自転車で糖尿病を克服した! -147ページ目

あぁ、河口湖は遠かった…自転車部隊は行く 【第3話】


極秘!「ご機嫌モニター」
ついに公開!これが「ご機嫌モニター」だ!

これがA子の状況をB夫に逐一知らせてくれた「ご機嫌モニター」。今も「ジャイアントホープ」に装備されている。正式名称は、Gokigen Status Observation Monitor = GSOM(ジーソムと読む)。つい数ヶ月前までは第一級連邦機密だったが、テロリストに使われても軍事的脅威とはもはやならないという判断のもと、ごく最近機密保持対象から解除されたため、晴れてこのブログで公開できることとなった。

ちなみにこの装置、同時に3つのターゲットを設定でき、それぞれの“ご機嫌ステータス”を256段階で認識、液晶画面および警報ランプで表示することができる。もちろんターゲットを自分にすることもでき、これはソロツーリングなどでの自分の精神状態を把握することに非常に役に立つ。切れそうになる自分を前もってコントロールできるため、常に冷静な走りができるのだ。私がヤビツ峠を無地登り切ることができたのも、実はこの装置のおかげだった。

この写真でおわかりのように、この装置には「FOMA」のロゴが書かれており、一見携帯電話に見えないこともないが、これはあくまでカモフラージュのため。現在ポラールとの共同開発で市販化が進められており、ハートレートモニターとの一体型として2009年までには発売の予定と聞いている。現在の同社高級モデルCS400(約8万円)より若干高い金額設定になるようだ。大ヒット商品となることは間違いない。


【前回からの続き】


「もうこの坂を越えたら、坂は終わりだから…後はずっとフラットなはずだから…」


B夫はこの日11回目の嘘をついた。A子は聞いているのか聞いていなのか、もはやB夫の言葉には反応しない。あたりまえだ。すでに10回もB夫の言葉に裏切られ、11回目も裏切られることが確実なこの状況で、喜びの反応をするほどA子は過剰な演技派でもお人好しでもない。


時は2006年夏、お盆休みのある日。時刻は午後5時近くのことである。


二人はもうすでに90km以上を走りきり、特に訓練不足のA子の疲労はピークに近くなっているはずだ。残りはあと30kmもないはず…、B夫は努めておだやかにやさしく声をかけ、なんとかA子の爆発寸前の心を維持しつつ、目的地(河口湖近辺のペンションに偽装された敵のアジトだ。)へと向かって力を振り絞っていた。


52km地点の相模湖から、ここまでずっと上り坂ばかりだった。ときおり下り坂もあるが、そのあとすぐにもっと長い上り坂になる。それほどの“激坂”ではないのだが、これだけ長い距離を登りっぱなしだとさしものB夫捜査官もだんだんシビレてくる。疲れからかスピードものらない。


A子にとってはもっときついだろう。さきほどから例の「ご機嫌モニター」は黄色ランプが連続点灯状態になりっぱなしだ。赤く光らないだけまだラッキーと考えた方がいい…そんな状況が続いている。


頑張り屋のA子をもってしてもそろそろ限界かもしれない…本格的な休憩が必要になる。B夫は万が一のため本部からのレスキューを視野に入れながらも、しっかり休憩のできるレストランか喫茶店を探しはじめた。


休憩の回数はだんだん増えてきた。つい3kmほど前にも道端で休憩したばかりだが、ここでは体力回復がまず重要だ。最終的にはその方が速い。


やがて二人は大月の町へ入る。


と、そのとき、


「こんにちは~」


と二人からすると素っ頓狂に聞こえるくらいの元気な声で、ひとりのロードバイク乗りが挨拶しながら右側を駆け抜けていった。


元気だ。しかも速い!時速にして15kmほどは楽に違う。


よっぽど重要な任務があるのだろう…あんなにスピードを出して途中で足が売り切れにはならないのだろうか…もしや別の捜査局からの捜査官か!?(ロードバイクってやっぱ速いのかなぁ、次の任務までには例の「ピナレロ君」が来るといいけどなぁ…と思ったが、B夫はそれを今は口に出さない)


ディナータイムに間にあうことが危うくなってきた…。そう感じながらもB夫はそのことを今は考えないようにした。まだ希望はある。大月を過ぎればフラットになる…(???)そうすれば最後はスピードが上がる。たとえディナータイムの6時30分に間に合わなくても最悪7時30分までに入れれば、ディナーサービスは受けられる。敵の秘密ミーティングもすぐには終わらないはずだ。なんとか7時半までに!B夫はそれだけを決めると再び“喫茶店捜索モード”に入った。


ない。どこにもない。喫茶店がない…ここは大月の“町”なのに喫茶店が見つからない。


「おや…」


一件だけ「飲食店レーダー」に反応があった。やった。どこだ…あれれ、休みだ。どうする、このまま行くか、仕方ない…。この先むしろ先に行った方がファミレスなどの郊外タイプのレストランがあるのでは…


後でわかるのだが、このアイディアがまずかった。二人は大月の町を抜けさらに先へと進むが、ない、何もない。


パチンコ屋はあるが、喫茶店がない。大型日曜大工ショップはあるがレストランがない。


冷房の効いた部屋で冷たい飲み物を飲みたい!休憩したい!そんなA子の無言の強いメッセージが私、いやB夫捜査官の背中に突き刺さる。


B夫は作戦を検討するためにブレーキをかけ、道端に止まろうとした。


その瞬間、それまで黄色の連続点灯で安定していた「ご機嫌モニター」のランプがいきなり赤になったご機嫌クライシス=ご機嫌の“危機”状態の到来だ!いよいよ恐れていた事態になった。


「もう止まれないの!ブレーキを急にかけられても反応できないんだから!こんなところで急に止まるのはやめて!」


こ、これはまずい。A子がついに体力の限界からか、理性的な対応能力の低下を見せはじめている。もはや冷静に作戦を遂行することなど無理な状態のようだ。「ご機嫌モニター」の赤ランプはあくまで冷酷にその状況を伝えている。


とにかくどこでもいい…今ここで休もう!


B夫は約100メートルほど先にあったレンタルビデオショップの軒先にベンチがあるのを見つけると、なんとかA子をその場所まで連れていった。すぐ隣のコンビニで補給食とドリンクを買い、約15分ほど休んだ。


ディナーの時間はどんどん迫ってくる。残りの距離はほんの二十数キロ。思えば長く厳しい道のりを酷暑の中よくここまで走ったものだ…。だが感慨にふけっている時間はない。すぐに出発しないと。


時計の針は5時30分を指していた。まだ空は明るいが、やがてだんだん暗くなってくるだろう。この地区の夜道は辛い。少しでも多く進むのだ。がんばるんだ。


B夫は少しでもA子の負担を軽くするためにA子の荷物をすべてB夫のリュックに移した。ドリンクさえB夫のバイクに移し替えた。これでA子の負担は5kg減り、B夫の重量は5kg増えた。B夫の総重量は間違いなく100kg、いや0.1トンを超えた。


だが、がんばらねばならない!なんとかディナータイム終了の7時30分までにペンション、いや敵のアジトに入るのだ!


二人は先を目指し、夕暮れ時の近付いた国道139号を河口湖目指し走りはじめた。津留まではもうすぐだ。そこを過ぎればなんとかなる!B夫は重い荷物のことを忘れ、歯を食いしばった!A子もすぐ後ろをなんとか気丈に付いていく。気温は徐々に下がりはじめてきた。それだけが救いだった。


【次回へつづく】次回はいよいよ完結編!ディナータイムには間に合うのか!?



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