先日、友人と一緒にデビッド・クローネンバーグ監督の「ビデオドローム」の4Kディレクターズカット版を見てきました。




この作品、リアルタイムで映画館では見ていなくて、初めてみたのはレンタ店で借りた輸入LDでした。




当時はまだ正式なレンタルシステムができていなくて、輸入ビデオやLD、TV録画されたものが普通に(普通じゃない)レンタルされていて、家庭用のVHSテープが1本3500円もしていた時代でした。
この輸入LDは当時、輸入該当品で入手困難であったにもかかわらず、市内の総合電気店の輸入ソフト販売コーナーにあった物で、まだ学生であった私は、かなり無理して購入した記憶があります。
12800円の値札が付いていますが、当時輸入VHSソフトが35000円ぐらいしていたので、それに比べればまだかなり安かったわけです。
国内LDはP&SとWSが発売されていて、後にUSのクライテリオンからDVDやBDが発売された時には驚かされたものです。
現在ではイギリスのArrow Videoから4K UHDも2タイプのジャケで発売されています。
下の写真のものは限定BOX仕様ですでに廃盤となっています。



(BOX収録内容)
●監督デヴィッド・クローネンバーグの承認を得て、アロー・フィルムズがオリジナル・カメラ・ネガから4K修復した本編ディレクターズカットとUSシアトリカルカットの両方を収録。
●ドルビービジョン/HDRによる映画上映オリジナルロスレスモノラルサウンドトラック。
●聴覚障害者のための英語字幕。
●シネファンタスティック誌の特派員で『ビデオドローム』の著者であるティム・ルーカスによるオーディオコメンタリー:ホラー映画の研究。
●デヴィッド・クローネンバーグと極限の映画」クローネンバーグ、ジョージ・A・ロメロ、アレックス・コックスがクローネンバーグの映画、検閲、ホラー・ジャンルについてインタビューしたドキュメンタリー。
●映画監督マイケル・レニックがビデオドロームのビデオと人工装具の効果について語るドキュメンタリー「Forging The New Flesh」
●クローネンバーグ、ジョン・カーペンター、ジョン・ランディス、ミック・ギャリスによる1982年のラウンドテーブル・ディスカッション「Fear On Film」
●完全無修正のサムライ・ドリームス映像、マイケル・レニックの解説付き。
●マイケル・レニックによる映画効果に関する2つの特集「ヘルメット・カム・テスト」「なぜベータマックスなのか?
●ミック・ギャリスによる1982年の特集、舞台裏の映像とクローネンバーグ、ジェームズ・ウッズ、デボラ・ハリー、リック・ベイカーのインタビューを収録。
●撮影監督マーク・アーウィンのインタビュー「Videoblivion」。
●ピエール・デヴィッド、『ヴィデオドローム』製作総指揮者インタビュー。
●『ビデオドローム』『霧』の小説家デニス・エチソンに聞く、『ビデオドローム』とクローネンバーグの脚本に対する彼の考察。
●クローネンバーグの短編映画『カメラ』、『ヴィデオドローム』のレス・カールソン出演。
●海賊版の信号:失われた放送、TV版からの削除されたシーンと代替シーン。
●オリジナル予告編。
●イメージギャラリー。
●限定版パッケージ、リバーシブルスリーブ、2枚のオリジナルポスターアートワーク付き。
●60ページのコレクターズブックレットには、Justin Humphreys、Brad Stevens、Tim Lucasによる映画に関する執筆、Cronenberg On Cronenbergの抜粋、批評家Alexandra Heller-Nicholas、Cerise Howard, Josh Nelson、Emma Westwoodによる全く新しいラウンドテーブル回顧録が掲載されている。
●折りたたみ式の両面ポスターには、2つのオリジナルアートが掲載されています。
●ロビーカード複製アートカード6枚(両面、ポストカードサイズ

今回の4Kリバイバル上映は1週間ほどの期間で、しかも1日1回の上映のみ!
フライヤーのみで、物販はありませんでしたが、上映記念で、入場者にオリジナル・ポストカードが配られていました。




デビッド・クローネンバーグ監督を初めて知ったのは「スキャナーズ」を見てからでした。
超能力者同士の闘いが凄まじく、リック・ベイカーの特撮に衝撃を受けた作品でもありました。
この「スキャナーズ」をきっかけに監督の過去の作品にも興味を持ち、見て唸った作品が「ブルード 怒りのメタファー」でした。

精神的苦痛を肉体的な腫瘍に変換して治療すると言う、他のホラー映画とは一線を外した奇抜なアイデアの内容で、この監督は只者ではないと悟りました!笑

そして、あの最高傑作ともされる「デッドゾーン」を見て、すっかり大ファンになりました!

その後、蝿男の恐怖のリメイク版「ザ・フライ」、双子の悲劇「戦慄の絆」、アブノーマルなエクスタシー「クラッシュ」や現代版ビデオドロームとも言われている「イグジステンズ」に繋がるわけです。



デビッド・クローネンバーグ監督で忘れてはいけないのは、やはりクライブ・パーカー監督の「ミディアン 死者の棲む街」で猟奇殺人鬼のデッカーを演じていることでしょうか。

精神科医で猟奇殺人鬼、知的さの中に狂気が共存している、まさにハマり役で、レクター博士とはまた違う、臆病さと醜さと冷酷さを表現したあのマスクは見る物を恐怖のどん底に陥れるインパクトがあります。



今年の8/18に公開を予定している「クライム・オブ・フューチャー」は、監督の初期の実験映画と同タイトルですが、全く異なる作品のようで、既に賛否両論を巻き起こしている、監督らしい作品のようです!