山陽道にある一之宮神社のなかで、まだお参りできていなかった岡山県赤磐市に鎮座されている石上布都魂神社(いそのかみふつみたまじんじゃ)に行って来ました。
岡山駅でレンタカーを借りて行ったのですが、地図を見る限り、さほど岡山市街地からは離れていないようだったので、簡単に行けるのかなと思いきや、こんな所に一之宮があるのかと不安になるくらいのかなりの山道を進んでいかなければなりませんでした。
石上布都魂神社は備前国の一之宮です。
吉備国の一之宮の御祭神はほとんどの場合が吉備津彦命(きびつひこのみこと)で、桃太郎伝説のモチーフとなった神様です。
しかし、石上布都魂神社の御祭神は素戔嗚尊(すさのおのみこと)です。ただ、この御祭神に関しては明治時代になってから正式に決められたようで、その昔は素戔嗚尊が八岐大蛇を退治したときに使った十握剣(とつかのつるぎ)を御神体としていました。
この十握剣を布都魂御剣(ふつみたまのつるぎ)と称し、神社の社号となったのだと思います。
そして、いつしか十握剣は大和国の石上神宮に移されました。
ちなみに「布都(フツ)」とはものが切れる音を指し、非常に切れ味の良い様を表わしています。
ここで、記紀に登場する有名な剣についてまとめてみました。
① 十握剣:素戔嗚尊が出雲で八岐大蛇を退治したときに使った剣
② 草薙剣:退治した八岐大蛇の尾から出てきた神剣。天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ)とも言われますが、日本武尊(やまとたけるのみこと)が草を薙いで危機を脱したという逸話から「草薙剣」の名の方が有名。三種の神器のひとつ。
③ 布都魂剣:鹿島と香取の神様が、大国主命に国譲りを迫ったときに使った剣。後に、神武天皇が東征の時に熊野で危機に陥ったのですが、それを救ったのも布都魂剣です。
①の十握剣と③の布都魂剣が混同されることがあるのですが、全く別物だということです。
ところで、「石上」と言うと、真っ先に物部氏と関係の深い奈良の「石上神宮」を思い浮かべます。石上神宮には上記の十握剣、布都魂剣やあの有名な七支刀なども所蔵されており、当時から剣に関する宝物館、そして武器庫としての側面があるようです。
石上布都魂神社の宮司さんのお名前は「物部さん」だと聞いてびっくりしました。やはり古くから石上神宮とは関係が深かったのだと思います。
拝殿から山道を10分くらい登ったところに本宮があります。
そこには大きな磐座があり結界となっていました。もともとは、この磐座を祀るシンプルなお社だったのかもしれません。
御朱印や御守りは自動販売機で授かることができます。自動販売機の授与所というのは初めてだったので、これにはちょっと笑ってしまいました。