キリンともぐら | 言葉の羅針盤~人生・起業の悩み解決

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~キリンが見るもの。

キリンともぐら


キリンはその長い首で

遠くまでを見た。

その大きな目で

細かいところまで見た。


キリンが見たものを

誰も理解できなかった。

キリンは

もう何も見たくなかった。


すると

キリンはたいくつでたいくつで

死にそうだった。


ぼんやり歩いていると

小さな穴があった。


穴をのぞいてみると

一匹のもぐらが

深い穴を掘っていた。


「何してるの?」

「穴を掘ってるんだ」

「どうして?」

「地下の底を

見るためだよ」

「地下の底?」


キリンは

地下の底を見たいと思った。

そこで

長い首を穴につっこんだ。

長い首はこのためにあったんだ

とキリンは思った。


「キラキラしてる」

「地下の底の光だよ」

もぐらの掘る穴の

そこここは

きらきらと光っていた。


キリンは

長い首をずっと

穴につっこんだままでいた。


「じゃまだね。

なんだい、その長い首は」

他のもぐらに言われても

そこにいつづけた。


穴にいつづけるために

他のもぐらと

闘わなくてはならない時もあった。


そうして長い時が

たった。


ある日

キリンは気がついた。


「もぐらが

穴を掘っていない」



「どうして穴を掘らないの?」

キリンが聞くと

もぐらは答えた。


「穴? もうじゅうぶん掘ったよ」

「でも、地下の底は?」

「地下の底? 

それはなんだい?」


キリンはおどろいた。


とまどっているキリンに

もぐらが言った。


「その長い首、じゃまだな」

「えっ?

だって、キリンだから」

「キリンだって?

もぐらじゃないなら出ていけよ」


何度か言われているうちに

キリンは思った。


「どうして

ここにいるんだろう?」


そして

「長い首、切れよ」

ともぐらに

かみつかれそうになって

あわてて

首を穴からひっこぬいた。


風が

首をすうっと通りぬけた。

世界が、そこにあった。


「もういじわるしないよ」

もぐらの声が聞こえたようだった。


「そうじゃない」

キリンは首をふった。

「そうじゃないんだ」


吹きぬける風が

ここちよかった。

世界はずっと向こうまで

ひろがっていた。