その瞬間私の脳内で何かが弾けました。
ここから私は大暴走してしまいます。
冷静さを完全に失ってしまったのです。
夫は、女に私を家内だと紹介し、女を会社関係の方でお世話になっている人だと説明しました。
そんな言葉は耳に入りません。
私は容赦なく責め立てました。
探偵社に内密に調べてもらっていた話を持ち出し
わかっていた真実を、夫が隠しておきたかった全てを暴き、真実を夫と女に叩きつけました。
フロントガラスに映る私は、たぶんこれまで見せたどんな顔よりも歪んで醜く、悲しい姿だったと思います。
女は薄笑いを浮かべていました。
「この人が既婚者だと知っていましたか?」と聞くと「はい」
「子供が3人いて、1人には重い障害があって。
その世話を私がずっとみていて。そういう事を知っていますか?」「はい」
その態度は、余裕すら感じました。
「これから、夫のマンションに2人で行くのね」この問いに夫は、必死で弁解。
「そんな訳はない。一度も連れて行った事などない」
「俺の家は、お前達のいるあの家だ。
ここじゃないし、マンションでもない」
女は薄笑いを浮かべたまま
私の問いに挑戦的に
淀みなく答えます。
「はい。私、合鍵も持ってます」
夫の顔は困惑から次第に何か諦めたような悲しげな顔に変わっていました。
そして、「話は改めてまたするから…」と
女を乗せたまま
夫の車は立ち去ってしまいました。
たったひとり残された私は
見知らぬ駐車場で
ただ呆然と立ちつくしていました。