創作の秘訣はなんですか? | 獸木野生Official

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Blog by graphic novelist / Movie maker Maxine-Yeasty Kemonogi.
漫画家・映画監督獸木野生のオフィシャル・ブログ。著作PALM(パーム)、映画AppleEyeシリーズ。
ペット、アニマルライツ・コミュニティAID活動、旅行記他。

実は最近、公証役場で証人の立会いの元、ある法的手続きをする機会があった。
その法的手続きというのは....

遺言作成




まあ今年の夏死にそうになったので、さすがにさっさとやっとこうモードになったんだね。

内容も気になるが、それはそれとして、仕事が漫画家だから全作品も財産に含まれてて、厳粛な雰囲気の中、公証人の方が証人の前で遺言内容や財産リストを全て読み上げる手続きの最後、全作品のタイトルを読み上げる中で、
お豆の半分
とか
金銀熊鮫(きんぎんくまさめ)
とか変なタイトルが出てきたあたりで、その場の緊張した空気が消え、終了時に公証人の方が突然


「創作の秘訣は?」

と獸木に気さくな質問を投げかけた


何ですか、突然?

んー
特には....

あえて言うなら....

嘘をつかないこと

ですね。

一同 「⁇⁇⁇」

宇宙の様々な偶然の連鎖の結果、身内の一部に天性の嘘つきを数名抱えて長年に渡り混乱の極みを体験した獸木。

だからと言って自分が清廉潔白なわけではないが、嘘が嘘を呼び常時不要な嘘までが身につき本人の人生が混迷し崩壊するのみならず、信じる心と真実が周囲からも奪われ消えてゆく只中で、その恐ろしさを実感。

もちろん嘘も方便的な生き方が自他のために機能する人生もあるだろうし、個人の秘密は尊重されるべきで何でも馬鹿正直に公開すればいいというものではない。

ちょっと前までの獸木みたいに死にそうな人間に、
「あなた見るからに死にそうな顔してますよ」
と言わずに
今日は何だか顔色良くて元気そうですね 」
と、思いっきり見えすいた嘘ついて励ましたからと言って、感謝され、さらにその気なった獸木が元気になる可能性がありこそすれ、地獄に落ちるわけではない。

そういう例外を別として、嘘の袋小路の恐怖と息苦しさを体験した身としては、なるべく公明正大にすべてをあけすけに公開し、あっけらかんと行きていける自由さと気楽さは絶対的に捨てがたいものとなった。


それで何でウソをつかないことが創作の秘訣かというと.....




ただ何となくそう思うの

スミマセン



物語というのは架空のものだから、そもそも実体はないし、嘘も真実もへったくれも本当はその中に存在しないのである。


しかし....


純粋な気持ちで一生懸命書いてると、なぜかそこに誠実なキャラクターや愛に満ちた物語が発生し、宇宙が誕生し真実が生まれる。

様々な化学反応の連鎖で成長する宇宙。
作者はその連鎖の流れに乗り、次々と新たな真実を発見する旅をする。


だかもし偽りがあると...

その連鎖の流れが歪んでくるのである

業界用語?でいうと

話がヘンになるのである。


創作にはもちろん技術的な部分がたくさんあるが、そもそも何かを生み出すことの本質は秘訣とかなんとかではなく、

その人自身

なんだね


その人の宇宙
とか
その人の真実

とも言えるかも知れない。




そんな獸木の宇宙がコンパクトなコミックスとかになってお手軽に商品化されてるPALMシリーズ



信じられないけど、40年近い連載の末もうすぐ完結です。



乞うご期待。

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