『危機と決断』7 | Hiroshiのブログ

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今後不定期投稿となります

<コロナ脳の火曜>
午後から小雨状態だったので玄関部分に机を置き、そこでパソコンを使うつもりだったが霧状に細かい水滴がパソコンにつき始めたので慌てて退避。 検索なし、気分転換なしの「パソコンなし読書」はなかなか難しい。 特に今回は言語学の難解さにダウンされる。それで早々に諦めて朝からTV鑑賞。「世界ふれあい街歩き」を観る。 
https://www4.nhk.or.jp/sekaimachi/x/2020-05-05/10/28381/1767534/

「芸術家の愛する街 パリ・バティニョール~フランス~」モンマルトルの丘の麓にある、人々が集う芸術の街の物語。濃厚な人々の交流がそこにはある。
モンマルトルの丘には一度だけ行ったが、ほとんど印象に残っていない。共同研究者に連れられ速歩でパリの街案内の一コマだった。

番組の撮影はまだコロナの脅威が表れていない2月だったとか。その1ヶ月後に、その通りに人影を見るのが稀になるとは誰が予想しただろう。 3月に入るまで、フランスでは100万人当たり1人の感染者もいなかった。それが現時点では2,000人を超える。
https://web.sapmed.ac.jp/canmol/coronavirus/index.html

この疫病がこの街を変えるのか? いや、それは決してないだろう。ヨーロッパは古代以来、何度も疫病の洗礼を受けた。あのペストがいい例だ、確かに社会の変革を引き起こした。
https://blue.ap.teacup.com/applet/salsa2001/6149/trackback

しかし、国民性や伝統が疫病蔓延で変わったという話は聞いたことがない。そのようなことを考えていたら、再度、集団免疫について思いが飛んだ。
https://blue.ap.teacup.com/applet/salsa2001/6106/trackback

…免疫がない以上、繰り返し感染が襲来することは中世のペストの例を挙げるまでもなく間違いない。例え厳格に都市封鎖を行っても特効薬が見つからないかぎり、あるいはワクチンが開発されないかぎり、感染は繰り返す。治療や予防の手段がない現状では如何にして二波、三波のピークを抑えられるかにかかっている。厳格な防疫を行えば感染は一時的に抑えられるが、経済が致命的な打撃を受ける。
https://blue.ap.teacup.com/applet/salsa2001/6123/trackback

 

防疫と経済。その塩梅が非常に難しいだろう。精々GDPに貢献できない年金生活者は感染しないように外出を控え、医療負担にならないようにしないといけない。

より消極的な戦略は、ある程度の犠牲を覚悟に <弱く感染を広げ集団免疫を持つこと>。中世のペストは特効薬が見つかったわけでも、ワクチンがなされたわけでもない。多くの人の犠牲の上に集団が免疫を持てたから克服できたわけだ。

ところで1~2月いつも出かけるモールには沢山の中国人観光客が来ていて、何度もすれ違っていたわけだから、もしかすると弱い感染をしている可能性がある。発症は免疫とウイルス量のバランスだからその可能性がある。特に今度のコロナウイルスは不顕性感染が多いらしい。もしそうだとすれば免疫がついている可能性もなきにしもあらず。ま、あまり安心材料にはならないが、、
https://blue.ap.teacup.com/applet/salsa2001/6050/trackback




『危機と決断』7
ここで驚くことが書かれていた。それはJPモルガン・チェイスがベアー・スターンズの株式を最初2ドルで購入する予定だったが、この条文の中に法律家のミスで「保証が1年続く」という一文があり、これでまだ余裕があると思った株主が粘り、結局10ドルになったとか。冗談とも思える話。p289

著者はここで教訓を得た。それはこうしたFRBの決定過程を社会と政治家によく理解してもらえるように説明することが重要だと。p293 このことは現下のコロナ禍でも言えること。

ファニーとフレディーという二大住宅ローン保有企業はもともと政府系機関として出発したが、その後民間に移行した。しかしこの位置付けは問題があったという。それは株主は利益を楽しむ一方、損失の付けは最終的に納税者に回されると考えていたこと。それを著者はコイントスに例えて、

『表なら私の勝ち、裏なら貴方の負け』と。p297

つまりほとんどの投資家は暗黙の政府保証を信じていたからだと。この中には外国ファンド、例えば中国は住宅ローン担保証券を7,000億ドル以上保有していたが、これは中国が保有する米国国債によりも上回るほどだとか! 驚いた。p301 そんなに保有していたとは! これは国債と同様に流動性が高い=簡単に売買できると信じられていたから。結局両社は政府の管理下に置かれた。p321

12章はついにあのリーマン・ブラザースの破綻劇である。

モルガン・スタンレーとゴールドマン・サックス、メリルリンチとリーマン・ブラザーズに対しストレス・テストをしたところ、2つの投資銀行のモルガン・スタンレーとゴールドマン・サックスはベアー・ライトを乗り越えそうだが、ベアー・ヘビーの方はどの投資銀行も無理との結果が出た。p329

リーマンの方が規模はベアー・スタンズより50%大きく、デリバティブの帳簿は2倍あったという。それゆえ、ベアー・スタンズはToo Big too Failというわけではない。p337

ただ、ベアー・スタンズ救済がモラルハザードの批判を受けていたことがリーマンの救済を難しくしたのかも? 著者は何も言っていないが、それを匂わせる。p339 実際、「ウォール街の巨人を救済し名もなき者を救済しないのは公平さを欠く」ということには個人的に共感していると述べる。p340 結局、リーマンは消えとメリルリンチはバンク・オブ・アメリカに買収されることになった。