ご覧いただきありがとうございます。
来月の歌舞伎座のチケットの売上がかなりよろしいようですね。
時代物の演目って人気あるのですね。
私も歌舞伎は大好きなのですが、演目のストーリーの深さよりも役者さんの歌舞伎独特の動きが好きで観に行っています。
宙乗り、早替り、引き抜き、だんまり、毛振りなど、これがなくてもストーリーの進行には大きな問題はないけれど、これがあるから歌舞伎なのであって、これがなければただのお芝居になってしまうと思うのです。
今月玉三郎様の演じた『阿古屋』は私の中のこれこそ歌舞伎!的な演目だったと思います。
上演時間のほぼ半分は玉三郎様の演奏、ストーリー的にはここまで長く演奏する必要はないと思うのですが、歌舞伎役者の演奏を観客に聴かせるための演目なのでしょう。
イヤホンガイドも『設定には若干無理がありますが、これが歌舞伎なのです!』的な事でまとめていました。
そうです!これが歌舞伎なのです!
これが単なる『坂東玉三郎リサイタル』だったらここまで盛り上がらないでしょう。
遊君の阿古屋が重忠の前で演奏する、という無理矢理感のある設定があるから良いのです。
ついでに言えばイヤホンガイドも好きです。
舞台上では一切明かされない『実は◯◯と△△は生き別れになった兄弟で』的な重要な情報をしれっと教えてくれます。
役者の台詞があまりにも説明的だとなんとなく興ざめなのです。
なので役者の台詞は『ちょっと何言ってるんだかわからなーい』くらいで良く、話のあらすじはイヤホンガイドから拾うのが良いと思っています。
玉三郎様の『阿古屋』はおそらくこれが見納めでしょうね。
ご本人的には前々から譲りたいと思っていたと思います。
ただ、玉三郎様の後継者的な女形が育っていないのが現実。
ひょっとしたらこの方を超えられる女形は永遠に現れないかもしれないですね。
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