自転車タイムスリップ「セキネ ウルフVX編」
さて、話の続きとしては、いよいよ“超激安”なんちゃってマウンテンバイクの選定と購入ということになるのだが、その前にかつての私の愛車を紹介しよう。
といっても左にある写真の自転車(ロードバイク)のことではない。(ちなみにこれは現在の私の愛車だが、それについては後日きっちり紹介したい。)今を遡ることウン十ウン年前に所有していたセキネの自転車についてである。
何しろ70年代初期にあった少年向け自転車は大変興味深い。当時少年たちの間で流行っていた自転車は、およそ自転車には不要なギミックが異様に肥大化した、電動メカ満載マシーンたちであった。
私もその例に漏れず、そういった自転車に心をときめかせたひとりだったのだが、小学校5年か6年のときの誕生プレゼントに買ってもらった、[超高額ラジオ付きギミック満載自転車]について紹介したい。
こういったギミック付き自転車は、1950年代のテールフィン付き大型アメ車よろしく、今では完全に絶滅してしまったものだが(誰か新車状態で保管している人はいないのだろうか?もう一度実物を見てみたい)、考えれば考えるほど興味深い。
そのギミック満載自転車の名は
「セキネ VX-GTO」(ウルフVX-GTOだったかも)
そう、名前からしてどこか間違ってる。なんだか自転車であることを拒否しているみたいだ。
ひとつひとつ特徴を挙げると、
●超大型15石電子フラッシャー搭載!
つまりは巨大方向指示器が付いているわけだ。あの流れる方向指示器である。「ピピピラ、ピピピラ」という音まで出る。電光表示面だけで約30ch×15cmくらいの大きさがあったと思う。大きさだけでなく、相当な重量があったと想像する。ヒルクライムにはこれでは出たくない。
そして「15石」というところがキモで、つまりこれはトランジスターの数を表しているのだが(そういえばこの表現も死語になってる)、数が多いほどエライのだ。それまではブリジストンかどこかの電子メカが12石くらいだったので、当然このセキネの電子メカの方がエライことになる。
また、この電子ユニットにはフラッシャーの他にストップランプ、テールランプまで付いていた。夜間の走行が非常に安全である。なんと子供の安全を考えた自転車だろうか!
電池は確か単一電池をしこたま入れたような記憶がある(重っ!)
●ラジオ付きスピードメーター&ヘッドライトユニット
距離計内蔵のスピードメーターユニットも当然装備されている。これは今の自転車と違い、前輪のハブから機械的にスピードを計測するので、若干パワーロスが発生しているはずである。やはりこの自転車でFujiチャレンジ200には出るべきではない。
そして何と言っても特筆すべきは、ラジオの装備である(もちろんAMだ)。おまけに自動車にあるような伸縮式アンテナまで付いている。ラジオはもちろんちゃんと聞こえる。(ちなみに、親戚の家までロングツーリングにこの自転車で行った際もラジオを聞きながら走った。これはこれで悪くなかった。) おそらくスポーツ系自転車にラジオを装備したのは空前絶後、後にも先にもこのVX-GTOだけだろう…。
もちろんこのスピードメーターユニットにも方向指示器は付いている。点滅するだけのやつだったが。
ヘッドライトはもちろんLEDではない。走行抵抗になるダイナモライトである。
●前輪ディスクブレーキ
これはこの当時最先端だった。キャリパーブレーキでもカンチブレーキでもない。ディスクである。ただその目的は不明である。現在のマウンテンバイクがディスクブレーキを装備するのとは根本的に思想が異なる気がする。効きはそれほど良くなかったような…(ただその当時のサイドプルブレーキは全般的に効きが悪かったような気もするので、こちらの方がマシだったかも…)
ただここでセキネを評価したいのは前輪にディスクを採用したことである(後輪は通常のサイドプルブレーキ)。当時のブリジストンのライバル自転車(友人が乗っていた)は前輪は普通のブレーキ、後輪油圧(!)ディスクというのがあったが、これなどは今考えると意味がわからない。
一部にはいまだに「自転車は後輪ブレーキしか使っちゃいけない神話」というのがあるようで、そういった意味で後輪ディスクにしたのかもしれないが、これはブレーキング力学的に完全にペケである。ブレーキは前輪の方が重要に決まってる。もしオートバイで後輪ブレーキしか使わなかったら大変なことになる。基本は自転車も同じだ。
●5段変速!
フロントのチェーンリングは1枚だけだったが、リアにはもちろん変速機が付いていた。もちろん充実の5段変速である。シフトレバーは確かトップチューブのセンターにあったような…。自動車のオートマチックシフトよろしく大層な存在感のあるものであった。 そう、この自転車は[自動車]になりたかったのだ!
●そして注目のお値段は!?
記憶では定価4万9千900円だったと思う(49,800円だったかも)。いずれにしろ約5万円の自転車である。今の貨幣価値にするといくらになるのだろうか…、おそらく23万7千650円くらいにはなるだろう。ピナレロのガリレオくらいの値段である。おとうさんも奮発してくれたものだ。感謝しなければいけない…(おとうさん、ありがとう!)
●そしてこれがその写真である!
セキネVX-GTO(おそらくこの写真は私のGTOより1年後の1973年モデルと思われる。内容はほとんど同一。他の写真は探したが見つからなかった。)
リアのサイドにある「IC」という巨大なエンブレムが余計だ。チェーンガードも装飾満点。セミドロップハンドルがなつかしい。カタログ写真にしてはシートポスト出てなさ過ぎ! 気になる重量はデータがないのでわからないが、少なくとも8kgということはない。おそらく15kg以上は余裕であったと思われる。
そして「セキネ」というメーカー自体、もはや存在しないよう…。ちょっと悲しい。当時はブリジストン、ミヤタ、セキネというところが御三家だったのに…。
次回はそれから三十数年後の激安マウンテンバイクのお話の予定。
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