東日本大震災を機に造られることとなった『みちのく潮風トレイル』。
青森県八戸市から福島県相馬市まで、東北の太平洋岸をつなぐロングトレイルです。
構想の段階では総距離700kmの予定だったそうですが、今年全線開通してみたら、実際には1000kmにも及ぶ道となったとのこと。
先週、そんな『みちのく潮風トレイル』についてのフォーラムが亘理町で開催されたので、Y-コンさんとともに参加してきました。
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たまには座学も必要ですね
キャパ100人の会議室、参加者はチラホラとまばらに…。
な~んて想像していたら、なんのなんの
用意されていた椅子の7割~8割くらいは埋まるくらいの大盛況、潮風トレイルがこれほど認知度があるとは思っていませんでした
ただし年齢層は結構高め、我々は最年少の部類のようでした。
まず最初に名取トレイルセンターのセンター長からのプレゼン。
トレイルセンターはルート上に数か所設置されており、トレイルを歩くハイカーの情報センターであり、休憩所であり、さらに各種のイベントなどを行う、多目的な施設となっています。
実際ここでシャワーを利用させてもらったこともあります。
今回のフォーラム、てっきり潮風トレイルのことをより知ってもらって多くの人に参加してもらいたい、というのが主眼だと思っていましたが…。
センター長の話はむしろ、トレイルに参加する人を迎える側の目線。
大きな荷物を背負って歩いている人を見かけたら、「みちのく潮風トレイル」を歩いているんですか」と声をかけたり、飲み物を差し入れしたり、コースが分かっていれば教えてあげたり。
そうすることがハイカーの大きな喜び、励みになるのでぜひ実践して欲しいとのこと。
マラソン大会でいう沿道の応援のパワーみたいなものでしょうね。
そういった様々な形で応援してくれる人を「トレイルエンジェル」、そんな方々との交流・出来事を「トレイルマジック」と呼ぶ、ということも初めて知りました。
おもてなしの心で食事を提供したり、場合によっては家に泊めてあげたりと、目指すところは四国のお遍路さんだと聞いて、なるほど~と思った次第です。
続いて講演してくれたのは、山形出身のプロハイカー、斎藤正史さん。トレイルネームは「MASA」さん。
MASAさんはロングトレイルを単年で一気に歩き通す方法・スルーハイクを主に行い、1つのコースの距離が3500kmにも達するアメリカの3大ロングトレイルも踏破しているそうです。
ひょんな出会いからみちのく潮風トレイルのルート設定などに関わることとなり、そして実際このコースもスルーハイクで踏破したとのこと。
その時の様子をパワーポイントで見たりしつつ…。
MASAさんの最も伝えたかったテーマは「守る」の部分。
ルートを設定したといっても、維持・管理する「人」がいないといつしか途絶えてしまう。
みちのく潮風トレイルのルートは、各地方自治体や団体、ボランティア、近隣の住民の協力が得られるところを選定してつないでいるそうです。
ただ単に八戸から相馬まで、景色のいいところをつないで「みちのく潮風トレイル」と呼んでいる、という訳ではなかったんですね~。
そして、一口に「整備」といっても、ただやみくもに枝を払ったり倒木を除去すればいいというものでもないそうで。
フロントカントリー、いわゆる観光地は不特定多数の人が安全に通行できるようにキレイに整備する必要はあるでしょうが…。
自然の中を歩くバックカントリーでは、なるべく自然は自然のまま、人の手を入れるのは最小限にとどめることを考えて整備するそうです。
アメリカでは、コースロストをしない程度の道の手入れや枝払い、目印の取り付けをし、倒木も、またいだりくぐったりして通れるようであればあえて撤去してしまわず、チェーンソーで一部をカットするだけにとどめる。
そうすることで、「あっ誰かがきちんと見て管理してくれているんだな」ということが伝わるそうで、日本でもこういう考え方が浸透していくといいなと感じました。
次に亘理町、山元町それぞれの潮風トレイルのルートを管理・整備してくれている団体の代表者から、活動の報告がありました。
このルートはコース案内のパンフレットが足りなくなって増刷をかけているくらい人気があるそうで、地元民としてはちょっと嬉しい
低山ゆえ手軽に、それでいてわりと長い距離を縦走できるというのは魅力なんだと思います。
高齢化あるいは人数不足によりルートの整備が大変で、将来的にも不安があるというのが両団体の目下の悩み。
チェーンソーを扱うような専門的な作業だけでなく、刈り払った枝を集めるとか案内板を取り付けるとか、比較的簡単な作業もあるそうなので。
地元民だし、そのルートも過去何度か利用させてもらっているので、機会があったら参加してみてもいいかなと思っているところです~。