最近「触れることの科学」という本を読みました。
生物が一番最初に獲得した感覚が触覚です。
不思議なことに、ミントの葉っぱを触れば冷たく感じ、唐辛子を触れば暖かく感じる。
触覚が脳に、触ったものの性質までも情報として送っているようです。
以前から言ってるように、人間の考える器官は脳ではなくて、各細胞そのもので、皮膚も考えているわけです。
お世話になっている鍼灸院の方がこの本を読んでみて、なるほどと思うところが多々あったというコメントを見て、読んでみました。
私は昔から、マッサージ・指圧・操体・タイ古式マッサージ・アーユルヴェーディックマッサージなどの施術が大好きです。
普段の生活で固まってしまった体が、施術によってだんだんほぐれて行くのを感じる至福の時間で、施術に支払うお金は無駄と思ったことはありません。
以前は施術によって体が回復するのが嬉しいのだろうと思っていましたが、ここ数年、人間にとって「肌が生き物に触れる」ということが精神の安定にとても効果があると信じるようになっているのです。
「肌に触れてもらう」という点でその他のサービス・行為を探してみると、理容・美容や社交ダンスも同じ効果があるように思います。
また高齢者がペットを飼うのも単純にパートナーが欲しいだけでなく、ペットに触れる・ペットからタッチされることが安心感を得ることになっているのではないでしょうか。
介護施設では、利用者(高齢者)の手を握って会話をすることでコミュニケーションの質があがるそうです。
私も特養にいる母親と会話するときには手を握るようにしています。
医師の診察も昔はもっと患者の体に触れていたように思いますが、最近は1人の患者にかける時間が減って接触が殆ど無いようです。
これが医師に対する不満の原因の1つだと思います。
アメリカではウェイター・ウェイトレスが顧客の体にタッチしたほうがもらうチップの金額が数割上がるそうです。
私自身の経験では、アメリカの大学院に留学していた時に、当初恥ずかしかったハグがしばらくすると仲間たちとエネルギーを交換しているようでとても気持ちが良かったことを覚えています。
中南米・欧米は積極的に体を触れる文化がありますが、北東アジア圏では他人と肌が接することが少ない文化があります。
しかしながら日本を含む北東アジアでも、広い意味で肌が接することの効果が、今後より認識されて来るような気がしています。