160床のベッド数に190人理学療法士がいる病院。
日本でもまだ少ない回復期リハビリテーション病院、初台リハビリテーション病院に訪問してきた。
新宿にある都庁のすぐそばにあり、とても都心近い。
建物からも、都庁のビル群、反対側には富士山が見える。
リハビリする人のモチベーションをあげることも考えられた景観であるという。
回復期リハビリテーションとは、急性期病院から家までの間の施設で、主にリハビリを行うところである。平成13年から診療報酬がつき、必要性が認められてきた。
しかし、まだまだ数は少なく、平成22年7月時点で、人口10万人あたりの地域別病床数は全国平均が45床に過ぎません。関東地区は平均病床数30床であり、東京都では29床、23区内では27.5床でした。驚くべきことに、23区のうち7区(216万人在住)では、回復期リハビリ病床は存在していない。
これは必要な数には足りないといわれている。それは急性期からのリハビリのありかたにあると、酒向正春Drはいう。
まず、リハビリについて、
「脳卒中データバンク*2009」調査によると、脳卒中の急性期治療を受けた4万7768人の患者様のうち、27.1%にリハビリテーション(以下、リハビリ)が施行されておらず、脳卒中発症2~4週間後に急性期病院を退院する患者様で全介助を必要とした方は40.6%にのぼることが明らかになりました。
絶対安静--いわゆる寝たきりは、3週間で筋力を半減させてしまいます。とりわけ70歳以上の高齢者の場合は、治療後1カ月以内にリハビリが施行されないと、屋外歩行での自立が不可能になります。つまり高齢者にとっては、致命的な機能障害が残ってしまうわけです。
脳卒中の急性期治療(脳外科手術や血栓溶解療法などの治療)は、だいたい2日間で山を越えます。すると専門家は"リハビリの必要な患者様か、そうでないか"を判別することができます。この時点ですぐに転院予約をすれば、回復期リハビリ病院には、通常2週間で入院できますので、発症後約2週間でリハビリを開始することができるわけです。
しかし、現状多く行われているのは、治療後に2~3週間ほど安静にして回復を待ち、そこで後遺障害が残っていれば回復期リハ病院への転院を検討し始めます。つまり、2日間の治療期間と2~3週間の安静期間、そこからさらに2週間の待機期間がかかってしまうため、発症してから約4~5週間は寝たきりの状態を余儀なくされてしまうわけです。その結果、多くの患者様が廃用症候群(体の機能を失って寝たきりになること)になってしまいます。廃用症候群になった体を、発症後2週間の状態に戻すには1~2ヵ月かかります。これは患者様のQOL (Quality of Life:生活の質)の面でも、医療費の面でも大きな損失となります。
(一部変更)
また予防についても、
現在の脳卒中医療は、急性期医療(2週間)、回復期医療(2~6カ月)、それから維持期医療という流れになっています。維持期医療は一生続きます。しかし、この部分の医療が実は最も遅れています。超高齢化社会に向かう中で非常に懸念すべきことです。
脳卒中になってから再発を予防するか、なる前に予防するか――後者の方がもちろん好ましいのですが、実際になる前に予防を行う方は2~3割程度です。一方、なってから再発予防を行う人は95%に上ることから、その点に関してまだ教育が足りません。
一部変更
脳卒中は、時間との戦いでもあります。
t-PAという血栓溶解術を、発症から3時間以内に行うと、60%の脳梗塞は改善するとも言われています。
しかし、3時間以内に病院にいけているのは、36%程度である。
脳卒中にならないように予防をしている人が、30%程度ということも鑑みると、
まだまだ脳卒中にたいする意識が低いようにも思える。
『脳卒中は時間との戦い』
そういったメッセージも伝えないといけない。
看護師の80ー90万人が病院に勤めている。そのうち、のほとんどが急性期病院である。
保健師助産師看護師法にもあるように、【療養上の世話】をするということが、看護師の生業であるとされている。病気になった人、なりそうな人の生活を支えるということは、急性期病院で患者の命を守るだけではなく、その後の生活、また、在宅に帰ってからも支えなくては、いけないと思う。それには、マンパワーがいる。初台リハビリ病院も、診療報酬でお金がでない数のスタッフを雇っている。
それをやれということは、経営が厳しい、病院には難しことかもしれない。
急性期病院にいる私もそうだが、もう一度、患者の人生の流れの中での役割を問わなくてはいけないだろう。
回復期、在宅の看護は、そういったキーマンとしてもっともっと力が発揮できるに違いないと確信した。
現に、回復期リハビリテーションで、診療報酬という保険で賄われるリハビリの時間数は3時間程度である。
9時間睡眠のすると、
残りの12時間!!
いかに体を動かせるのか。
それ次第でその人の回復と生活がかかわってくる。
そこで力を発揮できるのは、看護師ではないだろうか。ベッドサイドに常おり、日常のケアを行う看護師の裁量によるといっても過言ではない。
初台の酒向Drも看護師にそういった役割を期待しているというメッセージをばしばし感じた。
そういった意識の高い、Drというパートナーと供に、安心して暮らせる街が想像できた有意義な時間であった。
脳卒中の急性期治療を受けた4万7768人の未来を支える、医療者の役割は想像以上に大きい。