヒュームズ高校は十数試合のゲームがあったが、そのうちの何試合かにエルヴィスは出場した。
ディフェンスだったため、タッチダウンなど表だった活躍こそなかったものの、プレイヤーとしてはなかなかのものだったと、当時の同級生たちが証言している。

しかし、体がやせるほど熱中していたフットボールを辞めざるをえなくなることが起きてしまう。

彼がチームに入って1年が過ぎた頃、彼はそれまでの自分から新たな自分を創造した。
当時の彼が憧景の念を抱いていたトラック運転手のように見えるようにと髪の毛を伸ばし、たっぷりとしたもみあげをたくわえ、服は黒人たちがたむろするビール・ストリートの中央に店を置く『ランスキー』で黒人の伊達男たちが買い求めるような、イタリアン・カラーのピンクのシャツに、サイドに黒のステッチが入ったピンクのスラックス、そして白のバック・シューズという、白人ではとても考えられない独自のファッションを用いて新しい自分を形成したのだった。

その姿に驚いたのはフットボールのチームメイトだった。
白人のクセして黒人の格好をするとは何事だ、スポーツマンの風上にもおけない奴だ、とエルヴィスを罵った彼らは、その長髪を切ってやろうとロッカールームでエルヴィスに襲いかかった。
エルヴィスは必死の思いでその場を逃れたが、チームのコーチも選手たちと同様だった。彼はエルヴィスにその長い髪を切ってくるよう指示し、もし切ってこないならチームを辞めてもらうことになるとエルヴィスに告げた。
結局エルヴィスはそのスタイルを頑として貫き、彼はチームを辞めた。

【深層その1】エルヴィスはマッチョな長距離のトラック運転手に憧れていた。彼はよく彼らの姿を道路脇に座り込んで見ていた。

【深層その2】フットボール・チームに加わる前、エルヴィスはヒュームズ高校の対戦チームのひとりが試合後バスのなかから、自分の高校のコーチにケチをつけたということで、そいつのところまで走っていき、骨ばった腕をふりあげて窓越しにその男の鼻っ柱を殴りつけ、黙らせてしまったことがあった。

【深層その3】フットボールのチーム・メイトのみならず、エルヴィスの突飛なファッションはすべての男子学生の格好のイジメの的となった。そんななかである日、不良どもにトイレへ連れ込まれ、怯えるエルヴィスを救ったのが、のちにエルヴィスの最初の取り巻きとなるレッド・ウエストで、歳はエルヴィスよりひとつ下だったが、ヒュームズ高校でも敵知らずの腕力の持ち主だった。彼はエルヴィスを脅す不良どもを片っ端から叩きのめした。「そいつがどんな格好をしようとそいつの勝手じゃないか。それ以上そいつに文句があるならオレがカタをつけるぜ」というのが、レッドの決めゼリフだった。