<王羲之の書に対する同時代人の受容について>
AKさんのblogで以下のような質問をした。
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>『甲骨文の字体研究はチャイナでかなり進んでます』 とのことでしたが。
甲骨文ではありませんが、同じような問題意識をもった人が書かれた本をいま読んでいて。西晋滅亡後とされる楼蘭出土の文書を、字体面から解析した本で結構面白かったです。著者は日本人の方ですが、内容は王羲之の「蘭亭」偽作説に関する考察です。
結論して著者は、当時から王羲之風の書が流行していて楼蘭の文書にもその影響を受けた文書が出土されたとの結論でした。
書体の開発はフランク帝国のカロリングルネッサンスにおけるアルクインの字体開発や、
https://blue.ap.teacup.com/applet/salsa2001/23/trackback
イスラームのアッバース朝時代のアンシャル体から小文字体の転換などでも認められていて研究も世界的にずいぶん進められているようです。
https://blue.ap.teacup.com/applet/salsa2001/122/trackback
いずれもこうした書体開発がその後の文化発達の上で重要だったとの結論ですが、中国ではむしろこの時期以降、混乱の時代に入るわけでフランク帝国やアッバース朝の繁栄とは逆になります。
これはこれらの字体簡略化運動が王朝主導の行政文書変革だったのに対し、王羲之風の流行は所詮、文化人=暇人の流行に留まったことに関係があるかも?と妄想しています。
これに対し、回答は以下の通り。
>Hiroshiさん
すいません。西晋以降のことは全然わかりません。
ただ殷代の甲骨文字は王朝内のしかも占いをつかさどる機関で、少数の人間で行われていたので、国として書体開発が行われていたというわけじゃないと思います。殷王朝には占いの集団がいくつかあったのですが、集団ごとに字体も違います。特に大きな2集団は占いをしていた場所は、数百メートルしか離れていなかったのにも関わらず、字体は全く違います。一方で、同集団内であれば、各時代での文字の変化をたどったりすることも可能です。西周時代には、おそらく王朝が使っていた字体はあったのでしょうが、実際に青銅器に鋳こまれる銘文の字体は様々できちんと統一されていたとはいいがたいです。そういう状況が続いて、戦国時代に文書行政が整うにしたがって、戦国各国である程度統一された字体ができていきます。ただし、秦のように用途ごとに篆書と隷書を使い分けたりするので、各国事情は異なっていましたが、秦の始皇帝が文字を統一してからは、漢代は基本的に秦の文字を引き継いでいます。王朝主導の行政文書改革という面でいえば、戦国、秦漢あたりと対比させると、類似点が見いだせるかもしれません。
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そのあと、いろいろ調べたところ。唐代における王羲之の書の受容は、
『主として、宮廷や貴族による修蔵や観賞といった面からの検討が中心』
という記載を見つけた。つまり行政文書改革という面はなかったということだろう。それゆえ、カロリングルネッサンスやアッバース朝での書体改革がその後の王朝の繁栄といったものと結びついたのに対して、こちらの書体流行は単なる文化人=暇人の間での流行に留まったということだろう。
<ロシア・ワクチン>
既に実用化されたロシアのコロナウイルス・ワクチンは非複製型のアデノウイルスタイプで英国のオックスフォード大学タイプと同じ。
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/61675?page=2
https://news.yahoo.co.jp/byline/kimuramasato/20200523-00179803/
<斜面部の草刈り>
団地から丘陵下の散歩路まで降りる階段両側の崖部の草刈りが業者さんの手で行われていた。日頃からこの崖部のメンテは誰がするのだろうと不思議に思っていた。かなり急な斜面でプロでないと難しいと感じていたから。普段は雑草に覆われてわからないが、坂が二段階になっていて最後は5~6メートルありそうな垂直の崖できわめて危険。下記URLの上から2番目の写真部分。
https://blue.ap.teacup.com/applet/salsa2001/6225/trackback
切り取られた跡をみると補強するような石垣もなくただの土の斜面(1段目の斜面)。右下に50センチほどのコンクリート製の補強?の足場みたいなのがあり、そのさらに下は同様な坂。そして最後に垂直の崖。
大雨が降れば土砂崩れの恐れがある。この斜面の下に老人ホームがあるが大丈夫か? ハザードマップ上にも記載されている場所。下記URLの最初の図の中央、「炭焼き二区」と書かれた直下の赤斜線の部分。
https://blue.ap.teacup.com/applet/salsa2001/2232/trackback
『脱・私有財産の世紀』13
原題のRadicalのもう1つの意味がここで出てきた。つまり、平方根(根号)=Radical sign(Root sign) である。p167
具体的例で考えるのがわかりやすい。環境問題を取り上げる。大気汚染が大多数の人にとり余り大したものでない状態でも喘息持ちのクリーニング屋にとっては大問題になる場合を考える。ここで多数決をとれば、この「喘息持ちのクリーニング屋」を犠牲にして環境レベルが決められる。これを『多数者の専制』という。p161 では、どうしたらこの問題を解決できるか? 即ち、住民全員の全体的幸福の総和を考慮できる方法は何か?
最適な汚染基準は、汚染の増大が市民全体にもたらす総利便益が、すべての市民がそれを抑制するために支払ってもよいとする負担額の総和で相殺される点になる。p162
数学的試行によればその費用は二次関数的に増加するとされる(ここがよくわからない部分)「喘息持ちのクリーニング屋」が自分の主張に影響力を持つために払うべき費用は二次元のオーダーで増えることになる。p165 だから一票を買うには1ボイスクレジットでいいが、二票ならば4ボイスクレジット、10票ならば100ボイスクレジットとなる。 都市部に住む大多数の人には別の重要な課題があり環境基準についての投票には一票で十分だが、工場の真横に住む「喘息持ちのクリーニング屋」にとっては重大問題で反対票を多数行使したいので自分の手持ちの100ボイスクレジットを行使し、10票を買うということか?
このシステムにより選好の強さを投票に反映できるとする。p168 つまり手持ちの票数の2乗のボイスクレジットで票を買うということになる。p166 これまた実にRadical なアイデアである!