~色とりどり。
子どもの頃、
地元の夏祭りに友達と浴衣を着て行った。
観光地なのでけっこうお客さんがきて
にぎわっていた。
立ちならぶ屋台。
響く盆踊りの歌、囃子。
幾重もの輪になって踊る人、人、人。
見知った神社が
通りがちがうものになる。
人の輪にまじって踊る。
同じリズムを刻む囃子に
同じ動きの踊りをくりかえす。
ぐるぐる、ぐるぐる
輪を描き続ける。
意識がどこか日常とはちがうところに
入りこむ。
お面をつけていた人たちのなかには
人ではないものがまじっていたかもしれない。
あるいは私はそこにずっといたようで、
一人別の夏祭りに行っていたのかもしれない。