定量的妥当性について | Hiroshiのブログ

Hiroshiのブログ

今後不定期投稿となります

今週はオフ日と決めた。勉強も読書も運動も数値目標を考えないで済むのは気楽だが、痴呆への第一歩?(汗) 

いずれにせよ、図書館の返却日が迫っていたので『空海』ほか、2冊を返却後、新たに2冊借り出す。そのうちの最近でされたばかりの野口悠紀雄氏の『中国が世界を撹乱する』が面白そう。内容はAI、デジタル人民元のほか、現在のコロナを含む。平日の昼間ならば大丈夫だろうということで何時ものスタバへGO。 借りたばかりの本を読んだり、あと下記の「定量的妥当性について」の記事を書いているうちにバウムクーヘンとコーヒーで3時間ほど過ごす(汗)



<大統領就任式>
混乱の末、漸くアメリカの大統領が替わった。バイデン氏には大変な後始末が残っているし、何よりコロナを収束させないといけない。トランプは史上最悪の大統領として歴史に残るだろう。早々にWHOとパリ協定に復帰したのは良かった。ところで大統領就任式でレディー・ガガさんが国家斉唱をしたとか。風貌は好みとするところではないが、彼女には東日本大震災の時の恩を忘れてはいない。
https://blue.ap.teacup.com/applet/salsa2001/5712/trackback



<定量的妥当性について>
先日Back up siteに最近話題のコロナウイルスの検出法であるRT-PCR法について質問があった。それで返信したのだが、十分に説明出来ず、逆にこの方法の限界を強調したような形になった。それで、もう一度解りやすく図示し<適切な使用をすれば>RT-PCR法は極めて強力な診断法であることを強調したい。
https://ameblo.jp/bigsur52/entry-12650466481.html

下の図はRT-PCR法から離れて、一般化した測定法の概念を示す。実は下の左図は、私が担当した大学1年生の基礎科学演習、並びに2年生の生化学の実習で実際に行う例。この実習を通して測定法一般の定量的取り扱いや、測定限界を理解してもらうために実行している。

 

 

 

横軸は物質量*、縦軸は測定値を示す。1年では物質として色がついている硫酸銅を使う。硫酸銅は水に非常に溶けやすく、かつ青色なので簡単に測定可能なので重宝している。


*物質としてはウイルスでも同様。

 

硫酸銅をゼロ(=0)から少しずつ増やしていくと青さが比例して段々増してくるが、左図のA量までくると、やがて濃さが識別できなくなる。このことから測定値の0~aまでは信頼できるが、それ以上の値(>a)では信頼出来ないとする。このことが理解出来ない学生は不合格。

さて、問題のRT-PCR法だが、これは極めて感度が高い強力な武器だが、同時に感度が驚異的に高いが故に注意しないといけない点がある。すなわち、ゼロでもノイズを拾ってきて測定値がゼロにならず、右図のようになる。そこで検量線をとって測定値の0~aまでは信頼出来ないが、a~bまでは信頼でき、更にbより大きい測定値は信頼出来ないとする。このようにして[定量的妥当性]を検討した上で、実際に使用する。

先の児玉先生の話ではこの信頼出来ない領域=0~aの理由をもって、ウイルス感染診断にRT-PCR法は不確実であると文科省は判断したみたいだ。全く大学1年生のレベルにも達しない、私が教官ならば単位は出さない! 文科省の官僚は大抵東大出の秀才のはずだが、このような基本的知識すら知らないのか?

尤も、PCR法自体は1980年代初頭に発明され、90年代に早くもノーベル賞の対象になったような画期的発明で、もしかすると文部官僚はこのPCR法についての十分な基礎知識がなかったのかもしれない。 実際PCR法を学生実習に取り入れるようになったのは医学部でもこの10年以内。中年以上の医師や理系の関係者で自ら経験したり、詳しく原理を勉強したりした人は殆どいないはず。それでも幾らでも周りに専門家の意見は聞けただろうに?? 実に不思議だ。