平安神宮(京都府) | yampoo 御朱印集めの旅 

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御朱印を集める旅を始めました。

京都市左京区に鎮座されている平安神宮にお参りしました。

全国に「神宮」と呼ばれる神社は25社ありますが、そのなかでも、とりわけ明治以降に創建された天皇を祀る神社、橿原神宮と明治神宮そして平安神宮は、国家神道を推進する政府の威信をかけて建てられているせいか、とにかく広大で立派なお社です。

 

1895年(明治28年)に平安遷都1100年を記念して、平安神宮は建てられました。社殿はかつての大内裏の政庁である朝堂院を模し、実物の8分5の規模で復元されたもので、境内に入ると、まさに平安京の中心部にタイムスリップした感じです。建物の壁の朱色と緑色の瓦が鮮やかで絶妙にマッチングしています。

御祭神は平安京を開いた桓武天皇です。そして昭和15年、皇紀2600年の記念の年に孝明天皇が合祀されました。つまり平安京の最初の天皇と最後の天皇が祀られているわけです。

最初に孝明天皇が祀られていると聞いて、ちょっと臭うものがありました。というのも、幕末の動乱期に、孝明天皇が突然崩御されて、その後の政局は極めて薩長側に有利に動きます。したがって、孝明天皇の崩御は岩倉具視をはじめ薩長側の謀略ではないかという噂が絶えません。私は桓武天皇の名を借りて、実は孝明天皇の霊を慰めるために平安神宮を建てたのかと最初は思ったのですが、昭和15年に合祀ということですから、それはきっと違うのでしょう。

 

実は天皇を祀った神社というのは意外に少ないというのに気づかされます。

神社に祀られている天皇で圧倒的に多いのは応神天皇です。なにせ宇佐神宮をはじめ全国津々浦々にある八幡系神社の御祭神です。特に九州では母親の神功皇后とのコンビで祀られていることが多いです。

初代天皇とされる神武天皇は明治23年に建てられた橿原神宮が有名ですが、その昔から神武天皇を御祭神としているのは唯一、宮崎神宮だけです。これは本当に意外です。

あとは、応神天皇の父親である(父親とされている)仲哀天皇が福岡の香椎宮と敦賀の気比神宮に古くから祀られているようです。

天智天皇は近江神宮に祀られていますが、これは昭和15年の創建、明治天皇は明治神宮と北海道神宮に祀られていますが、創建は大正時代なのでかなり新しいお社です。

 

その他では、崇徳天皇と淳仁天皇が白峯神宮(京都)に、安徳天皇は赤間神宮(山口)に、後鳥羽天皇、土御門天皇、順徳天皇は水無瀬神宮(大阪)に、後白河天皇は新日吉神宮(京都)にそれぞれ祀られていますが、これらは乱で負けて流されたか、あるいは非業の死を遂げた天皇で、まさしく霊を慰めるために、最初はお寺だったものが、明治の神仏分離により、逆に「神宮」として神社に生まれ変わったものです。

 

つまり、古くから神社で祀られている天皇は、私の知っている限り、わずかに神武天皇、仲哀天皇そして応神天皇だけです。

 

天皇は神道のトップに立っており、西洋で言えばカソリックの法皇のようなもので、それでこそ「権威」があると思うのですが、明治以前、その天皇は実は神社で祀る御祭神になり得る対象ではなかったことが分かります。

明治以降、国家神道を推し進める政府によって、本来の神社のあり方というものがねじ曲げられてきたのかもしれません。

 

平安神宮にお参りした日は、異常に暑かったゴールデンウィークの後だったのですが、本来の5月の爽やかな陽気のなか、明治時代の代表的な庭園として知られる「神苑」を散策しました。神苑は広大な池泉回遊式庭園の様式で、暫し池のほとりで佇み、とても精神的にリラックスすることができました。