失敗した経営者の実例 1
10年間資金調達コンサルティングをやっていますと、様々な業種の多くの経営者の方々とお知り合いになり、その方々の事業の成功と失敗も数多く見てきました。
そして、よくよく眺めてみると、成功する方と失敗する方には、それぞれに共通項があるように思えてなりません。
今回から何回かは、事業に成功された方と失敗された方の特徴などを、実例を中心に書いていきたいと思います。
敢えて整理しないで、できるだけ事実に直面した時の私見を中心に、感じたことをそのままお伝えしたいと思います。
事業の成功は、会社が持つ、人・物・金・情報の経営資源を最大限に生かすことであるということは、よく言われていますが、事業が成功する過程で、どの会社も起業してから2年間ぐらいは、経営資源の一つである資金の調達が非常に難しいと言うことは、前回までに書いてきた通りです。
経営資源の中でも特に「金」は、他の3つの資源を獲得したり充実するためにも、人体の血液のように不可欠なものであると私は思っていますので、異論もあると思いますが、特に創業期は最も大切な経営資源かもしれないと思っています。
経営者が成功するための最低必要条件はひょっとすると資金調達ではないでしょうか。
まず資金調達のできない典型的なパターンをいくつか書きます。本当は明るく、成功するパターンから書きたいところなのですが、失敗のパターンの方が分かりやすいですし、この反面教師として成功のパターンがある訳ですから、失敗のパターンをまずお話します。
◆資金調達のできないパターン1
「条件的に不可能な資金調達をしよう」とするパターンは、弊社に来られるお客様のなかで失敗された最も多いパターンで、創業期の経営者だけでなく、ベテランの経営者でも、状況によっては陥るパターンです。
資金を提供する金融機関も慈善事業ではなく、事業として資金提供を行うわけですから、その性格によって比重は違いますが、間接金融に絞れば、融資は、次の主なポイントのそれぞれの基準をクリアしないと、絶対に受けることができません。
1.直前3期と直近の財務内容やキャッシュフローの状況と事業内容などによる信頼性。(格付け)
2.土地など担保の信頼性。
3.代表者及び連帯保証人の信頼性。
代表的な融資も、1~3の要素を次のような比重で審査されています。
・銀行の無担保融資
1+3で、1が重視される
・不動産担保融資専門のファイナンス会社の融資
2を重点として+3と、少し1も考慮される
・商工ローン系や消費者金融系のローン
3をメインに1は参考程度
この3つの要素が融資を申し込む時点で、必要な資金の融資基準を上回らないと、実は全国どこの金融機関でもできないということを認識することが重要です。
(ケース1 創業期編)
3年前だったと記憶していますが、元大手通信会社の課長職だったM氏は、資本金1千万円で自動車の排気ガスクリーン機器の販売を目的とする会社を元同僚など3名で設立しました。
当初は海外の機器を製造販売する日本法人の代理店としてスタートする予定でしたが、たまたま画期的な機器の特許を申請している人を紹介され、この人と特許の独占な使用権を結び、自社で開発製造販売をする計画を持ったわけです。
要は、他社の一代理店ではなく開発製造販売というフルコースに事業を変更したわけです。
確かに、実験結果の書類を見ても、代理店契約を考えていた会社の機器を含め、その他の同業他社の機器に比べても、性能、価格で優位であるのは確かなようでした。
ところが、たちまち壁にぶつかったのは資金の問題です。資金は資本金1千万円と社長の実家から借入れた1千万円の2千万円で、事務所の保証金その他の支出を引くと、手元資金は約1千5百万円の状態でした。当初の計画ですと代理店加盟料が5百万円でしたから、残は1千万円になる予定でしたし、国民生活金融公庫から3百万円の融資も決まっていましたので、十分といえないまでも、なんとか事業を継続できる状況ではあったわけです。
ところが機器の開発製造から関わる計画を実行に移すとなると、特許の専用使用権契約料の手付金、開発費、試作品などを含めて、5千万円を新規に調達しないといけなくなり、この資金調達が上手くいかないので、弊社にご相談に見えた訳です。
ご相談に見えたのが、設立後半年程度でしたので、上記1の金融機関の格付けは取れないので、まず銀行からの調達は×ですから、開発者との契約料の支払いを先延ばしするか、この開発者からも出資できないかを確認しましたが、M氏曰く「技術が画期的なため、大手商社や自動車部品メーカーもこの開発者に接触をしてきていて、月末までには、最低この契約料の手付金2千5百万円を用意できないと、この事業機会を無くすのでなんとかお願いしたい。」と繰り返すばかりで、この月末というのがご相談を受けた日から3週間後でした。
新規に設立した会社が、新規に商品を開発する状況な訳ですから、ベンチャーキャピタルに打診するにしても、日が少なすぎますし、選択肢は次の方法しかなかったのです。
1.この契約料の支払条件を交渉して支払いを繰り延べる
2.知り合いから資金調達をする
3.不動産担保など、担保を提供するか、提供してくれる人を探す
4.契約自体を断念する
ところが、この社長は「1と4は論外。3は担保になるような物もないし頼める人もいない、2は知り合いにまだ事業がどうなるか分からないので迷惑をかけれない。」と言い張るわけです。
何度も何度も説明をして、融資をする金融機関がないということを理解した社長は、今度は「では個人で資金を提供してくれる人か、高金利でも良いから金融業者を紹介して欲しい。」という、お読みの方もヤバクなってきたと感じられるように、機器の開発製造販売のビジネスモデルに酔ってしまい、事業を構築するという冷静な判断ができない状態になっていました。
弊社はこの段階で、お手伝いはできないとお断りしたのですが、後日残はかなり悲惨で、よく調達できたと思いますが、結局のところ、いろんな数多くの街金的なところから約3千万円を借入、開発者へ契約料を支払い、試作品まではできたらしいのですが、製品化に更に5千万円程度の資金調達が必要となったそうです。
当然できないため、製品化が遅れ、資金の回収もできない訳ですから、返済や利払いも滞り、夜逃げをしたと聞きました。
また後日、全く別のお客様から、この開発者の製品は性能に問題があるだけでなく、特許の専用使用権を結ぶと言って2千万円~5千万円を取られたと人が多いと聞き、世間は狭いと感じただけでなく、なんであの社長はもっと冷静に開発者を見なかったのかと残念に思いました。
実はこの話、秘密保持の観点から、実際にあった実例を若干脚色をしていますが、80%は実話です。このパターンのケースは本当に多いので、もう少しお話させてください。次回に続きます。
そして、よくよく眺めてみると、成功する方と失敗する方には、それぞれに共通項があるように思えてなりません。
今回から何回かは、事業に成功された方と失敗された方の特徴などを、実例を中心に書いていきたいと思います。
敢えて整理しないで、できるだけ事実に直面した時の私見を中心に、感じたことをそのままお伝えしたいと思います。
事業の成功は、会社が持つ、人・物・金・情報の経営資源を最大限に生かすことであるということは、よく言われていますが、事業が成功する過程で、どの会社も起業してから2年間ぐらいは、経営資源の一つである資金の調達が非常に難しいと言うことは、前回までに書いてきた通りです。
経営資源の中でも特に「金」は、他の3つの資源を獲得したり充実するためにも、人体の血液のように不可欠なものであると私は思っていますので、異論もあると思いますが、特に創業期は最も大切な経営資源かもしれないと思っています。
経営者が成功するための最低必要条件はひょっとすると資金調達ではないでしょうか。
まず資金調達のできない典型的なパターンをいくつか書きます。本当は明るく、成功するパターンから書きたいところなのですが、失敗のパターンの方が分かりやすいですし、この反面教師として成功のパターンがある訳ですから、失敗のパターンをまずお話します。
◆資金調達のできないパターン1
「条件的に不可能な資金調達をしよう」とするパターンは、弊社に来られるお客様のなかで失敗された最も多いパターンで、創業期の経営者だけでなく、ベテランの経営者でも、状況によっては陥るパターンです。
資金を提供する金融機関も慈善事業ではなく、事業として資金提供を行うわけですから、その性格によって比重は違いますが、間接金融に絞れば、融資は、次の主なポイントのそれぞれの基準をクリアしないと、絶対に受けることができません。
1.直前3期と直近の財務内容やキャッシュフローの状況と事業内容などによる信頼性。(格付け)
2.土地など担保の信頼性。
3.代表者及び連帯保証人の信頼性。
代表的な融資も、1~3の要素を次のような比重で審査されています。
・銀行の無担保融資
1+3で、1が重視される
・不動産担保融資専門のファイナンス会社の融資
2を重点として+3と、少し1も考慮される
・商工ローン系や消費者金融系のローン
3をメインに1は参考程度
この3つの要素が融資を申し込む時点で、必要な資金の融資基準を上回らないと、実は全国どこの金融機関でもできないということを認識することが重要です。
(ケース1 創業期編)
3年前だったと記憶していますが、元大手通信会社の課長職だったM氏は、資本金1千万円で自動車の排気ガスクリーン機器の販売を目的とする会社を元同僚など3名で設立しました。
当初は海外の機器を製造販売する日本法人の代理店としてスタートする予定でしたが、たまたま画期的な機器の特許を申請している人を紹介され、この人と特許の独占な使用権を結び、自社で開発製造販売をする計画を持ったわけです。
要は、他社の一代理店ではなく開発製造販売というフルコースに事業を変更したわけです。
確かに、実験結果の書類を見ても、代理店契約を考えていた会社の機器を含め、その他の同業他社の機器に比べても、性能、価格で優位であるのは確かなようでした。
ところが、たちまち壁にぶつかったのは資金の問題です。資金は資本金1千万円と社長の実家から借入れた1千万円の2千万円で、事務所の保証金その他の支出を引くと、手元資金は約1千5百万円の状態でした。当初の計画ですと代理店加盟料が5百万円でしたから、残は1千万円になる予定でしたし、国民生活金融公庫から3百万円の融資も決まっていましたので、十分といえないまでも、なんとか事業を継続できる状況ではあったわけです。
ところが機器の開発製造から関わる計画を実行に移すとなると、特許の専用使用権契約料の手付金、開発費、試作品などを含めて、5千万円を新規に調達しないといけなくなり、この資金調達が上手くいかないので、弊社にご相談に見えた訳です。
ご相談に見えたのが、設立後半年程度でしたので、上記1の金融機関の格付けは取れないので、まず銀行からの調達は×ですから、開発者との契約料の支払いを先延ばしするか、この開発者からも出資できないかを確認しましたが、M氏曰く「技術が画期的なため、大手商社や自動車部品メーカーもこの開発者に接触をしてきていて、月末までには、最低この契約料の手付金2千5百万円を用意できないと、この事業機会を無くすのでなんとかお願いしたい。」と繰り返すばかりで、この月末というのがご相談を受けた日から3週間後でした。
新規に設立した会社が、新規に商品を開発する状況な訳ですから、ベンチャーキャピタルに打診するにしても、日が少なすぎますし、選択肢は次の方法しかなかったのです。
1.この契約料の支払条件を交渉して支払いを繰り延べる
2.知り合いから資金調達をする
3.不動産担保など、担保を提供するか、提供してくれる人を探す
4.契約自体を断念する
ところが、この社長は「1と4は論外。3は担保になるような物もないし頼める人もいない、2は知り合いにまだ事業がどうなるか分からないので迷惑をかけれない。」と言い張るわけです。
何度も何度も説明をして、融資をする金融機関がないということを理解した社長は、今度は「では個人で資金を提供してくれる人か、高金利でも良いから金融業者を紹介して欲しい。」という、お読みの方もヤバクなってきたと感じられるように、機器の開発製造販売のビジネスモデルに酔ってしまい、事業を構築するという冷静な判断ができない状態になっていました。
弊社はこの段階で、お手伝いはできないとお断りしたのですが、後日残はかなり悲惨で、よく調達できたと思いますが、結局のところ、いろんな数多くの街金的なところから約3千万円を借入、開発者へ契約料を支払い、試作品まではできたらしいのですが、製品化に更に5千万円程度の資金調達が必要となったそうです。
当然できないため、製品化が遅れ、資金の回収もできない訳ですから、返済や利払いも滞り、夜逃げをしたと聞きました。
また後日、全く別のお客様から、この開発者の製品は性能に問題があるだけでなく、特許の専用使用権を結ぶと言って2千万円~5千万円を取られたと人が多いと聞き、世間は狭いと感じただけでなく、なんであの社長はもっと冷静に開発者を見なかったのかと残念に思いました。
実はこの話、秘密保持の観点から、実際にあった実例を若干脚色をしていますが、80%は実話です。このパターンのケースは本当に多いので、もう少しお話させてください。次回に続きます。
直接金融に対する考え方
都市銀行や大手ファイナンス会社などからの間接金融があまり期待できない地方の会社にとっては、地元の銀行や信金、信組などとの取引がとても重要になるわけですが、ここでもう一つの選択肢として大切なのが、公的機関からの融資です。
馴染みのあるところでは国民生活金融公庫、中小企業金融公庫、商工組合中央金庫ながあるのはご存知だと思います。
残念ながら私は公的機関からの融資については専門外なので、手続や融資制度など詳しいことは言えません。友人に公的資金専門のコンサルタントがいますので、この方にコンサル上で必要な場合はお願いしています。
この彼は著作も多くその中の1冊は、この種類の本では珍しくヒットしました。
やはり彼は現場を数多く踏んでいて実績も豊富なので受けたのだと思います。
面白いので彼のホームページをご案内しておきます。
ご覧頂くと参考になると思いますよ。
http://www.mbs-con.com/
さて公的資金の話は後日に譲るとして、もう1つ地方の会社にとって有力な資金調達方法は直接金融、すなわちお知り合いの人や会社から、出資、社債ともちろん借入の形で資金を調達する方法です。もちろんお知り合いではない投資会社などからの出資もあります。
この方法は地方の会社だけではなく、都市部の会社にとっても創業時は有力な資金調達の手段ですので、馴染みもなく、なんとなく人間関係が壊れることを危惧し
躊躇される方も多いのですが、シンプルに言えば、決算を2回は完了しないと、銀行はもちろん、公的機関からも非常に融資を受けにくいのが現状ですので、直接金融は創業から2年間は必要不可欠な方法と言わざるを得ません。
まず銀行は原則3期分の決算、最低でも2期分の決算を経ていないと融資の審査対象にならないのが現状です。このことは現時点の銀行など金融機関の基本的な審査のルールとして、直前期の財務内容を重視して審査するのですから当然のことと受け取るしかありません。もちろん私も反論したいところですが・・・。
公的資金も創業者に対する制度などもあることはありますが、私の印象では、とにかく時間がかかり過ぎることと、融資額と同額の自己資金が必要とか、現実的には難しいことが多いようです。ここのところは私は専門外なので、詳しいところは先に紹介しましたコンサルタントのホームページや書籍で勉強していただければと思います。創業者用のホームページもありますので、ご覧頂くと良いと思います。
http://snavi.mbs-con.com/
日本では、創業時に資金を提供する金融機関が非常に少なく、このこと自体が経済の活性化の妨げになっていて、非常に問題であると思いますが、創業時から2年間は直接金融に頼らないといけないのが実状とまずご認識頂きたいと思います。
直接金融も、様々な方法がありますが、エクイティファイナンス(詳細は専門家に譲るとして、簡単に言えば株式を引き受けてもらう方法とご理解下さい)、社債(少人数私募債などどのような会社でもできる方法もあります)、融資の三つがあるとご理解下さい。
それぞれの詳しい説明をするのが本意ではないのと、知識もありませんので、詳細は専門家にお任せするとして、今日お話したいのは、直接金融を導入する考え方についてです。
創業間もない経営者からもよくご相談を受けますが、直接金融を積極的に導入、あるいは検討するのは、本当にほんの一握りの方で、多くは直接金融ができないから相談に来たと逆切れされたり(苦笑)、身近な人に貸しを作りたくない、もっと極端な方は、身近な人に迷惑をかけたくないと、かなり勘違いな方が多いというのが感想です。
確かに私自身考えても、友人や仕事仲間から資金の提供を受けることは面倒だとか、鬱陶しいと思わないわけではありませんが、自分の事業が絶対成功すると確信していて、でも金融機関から調達ができない場合、手をこまねくことなく検討しないと事業をやっていく、失礼ながら資格にかけるのではないかと思います。親しい会社や人から資金を調達することぐらいの実行力と説得力と本気モードがなくて、とても事業をやっていくのは難しいと思うのは、私の思い違いでしょうか・・・・。
事業をやっていると、毎日といって良いぐらい、限界的な調整や決断や説得が必要になるのは覚悟しないといけないと私は思っています。
でも多くの方は、銀行などからの間接金融はまだ無理で、知り合いからもまだ出資などを語れる時期ではないので駄目だから、ベンチャーキャピタルや個人投資家からの資金提供をサポートしてくれないかと言われます。
やはり冷静に見ればおかしいと思われませんか?
まだ事業は始めたばかりで、どうなるか分からないから資金の提供を、親しい会社や親しい方からは受けないと思っている会社の経営者に、見ず知らずの会社や人が資金提供をする訳はないと思います。
もっとすごい場合は、身近な会社や人は、自分のことを信用していないからなんて、ブラックジョークに近いことを言う人が、本当にいらっしゃるので、申し分けないけど事業をやめた方が良いのではなんて、ついつい言ってしまうことがあります。
当たり前のことを書くと思われる方もいらっしゃるでしょうが、このあたりの経営者の考え方が、事業で成功できるかどうかのまず第一ポイントと言うことは、今までお手伝いしてきた会社の成功失敗を数多く見て来ていますので、本当に痛感するところなのです。この続きを次回も書かせていただきたいと思います。
馴染みのあるところでは国民生活金融公庫、中小企業金融公庫、商工組合中央金庫ながあるのはご存知だと思います。
残念ながら私は公的機関からの融資については専門外なので、手続や融資制度など詳しいことは言えません。友人に公的資金専門のコンサルタントがいますので、この方にコンサル上で必要な場合はお願いしています。
この彼は著作も多くその中の1冊は、この種類の本では珍しくヒットしました。
やはり彼は現場を数多く踏んでいて実績も豊富なので受けたのだと思います。
面白いので彼のホームページをご案内しておきます。
ご覧頂くと参考になると思いますよ。
http://www.mbs-con.com/
さて公的資金の話は後日に譲るとして、もう1つ地方の会社にとって有力な資金調達方法は直接金融、すなわちお知り合いの人や会社から、出資、社債ともちろん借入の形で資金を調達する方法です。もちろんお知り合いではない投資会社などからの出資もあります。
この方法は地方の会社だけではなく、都市部の会社にとっても創業時は有力な資金調達の手段ですので、馴染みもなく、なんとなく人間関係が壊れることを危惧し
躊躇される方も多いのですが、シンプルに言えば、決算を2回は完了しないと、銀行はもちろん、公的機関からも非常に融資を受けにくいのが現状ですので、直接金融は創業から2年間は必要不可欠な方法と言わざるを得ません。
まず銀行は原則3期分の決算、最低でも2期分の決算を経ていないと融資の審査対象にならないのが現状です。このことは現時点の銀行など金融機関の基本的な審査のルールとして、直前期の財務内容を重視して審査するのですから当然のことと受け取るしかありません。もちろん私も反論したいところですが・・・。
公的資金も創業者に対する制度などもあることはありますが、私の印象では、とにかく時間がかかり過ぎることと、融資額と同額の自己資金が必要とか、現実的には難しいことが多いようです。ここのところは私は専門外なので、詳しいところは先に紹介しましたコンサルタントのホームページや書籍で勉強していただければと思います。創業者用のホームページもありますので、ご覧頂くと良いと思います。
http://snavi.mbs-con.com/
日本では、創業時に資金を提供する金融機関が非常に少なく、このこと自体が経済の活性化の妨げになっていて、非常に問題であると思いますが、創業時から2年間は直接金融に頼らないといけないのが実状とまずご認識頂きたいと思います。
直接金融も、様々な方法がありますが、エクイティファイナンス(詳細は専門家に譲るとして、簡単に言えば株式を引き受けてもらう方法とご理解下さい)、社債(少人数私募債などどのような会社でもできる方法もあります)、融資の三つがあるとご理解下さい。
それぞれの詳しい説明をするのが本意ではないのと、知識もありませんので、詳細は専門家にお任せするとして、今日お話したいのは、直接金融を導入する考え方についてです。
創業間もない経営者からもよくご相談を受けますが、直接金融を積極的に導入、あるいは検討するのは、本当にほんの一握りの方で、多くは直接金融ができないから相談に来たと逆切れされたり(苦笑)、身近な人に貸しを作りたくない、もっと極端な方は、身近な人に迷惑をかけたくないと、かなり勘違いな方が多いというのが感想です。
確かに私自身考えても、友人や仕事仲間から資金の提供を受けることは面倒だとか、鬱陶しいと思わないわけではありませんが、自分の事業が絶対成功すると確信していて、でも金融機関から調達ができない場合、手をこまねくことなく検討しないと事業をやっていく、失礼ながら資格にかけるのではないかと思います。親しい会社や人から資金を調達することぐらいの実行力と説得力と本気モードがなくて、とても事業をやっていくのは難しいと思うのは、私の思い違いでしょうか・・・・。
事業をやっていると、毎日といって良いぐらい、限界的な調整や決断や説得が必要になるのは覚悟しないといけないと私は思っています。
でも多くの方は、銀行などからの間接金融はまだ無理で、知り合いからもまだ出資などを語れる時期ではないので駄目だから、ベンチャーキャピタルや個人投資家からの資金提供をサポートしてくれないかと言われます。
やはり冷静に見ればおかしいと思われませんか?
まだ事業は始めたばかりで、どうなるか分からないから資金の提供を、親しい会社や親しい方からは受けないと思っている会社の経営者に、見ず知らずの会社や人が資金提供をする訳はないと思います。
もっとすごい場合は、身近な会社や人は、自分のことを信用していないからなんて、ブラックジョークに近いことを言う人が、本当にいらっしゃるので、申し分けないけど事業をやめた方が良いのではなんて、ついつい言ってしまうことがあります。
当たり前のことを書くと思われる方もいらっしゃるでしょうが、このあたりの経営者の考え方が、事業で成功できるかどうかのまず第一ポイントと言うことは、今までお手伝いしてきた会社の成功失敗を数多く見て来ていますので、本当に痛感するところなのです。この続きを次回も書かせていただきたいと思います。
地方間格差への対策
前回の続きですが、資金調達の難易度と選択肢に、残念ながら東京と他の地域では地域間の格差があることは述べたとおりです。
銀行など金融機関は、このことを表向き否定するかもしれませんが、10年間資金調達のお手伝いをしていて、このことは本当に痛切に感じています。
ただ、ある一定の規模(事業内容にもよりますが年間売上10億円以上)を超えると、また違った可能性が出てくるのですが、特に間接金融での資金調達の必要な、会社設立から年間売上高3億円位までの、会社が成功するかどうかの大切な時期に、地方間格差があることはとても深刻なことと思います。
弊社でも、いくつもの地方の会社に無担保融資をお手伝いした実績がありますが、成功した企業を整理すると次のような結果になります。
・本社所在地が下記の地域のような、都市銀行の支店や拠点から近い場所にある。神奈川県、埼玉県、千葉県、札幌市、仙台市、大阪市、広島市、福岡市
・事業内容にオリジナリティーがあり、事業成功への具体性が明確である。
・直前期決算で年間売上高が最低でも3億円以上計上している。
・東京23区の、千代田、中央、港、渋谷、新宿、目黒など比較的都心に会社の支店があった。
・顧問税理士のチェックシートの添付があった。
まだまだ他の要因もありますが、主なものはこんなところです。
この中で、苦肉の策ではあるのですが、多額の融資を必要とする事業の場合は、融資を受ける最低6ヶ月以上前に、支店を東京の都心部に持つようにお薦めしています。
なんだくだらない方法と思われるかもしれませんが、この方法は非常に効果的で、数十件この方法でお手伝いができたのですから、経費がかかりますが
多額の融資が必要な状況であれば、馬鹿にならない方法だと思います。
ある業種ではこのような動向が顕著なので、実行している会社は結構多いと思われます。
開設する支店の最低条件や、立地する場所によっても融資の可能性が違ったりするのですが、このあたりはまた別の機会にしたいと思います。
結構その地域では有名な企業ですので、所在地や業種などは架空の話にしますが、実際にあった実例をお話します。
ある地方の人口100万人以上の都市に本社があり、店舗はその都市とその周辺、あるいは近県にあるA社の案件です。
当時A社は売上高は約120億円、経常利益は数千万円、ただ自己資本比率が5%弱。(店舗を急激に、しかも主に土地建物を所有で拡大してきたことが理由)当初取引を希望されていた某都市銀行のA社の本社がある都市の支店(現在は支店と言わない融資業務を主な業務にする空中店舗が多いのですが、馴染みのある支店という名称を使っています)に打診したのですが、多分格付けが良くないのが理由だと思いますが、ほとんど門前払いに近い形で断られました。
この会社は他の都市銀行とは既に融資残があったり当座取引があったため、(銀行のルールで、同一行内の2支店と取引ができないという項目がある)、打診して断られた銀行にだけ新規に打診できる状況でした。
やむを得ずリスク覚悟で、東京の渋谷区に支店を開設してもらいました。
もちろんこの支店の目的も必ず融資を受ける際に説明が必要ですので、この会社の将来的な営業、財務などの戦略拠点として位置づけ、できるだけ最低誰か1名は東京支店内にいるようにアドバイスしました。
この案件の場合は6ヶ月はかからず、支店開設の3ヵ月後に、東京の渋谷に近い銀行の支店から、無担保で2億円の融資を受け、現在はメイン銀行になっており、他行からの借換も含めて約15億円以上の融資を受ける状況になっております。おまけに現在は監査法人とも契約し2年後の上場に向けて、準備をしています。
このように絵に描いたような成功話はめったにないのですが、本当に東京支店開設作戦は、現時点までは成功の確率が高いことは事実なので、多額の融資が必要と思われる会社の経営者の方は検討されたら良いと思います。
次回も公的資金には進めず、地方都市の会社の直接金融のことなどのお話しをしたいと思います。
銀行など金融機関は、このことを表向き否定するかもしれませんが、10年間資金調達のお手伝いをしていて、このことは本当に痛切に感じています。
ただ、ある一定の規模(事業内容にもよりますが年間売上10億円以上)を超えると、また違った可能性が出てくるのですが、特に間接金融での資金調達の必要な、会社設立から年間売上高3億円位までの、会社が成功するかどうかの大切な時期に、地方間格差があることはとても深刻なことと思います。
弊社でも、いくつもの地方の会社に無担保融資をお手伝いした実績がありますが、成功した企業を整理すると次のような結果になります。
・本社所在地が下記の地域のような、都市銀行の支店や拠点から近い場所にある。神奈川県、埼玉県、千葉県、札幌市、仙台市、大阪市、広島市、福岡市
・事業内容にオリジナリティーがあり、事業成功への具体性が明確である。
・直前期決算で年間売上高が最低でも3億円以上計上している。
・東京23区の、千代田、中央、港、渋谷、新宿、目黒など比較的都心に会社の支店があった。
・顧問税理士のチェックシートの添付があった。
まだまだ他の要因もありますが、主なものはこんなところです。
この中で、苦肉の策ではあるのですが、多額の融資を必要とする事業の場合は、融資を受ける最低6ヶ月以上前に、支店を東京の都心部に持つようにお薦めしています。
なんだくだらない方法と思われるかもしれませんが、この方法は非常に効果的で、数十件この方法でお手伝いができたのですから、経費がかかりますが
多額の融資が必要な状況であれば、馬鹿にならない方法だと思います。
ある業種ではこのような動向が顕著なので、実行している会社は結構多いと思われます。
開設する支店の最低条件や、立地する場所によっても融資の可能性が違ったりするのですが、このあたりはまた別の機会にしたいと思います。
結構その地域では有名な企業ですので、所在地や業種などは架空の話にしますが、実際にあった実例をお話します。
ある地方の人口100万人以上の都市に本社があり、店舗はその都市とその周辺、あるいは近県にあるA社の案件です。
当時A社は売上高は約120億円、経常利益は数千万円、ただ自己資本比率が5%弱。(店舗を急激に、しかも主に土地建物を所有で拡大してきたことが理由)当初取引を希望されていた某都市銀行のA社の本社がある都市の支店(現在は支店と言わない融資業務を主な業務にする空中店舗が多いのですが、馴染みのある支店という名称を使っています)に打診したのですが、多分格付けが良くないのが理由だと思いますが、ほとんど門前払いに近い形で断られました。
この会社は他の都市銀行とは既に融資残があったり当座取引があったため、(銀行のルールで、同一行内の2支店と取引ができないという項目がある)、打診して断られた銀行にだけ新規に打診できる状況でした。
やむを得ずリスク覚悟で、東京の渋谷区に支店を開設してもらいました。
もちろんこの支店の目的も必ず融資を受ける際に説明が必要ですので、この会社の将来的な営業、財務などの戦略拠点として位置づけ、できるだけ最低誰か1名は東京支店内にいるようにアドバイスしました。
この案件の場合は6ヶ月はかからず、支店開設の3ヵ月後に、東京の渋谷に近い銀行の支店から、無担保で2億円の融資を受け、現在はメイン銀行になっており、他行からの借換も含めて約15億円以上の融資を受ける状況になっております。おまけに現在は監査法人とも契約し2年後の上場に向けて、準備をしています。
このように絵に描いたような成功話はめったにないのですが、本当に東京支店開設作戦は、現時点までは成功の確率が高いことは事実なので、多額の融資が必要と思われる会社の経営者の方は検討されたら良いと思います。
次回も公的資金には進めず、地方都市の会社の直接金融のことなどのお話しをしたいと思います。