早いもので『いわて銀河』から1週間が経ちました
関門を通過できず、完走できなかったことをいくら悔やんでももう「後の祭り」
アフターカーニバルです
大変遅くなってしまいましたが、当日の様子をここにレポートしたいと思います
だいぶ長くなってしまいますが、一気に書いてしまいたいと思いますので、ドキュメンタリーでも見るつもりでどうぞお付き合いくださいませ~
午前2時半、一気飲みさんとともに会場に入り。
向かう途中は間欠ワイパーでは間に合わないくらいの雨が降っていましたが、到着してみると雨はほぼあがった状態になっていました
辺りはまだ真っ暗ですが、ぞくぞくと人が集まって来ます。
「こんな光景なかなか見られないな~」とワクワクしつつ競技場の中へ…
スタートゲートもライトアップされ、独特の雰囲気です
会場の「北上総合運動公園」の陸上競技場は、2016年に開催される「希望郷いわて国体」のメイン会場に決まっていて、開閉会式が行われるそうです。
東京オリンピックに向け改修工事が始まったあの国立競技場から、観戦用の座席6500個を無償で譲り受けることが決まり、北上市も盛り上がっているようですね
着替えや荷物預けなどをしていると、刻一刻とスタート時間がせまってきます
次第に空が明るくなり始め、気温も熱くもなく寒くもない、ちょうどいいコンディションとなってきました。
スターターは前夜祭でも会場を盛り上げてくれた大助・花子さん。
カウントダウン直前までしゃべり倒していたので、内心ヒヤヒヤしながらもいよいよスタート
「いってらっしゃ~い」
「いってきま~す」
期待と不安、緊張と興奮、闘志に感動に恐怖に喜びに……
頭の中はさまざまな気持ちがゴチャ混ぜになった感情のミックスジュースであふれかえります
走りだしてすぐに雨がまた降り始め、次第に全身が濡れ始めました。
「あ~やっぱり来たか~
」
それでも「雨ニモマケズ、風ニモマケズ」の精神で頑張らないといけません
それからは断続的に降ったりやんだりを繰り返します。
スタートしてから最初の4kmくらいは会場周辺をぐーるぐる
結構走った感じがするのに、さっきスタートしたところがすぐ近くに見えるとなかなか進んだ気がしません
その後一般道に出ると、ようやくゴールに近づいているという実感が湧いてきました。
午前4時から走る、というのは初めての体験
あたりは静寂に包まれ、みんなの足音だけがリズムを刻み、集中力を高めてくれます。
「雨もそんなにひどくはないし、いい感じのコンディションだな~」
…と思っていたのは最初のうちだけ。
濡れたウェアのせいで体がだんだん冷えてきました。
雨対策用のポンチョは持ってきていたのに、「なんか大丈夫そうだし、着て走るのは邪魔くさくてイヤだから…」と荷物と一緒に預けてしまっていました。
「あは~ん、やっぱり持ってくればよかった~」
スタートして5kmくらい、レースのジョバンニ早くもトイレに行きたくなってしまいました。
(余談ですが、「ジョバンニ」は「銀河鉄道の夜」の主人公の名前)
最初のエイドに到着。
仮設トイレがありますが大行列。同じ状況の人が大勢いました。
「しょうがない。次のエイドまで我慢しよう。」
そんなに切羽詰まっていた訳ではないので次を目指します。
周りは自然がいっぱいなので、途中途中で青空トイレに駆け込む人を散見。
並ぶ必要がなく、ロスタイムが最小限に抑えられるので誘惑に駆られますが、やはり自分としてはそれはしたくない。
「我慢、我慢」。
やがて11km地点のエイドに到着。
トイレの数も多いみたいなのでホッと一安心……したのも束の間、よく見るとさっきよりも長~い行列。
一瞬悩みましたが「ダメだこりゃ~」。
さらに次を目指します。
14.7km地点。
ここも順番待ちの列がありますが、次のエイドまではさらに6.5km。
さすがにもうスルーすることはできません。
回転が悪く、待つこと10分。
どんどん追い越されていくので少しあせりますが、先はまだまだ長い。
「これでもう大丈夫。安心して走れるし、早めのレストだと思えば結果オーライなんじゃないの」
遅れを取り戻そうという考えは持たず、のんびり、もくもくと走り続けました。
「おっ浄水場のところまで来た。」
「あ~、このゴルフ場ね」
車で下見していたポイントを次々通過していきます。
たまに見かける民家から聞こえてくる声援。
よく聞くと「おはようございまーす」
ああ、そうか。忘れてたけどよく考えたら世の中的にはまだ早朝だ
やがて30kmを過ぎたころ。
「あれっなんかフラフラする~
」
こっこれはもしかして脱水症状か
いや、気温も高くないし水分も充分過ぎるくらいとっているので問題はない。
はたまたエネルギー枯渇によるハンガーノックか
30kmといえばフルマラソンではもう後半戦。考えられなくはない。
でも朝食もしっかり摂ったし各エイドでの補給も確実に行なっているから問題はない。
はてではいったいなぜ
な~んていう推測をしなくても本当は自分で原因はよ~く分かっていました。
「眠気」です
早めに寝たとはいえ午前1時起き、疲労も次第に蓄積されてきて睡魔に襲われるハメに。
そうならない人もいると思いますが、自分の場合はいずれこうなるだろうと予測はついていました。
『ガンバ寝るな
』
自分に言い聞かせます。(ちなみにジョバンニの親友の名はカンパネルラ)
つまづいてコケないよう、まわりのランナーに迷惑をかけないよう気をつけつつ走り続けます。
そうこうしているうちに35km地点のエイドに到着。
シャリ玉と呼ばれる一口サイズのおにぎりやスライスレモン、地元のお漬物などを堪能すると眠気はすでに吹っ飛んでいました。
この先はいよいよ『銀河なめとこライン』。
長~い上りが始まります
南花巻(みなみはなまき)温泉郷をすぎたあたりの少し急な上り坂から歩きだす人もチラホラと…。
でもせめてフルの距離まではエイド以外では歩きたくない
結局豊沢ダム付近の49.6kmの第1関門までは一度も歩かず走り続けることができました。
関門閉鎖の予定時刻までちょうど1時間を残しての通過。
まだ充分時間はありますが、決して油断のできるようなタイムではありません。
だって本当に厳しいのはこれから…
ひたすら登り一辺倒の長ーい長ーい上り坂
車で下見した時、「楽ではないけどなんとかなるんじゃないの」などと思ってしまった自分はなんて愚かでアサハカなの
50km走ってきた足ではとてもとても走れたもんじゃありません
まわりを見渡しても見える限り全ての人が歩いていました
ただよく観察してみてみると、歩いている人にも2種類があって、「疲れ果てて走れない」っていう感じの人と後半に備えての「積極的休養」っていう感じの人。
「うーん、どう考えてみても自分は前者だな」
『走った距離は裏切らない』。
これは栄冠を勝ち取ったアスリートの名言ですが、今の自分には全く逆の、戒めの言葉に思えて仕方がありません
それでもなんとか長い坂道を登りきると、あの真っ暗トンネルが待ち受けています。
帽子のツバにあらかじめつけておいた100円ショップで買ったLEDライトの出番です。
「とりあえずこれを使える所まで来れてヨカッタ」
ボチボチ走りだします。
ライトに虫がよってくるのは想定外でしたが、やっぱり用意しておいてよかった
とりあえず足元は見えるし、ナンバーカードの背中側に取り付けられている反射材にしっかり反射して距離感を保ちやすい。正解でした
そして辛抱に辛抱を重ねてようやくたどり着いた峠のピーク。
トンネルを抜けると57.5kmのエイドが待ってくれていました。
ここでは少ししっかりめに休養。カルピスソーダが気持ちをリフレッシュさせてくれました。
さあ、ここからはしばらく下りだ。しっかり走ろう
と意気込みましたが、「あ、あれ」
足が動かない。
やっぱり一度立ち止まってしまうと足が重くなってしまいます。
それに加え、急な下り坂。
ももがつっぱらかって思うように走れません。
仕方がないので勾配のきつい部分はもう少し歩くことにしました。
ほどなくゆる~い下り坂へ変化してきたので徐々に走りだしてみます。
最初は恐る恐るという感じでしたが、次第に波に乗ることができ、その後しばらくはまた走り続けることができました。
「おいしいO2でおもてなし」という大会のキャッチコピーのとおりまわりは本当にきれいな緑で、この辺は快適に走ることができました。
やがて銀河なめとこラインを走り終え、ようやく道幅の広い県道1号線に到達。
そこから少し北上すると第2関門である66.5km地点のレストステーションです。
今回はやたらとトイレが近く、ここでもトイレによってから預けていた荷物を受け取り、汗だくになった帽子を取り換え、脚にエアーサロンバスを吹きかけました。
時計をみると制限時間までは約20分。
次の関門のことを考えるともう余裕はなくなってきました。
荷物を預けるとそそくさとレストステーションを出発し、次を目指しました。
この辺から上りはもう無くなるかな~と思っていたら、意外と地味~に傾斜が
だいぶ疲労がたまってきたのでキツイな~と思いながらも、周りを見ると黄色いナンバーを付けた人もまだチラホラと見ることができます。
黄色いナンバーはこの大会で5回以上完走した人だけが付けることが出来る栄光の証し。
「ということは粘っていけばまだ大丈夫なハズ。」
心の支えにしながら走り続けます。
雫石方面へ北上し、やがて「銀河高原ホテル」の看板が見えると左折
ここから再び少しキツイ上りになりますが根性で上りきり、折り返しのコーンを廻ります
するとなにやらカウントダウンをする声が…
「あと5・4・3…」
ここは77.3kmの第3関門。
「あれっ制限時間まではまだもう少し時間はあるはずじゃ…
」
よく見たら、地元の名物「牛乳寒天」が残りわずかになっていたので、残り数を教えるカウントダウンを行なっていたのでした。
「ま、ま、まぎらわし~~~」
チョーあせりつつも最後の1個を見事ゲット
チュルンとおいしく頂きました
ここの関門は走る前から「這ってでもタドリツキタイ」と思っていた重要なポイント。
よ~くみると競技上のルールにもちゃんと書いてあるんですよ
「場合によっては這ってもいい」って
無事その関門を通過し、来た道を下って県道1号線に戻るのかと思いきや、その手前で左折
ここからは下りになると想定していたのにゆるいながらもまたなが~い上りになっています。
「聞いてないよ~」
そろそろ限界に近付いてきた脚。再び歩きが入ってしまいます。
走るスピードはそれほど変わらないと思っていた黄色いナンバーの方々、そんな中でも黙々と走り続けます。
「やっぱりこういうところが決定的に違うんだな」
自分の未熟さを痛感し、改めて完走者に尊敬の念を抱きました。
78kmのエイドをなんとか通過、緑の中を延々と進みます。
「分け入っても分け入っても青い山(リフレイン)」
ようやく下りが始まりますが、疲労の激しい脚には逆にキツイ。
道幅もせまくスペースもないので次のエイドまではかなりの距離が…
この辺で再び眠気に襲われ、意識もうろうとしつつ進みます
「次の関門は何キロ地点だったかな~」
なかなか見えてこない次のチェックポイント。
制限時刻は午後4時というのはわかっていましたが、何キロだったかはうろ覚え。
「83kmだっけか85kmだったかな
それとももっと先
」
83kmならなんとか間に合うけどその先だとちょっともうキビシー
「山道だから地味な関門で、実は気がつかないうちに通過してたりして」
淡い期待を抱きますが、現実は厳しい(TωT)
実際の関門は86.3km地点。
「はい、ここで競技終了でーす。お疲れ様でした~。」
『ガーン』
5分遅れで通過ならず。人生最大級のショックです
係の方からリタイアカードなるものが渡されます。
リタイアというのは走り始めて7年目にして初めての経験。
「まっ、リタイアして収容車に乗るっていうのも一度体験してみたかったのよ。」
自分で自分につくウソほど悲しいものはありません
とはいえ、走行距離86.3km、走行時間12時間5分というのは自分の最長記録。
そこは素直に認めてあげましょう
「一気飲みさんはどうなったかな」
ここで初めてスマホをチェックしてみるとメールが入っています
「67km関門、ギリギリ通過です。かなり厳しい。」
こちらの状況を伝えようとメールを打ちますが、ここはやっぱり山奥。
電波が入らず、送信できませんでした。
やがてやってきた収容バス2台。結構な人数が乗ってますネ。
ゴール会場に向かいつつ、走り続ける人たちをうらやましく眺めます。
すると沿道の人たちから、
「お疲れサマ~よく頑張ったね~
」
収容バスに向かって大勢の人が大きく手を振り、ねぎらいの言葉をかけてくれます。
「いやぁ~、あったかい参加して本当にヨカッタ
」
そう心から思える瞬間でした。
バスで少し移動してからようやく電波が入るようになり、再びスマホをチェックすると…
「73キロ関門でストップ。私の分も頑張って下さい。」
あひゃ~だめだったか~
「私も83km関門通過できず。ショックです。」
悲しい返信メールを送ります
やがて雫石総合運動公園に到着。
バスを降りる人たちの足取りは「100%ゾンビかもね」「人類みなゾンビ
」
痛々しいです
あっ、だけどよく考えたら今回は一度も足がつっていない
チョースローペースのせいもあるかも知れませんが、あの薬がやっぱり効いてくれたのかも知れません。
「恐るべし、コムレケア」。
店員さんに感謝です
公園内に入るとゴールゲートが見えます。
「あああああ~、あのげえとをくぐりたかったなあああーーー」
次々にゴールする完走者をうらやましく見つめます。
「やっぱり100kmを完走できる人たちはすごいや」
その後認定証発行所へ行き、完走証より一回り小さい認定証を受け取ります。
何ももらえないものだと思っていたので、なんかこれだけでも嬉しいもんです
「リタイヤした人は三々五々お帰り下さい」的な流れなのかと思いきや、さにあらず。
雫石牛のバラ焼きやおにぎり、生ビールまですべて無料
一気飲みさんと迎えに来ていた一気飲みさんのご家族にあいさつしたのち解散。
それぞれ無事、帰宅することができました
完走を果たせないという残念な結果とはなりましたが、今回参加して無駄なものは何一つありません。
出てみて初めて分かったこともいろいろあり、本当に勉強になりました。
歩くべきところでは歩き、走るべきところではしっかり走る。
寒さ対策や暑さ対策、エイドの有効な利用のしかた。
必要な装備と当日に向けての地道な練習などなど。
全てがそろって初めて完走できるのだと思います。
そして大会運営にたずさわったすべての方々に感謝、沿道で応援してくれた方々にも感謝、そしてこのブログを通じての応援も本当に励みになりました
来年はぜひ「リタイヤ」から「リベンジ」へ。
また新たな一歩を踏み出していきたいと思います。
かなりの長文、お付き合いくださいましてありがとうございました~