<臨床医学と基礎医学の違い?>
定期的に読んでいる岩田医師のblog
https://georgebest1969.typepad.jp/blog/
以前も紹介したことがあるし、質問したこともある。
https://blue.ap.teacup.com/applet/salsa2001/6161/trackback
その中で最近のblogの「検査について」より。
そこに書かれていたことは臨床医と基礎研究者の検査についての価値観の違いが見えたので、今回はそれについて書いてみたい。なお、岩田医師のblogはいつも相当長く内容も豊富なので参考にする場合はその覚悟が必要です(笑)
曰く、
『(PCRは)いろいろ間違えることがあります。この話をすると、とくに生物系の基礎研究をやっている方から叱られることがあります』 と書かれている。
その通りで(笑)以前にも、『False positive(偽陽性)は致命的ミスをしない限り起こらないし、起こってもNegative controlで排除するのが検査の基本だ。』とか書いたことがある。
https://blue.ap.teacup.com/applet/salsa2001/6090/trackback
しかし現場では、どのような理由で偽陽性になりうるのだろう? それについて岩田医師は、
1)特異度が低いと、感染がないのに検査が陽性になりやすくなります。と述べる。
しかし、これはPCRの条件が不適切だからで、容易に排除できる問題。これに対しても岩田医師は、
『これも基礎研究をやっている人だと、「PCRだったら検査の偽陽性はない」と強く主張されます』と反論されている。
そして、『古典的な偽陽性の例は検体の汚染です。実験室の中で、ウイルス遺伝子のある検体とない検体が混ざってしまう』事件があることを挙げる。
これは先に私が述べたように、<当に致命的ミス>であって、やってはならないこと。しかし現場では起こるのだろう。岩田医師はこれについて、『リアルワールドでは、「人は慌てる」から』とされる。
『「現段階で」入院患者全員にPCRとかやっちゃうと、ほとんど偽陽性になっちゃうんですよ-』 との表現は誤解を招きかねない。
注)なお、偽陰性は原理的に高い確率で起こりうる。サンプルにウイルス遺伝子がなければ当然偽陰性になるのだから。
また、岩田医師がこのなかでシュミレーションしてみせている、
『どんなに感度/特異度がよくても、感染者数が非常に少ない場合、偽陽性のリスクが非常に大きく出てしまうこと』 というのが問題のある表現だと思う。
意味は判る、蓋然性が極めて低い状況だと、またまた誤ってでた偽陽性の<計算上>の頻度が高くなるということだろうが、仮にそういうことが起こったとしても、そもそも絶対数がこの場合は低い(=蓋然性が極めて低い状況)ので万が一を考えて防疫対策をとっても事実上問題はないはず。
同氏の結論である、
『感染の流行が起きていない現時点の日本の殆どの地域で、ルーチンの念の為のPCRは無意味で、かつ有害ですらあります』とあるが、これには反対。
このことは、住民全員をPCR検査にかける、中国方式は間違いだということになる。だが、どうだろう? 事実、中国の新型肺炎対策のリーダーである钟南山氏は住民規模の網羅的PCR検査の手段を選択している。だから必ずしも臨床医だからの結論ではないはず。岩田氏自身の個人的意見と考えるべきだろう。
https://blue.ap.teacup.com/applet/salsa2001/6041/trackback
岩田医師ご本人が根拠だとする点にはそれなりに理解できた。そもそもPCRはウイルスの遺伝子(この場合はRNA)の存在については議論できるが、感染性や感染の有無については何も言えない*。この点については同意見だが、その事実の受け止め方が臨床医と基礎医学者では違う。
*遺跡に縄文人のDNAがあったことは、縄文人が今も生きていることを意味しない!!(爆)
<結論>
臨床医にとり検査結果は判断基準の1つでしかない。それに対し、基礎研究者は検査結果、(問題があるにしても)結果が全て、そこから議論や対策を構築する。その違いだろう。
追伸:
https://blue.ap.teacup.com/applet/salsa2001/6041/trackback
上のURLを参照すると、この1月27日段階で私は、完全にこのウイルスを見くびっていたことがわかる。政府のことを偉そうには批判できないね(汗)
https://blue.ap.teacup.com/applet/salsa2001/6209/trackback