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今年の共通テストの国語の問題で「ヒス構文」としてトレンドに上がっていた蜂飼耳さんの繭の遊戯の全文を読みました。
テストの問題に採用されていた部分は既に読んでいたのですが、おじさんのその後がずっと気になっていていたのです。
書店ではなかなか手に入らないようでアマゾンでは高値がついていました。
さすがに高すぎて購入できないので近隣の図書館を検索して借りてきました。
テスト採用部分の後わずか七行で物語は終わっていました。
超短編小説だったのですね。
この作品は2005年に発表されたそうです。
作者の蜂飼耳さんは1974年生まれ、という事から考えてこの作品は1980年代、昭和の終わりが舞台なのかな、と思いました。
当時男は学校を出たら正社員として働くのが当然で家族を養って初めて一人前、という時代でした。
なので定職につかずに小屋にこもっているおじさんは親戚中から疎ましく思われていたのでしょう。
でも今は令和です。
令和の感覚だとこのおじさんそんなにあかんの?と思ってしまいませんか?
定職についていないとはいっても必要があればトラックの運転手をしている、ということはおじさんの母であり主人公の祖母でもあるヒス構文おばあちゃんの年金を完全にアテにしてるとか莫大な借金を抱えているわけではなさそうですよね。
それに、この小説におじさんのお父さんという人物が出てこない、ということはおそらく亡くなっているのだと思うのです。
多分主人公一家が住んでいる家はもともとは主人公のおじいさんの名義だったと思うので、おじいさんが亡くなった際におじさんがこの家と土地を相続する権利は当然あるわけなので、家の台所やトイレを使ったり離れに小屋を建ててもなんの問題も無いと思うのです。
この物語はある日おじさんが小屋(繭)を出ていってその後の事はわからない、という結末を迎えます。
蚕は人間が生糸を効率的にとることを目的に品種改良された蛾なので野外では生きていくことは出来ないそうです。
成虫は飛ぶことは出来ません。
飲んだり食べたりすることも出来ないそうです。
おじさん=蚕、と考えると出ていったおじさんがその後生きていくことは出来なかった気がします。
短いけれどかなり重い小説でした。
この小説の感想を一言でいうとおじさんの様な生き方も令和はアリなんだよ!ですかね。
ご訪問ありがとうございました。