アグリキューブ評 | BIGYARD 奮闘日記

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静岡県磐田市にある農業生産法人 ビッグヤード株式会社のブログ

BIGYARD 奮闘日記-アグリキューブ こんにちは。営業部長です。


本日、大和ハウス工業がアグリキューブという植物工場ユニットを発売しました。詳しくはこちら のリリースを見ていただきたいのですが。

早速色々と試算してみました。たとえば弊社でも栽培しているリーフレタスですが、このシステムでは1日あたり30株収穫できるとあります。ほかのサイトで1株当たりの生産コストが120円とありましたので、これをもとに算出すると月に約11万円のコストがかかります。本体価格が安いタイプで550万円(設置コストなどは含みません)ですので、10年償却として年55万円。ここに一人パートさん(3H×25D×@750)を配置したとして、約6万円。ここまでを合計してみると年260万円のコストがかかる計算です。

さて、ここからが面白いのですが、これを月割りにすると約22万円。月の生産量(歩留無視ですが)が900株ですから、1株当たり原価245円のリーフレタスとなります。自前で使用される場合は、いいのかもしれませんが、販売をする場合はこれを300円超で売らないと話になりません。
これをキロ単価でみるとどうなるか。大体1株の重さが多く見積もっても200gぐらいでしょうから、原価ベースでキロ1200円超の商品になります。だれがこんな高価なリーフレタスを使うんでしょうか。。。ちなみに、業務用のリーフレタスの卸売価格は水耕栽培のもので300~400円くらいです。土耕ものになると300円前後になります。もちろんこれは原価ベースではないので単純比較はできません。通常の4~5倍もするリーフレタスを道楽以外で使うところがあれば、ぜひ教えていただきたいものです。

以上からして結論。これはメーカーを儲けさせるだけの商品です。まともな思考回路をお持ちでしっかりと計算が出来る方ならきっと手を出さないと思います。食料自給率の向上と農業を支えると素晴らしいことを謳っておりますが、改めて植物工場の限界を感じました。

ちなみにシステムの内容はかなり稚拙です。ハウスメーカーなので、きっと建物の技術を評価すべきなのでしょう。いずれにせよ、ハウスメーカーのチャレンジとしては面白いと思いますが、実用性はありません。電気料金値上げが囁かれる昨今、更なるコストアップは避けられません。しかも、上記コスト試算はあくまでリリース文面から読み取れる情報のみからのものですので、実際はもっと費用がかかると思います。


営業部長@BIGYARD