「僕の女神」①
僕には二人?の女神がいる。一人はキューバで買った木工の人形である。
トリニダというキューバーで一番の歴史がある街の教会の広場の露天で売っていた物である。台の上に雑然と並べられていた。その一つが僕を呼んでいたのだ。
お土産の露天など興味も無かったので通り過ぎようとした時、目が合ってしまった。
ふと目が合ってと言うのはオカシイ、なぜならその人形には顔はないのだ。でも、目が合ってしまったのだ。そして普段の僕なら有り得ないのだが、値切りもせず買ってしまった。
人形自身はキューバ女性のように非常に肉感的なボディをしている。その姿態が気に入ったのではない。・・・内なるエネルギーを感じたのだ。それはラテン的な開放的で陽気なものでもあるし、また、遠い昔にアフリカから連れて来られて奴隷として絶え偲んで来た。不屈の忍耐力も感じるのだ。・・・でも、それ以上に感じるのは”何をも” 許容して包み込んでくれる優しさを感じたのだ。
神棚に神様(御札)と一緒に並んでいる。神様も淋しくなくて良いのじゃないかなぁ?などと、勝手に思っている。
日課として朝、起きると今日も無事に上手くいく事を祈っている。彼女は顔も無いのに優しく微笑んでくれる。そんな気がする。