日向国の一之宮は宮崎県児湯郡都農町に鎮座されている都農(つの)神社です。
児湯というと、私のイメージではブロイラー(鶏肉)の一大生産地です。宮崎県のほぼ中央、海側(日向灘)に位置しています。
御祭神は大己貴命(おおなむちのみこと)で、大国主命の別名です。
日向というと「天孫降臨」や「神武天皇の東征」など、天照大神系の神々の聖地という感じがするのですが、そこに出雲の大国主命が祀られているのは本当に不可解です。
都農神社に関わる他のブログの記事を見ても、皆さんがこれを指摘されています。
出雲の勢力が日向まで及んでいたかというと、そういう風にはちょっと考えにくいです。
やはり以前、伊和神社編で述べたように、大国主命(大己貴命)というのは固有名詞ではなく、普通名詞ではないかと思っています。
つまり、各地域の豪族の祖霊神、あるいはその地域の発展に寄与した神様を単に大国主命と呼んでいたのではないかということです。
「大国主」とは「大いなる国の主」という意味ですから、地域ごとにいたとしても不思議ではありません。
現に、都農町付近では20基以上の古墳があり、太古からこの辺りに一大勢力が割拠していたことを窺わせます。
社伝によると、神武天皇が東征に向かう際に鎮祭したことに始まるとあります。
宮崎県の海は日向灘と呼ばれていますが、これは砂浜がずっと続く単調な地形で、風を遮る湾や半島などがないという意味です。つまり、強風のときの逃げ場がなく、船の航行が難しい海域です。
おそらく神武天皇は海上平穏を祈願して、都農の守護神を鎮めたのだと思います。
お参りした日は、まさしく日向(ひむか)の一之宮参拝に相応しい良い天気でした。
御朱印には因幡の白兎と、大国主命の窮地を助けたネズミがあしらわれています。



