アゲハ蝶~飛べない雌アゲハ~ -45ページ目

*ストップ*

夜風が妙に冷たくて
満たされているはずの胸ん中に切なく凍みる




君と歩いた道ゎ虫の鳴き声だけが響いて
後にも、前にも


君ゎ居ない



僕らの時間ゎあの頃のまま止まっているのかな…


アスファルトに落ちる涙が地面を湿らせて
虚しく跡だけ残すんだ



僕だけがここから動けずにあの頃を振り返る


この場所に
僕が居る痕跡だけが残るんだ




君を見つけられないのゎ
君に逢えないのゎ
君が僕を振り返らないのゎ



君だけが先へ進むから?
想像もつかないくらい
先を歩いているから?




ここにうずくまる僕を
歩けずにいる僕を
進めずに小さくなるばかりの僕を




見つけてよ…




あの頃の様に


その手を差し伸べてよ…

*逢いたい*

逢いたいよ…



ねぇ逢いたいよ…




君ゎ変わらず、そこに居るのに…
手も、声も届かない…



ねぇ逢いたい



あとどのくらい呟けば
本当に逢えるの…

*マイベイビー*

ねぇなんで泣いてるの…


お腹を空かせてるわけでもない
喉が乾いてるわけでもない
眠いわけでもない


それなのにどうしてそんなに泣いているの…



君の泣き叫ぶ声を
無心で聞いてみる


すると僕も泣けてきた


苛立つ自分に
人目も気にせず声に出して泣き叫ぶ事が出来る君に
すべてに泣けてきたんだ…


君色という毎日に追われるうちに
いつしか僕ゎ泣き方を忘れていた


そんな僕ゎ君に少し嫉妬していたのかな…


小さな小さな君に…
言葉にならない思いを
毎日必死に叫んでいるだけなのに…
君にゎ僕しか居ないから
必死に伝えてくれているだけなのに…



少し冷静になった時
僕ゎ君を抱き締めた
小さい背中を力一杯


ごめんね、と


君ゎ笑った
屈託もない、偽りもない
真っすぐな笑顔で
僕に笑いかけてきた




そして僕ゎまた泣けてきた…