ピロリを思う時に

必ず蘇るあの駐車場の光景





あの後

夫に本心を聞いた事がある


時期を変えて、何度聞いても同じ答


「もし、こんな事にならなかったら

(私にバレなかったら)帰るつもりだった

娘の為のコロナ別居を終えたら

本当に帰宅するつもりだった」

「帰りたい

それ以外の考えは一切なかった」と…


そう言っていた

「あの女(ピロリ)は?

あの女の事はどうするつもりだったの?」

と、聞いた私に

夫は「わからない…」と言った


私は

それは夫の本心だったと今も思っている


ピロリとは

恐らく飽きた頃に終わらせるつもりで

それもそう長くは続かなかっただろうと

そこは今でもそう思う


恐らくカッパも同じ

10年前に病気になってからは

治療の為の援助はしても

男女の関係ではなかった、と


それは事実だっただろうし

当時の探偵の調査にも裏付けられている

夫の供述通り

カッパが登場したのは

通院の付き添いに一度

ファミレスでのランチに一度

それだけ…

あとはどこを切っても同じく現れる

金太郎飴のようにピロリばかり…



今思えば

あの日の私のあの行動が

自制していた夫の判断を狂わせ

欲に傾く夫に火をつけてしまったと

そんな気がする


家族の前では隠し通していたもう一人の夫

そちら側で生きるしかないと

思わせてしまったのだと思う


もし私があの日に

駐車場などに行かず

夫の行動など調べずにいたら

恐らく今のようにはなっていなかった


私は今でも

何も知らずに夫を100%信じる妻であり

まさか夫が私や子供達を裏切り

他の女と同棲するなどとは

夢にも思わなかっただろう

それが良かったかどうかは別として…



あの日

夫の中で堰き止めていた何かが決壊したのは事実

バレてしまったからにはもう戻れない…

そう思ったのだと思う


どうしたいかではないし

誰を好きか、でもない

尊厳のなくなった所にとどまりたくない

それだけ…


あれから時は流れ

絶対に帰らないと言った夫

私を嫌いだと言い放ち

カッパと別れるのは無理だと言った夫


私の頭からその言葉が離れない


何よりも面子


夫は世間には

恐らくあまり居ないタイプの

不倫者なのだろうかと思う