BETTAKO -其の72- | 熱血店主のスクラムな毎日

熱血店主のスクラムな毎日

ラグビってる一姫二太郎3児の父っす。
創業昭和56年池袋の東口で営み続けてきた
BETTAKO、2018年JR埼京線板橋駅徒歩2分ほどで
古家を改築再び頑張らせてもらう事になりました。

あら。申し訳ない。
金曜日には届くと思うのだけど…。

L字のカウンター越しに女史との会話。
伊豆七島の焼酎に惚れ込んでしまったとか。

蔵元・造り手に代わり感謝申し上げます。
なにぶん、焼酎の日差しというものは、
いかんせん、鹿児島を含む九州に当たりやすい
てすから。

どうしても…飲みたい。
そう仰るので、何時もながら、目盛り付きの
グラスをカウンターの上に、コトン♪と2つ置き
カウンター越しの女史にこう伝えた。
原材料や酵母が異なります。
ん?と思いますが、それでも宜しいですか?
そうお断りを入れた。

お願いします。

農林31号を用いた鹿児島の焼酎に比べ、
農林36号を用いる島内の蔵は、その特有の
舌感と風味を、ギリギリまで近づけなければ
島風の焼酎にはならない。

とはいえ島内のさつまいもの産地を思案と
するとしても、鹿児島のさつまいもの品種から
選び出すのは、酵母が異なるため、
バランスが崩れてしまう。

1〜2分待たせてもらい、農林36号に近き
蒸溜方法と貯蔵方法の焼酎に、イメージを
切り替えてみた。

とある蔵の芋焼酎。

華やかで後味にまろ味がかった風味。
その一本を選び出すことができた。

さて…次は麦を選ばなければならない。
島内の焼酎は協会酵母を用いて仕上げる。
大分や宮崎など、脚光を浴びた地域の麦焼酎は、
鹿児島酵母をあえて用い、クリエイティブに
仕上げて来ることが多い。

協会酵母を用いて仕込まれた焼酎に
最も近い銘柄をまずは選ばなくてはならない。
選出されたら産地異なる、島内酒らしく
仕上げる為、湯と水の割合比率を微妙に
変えながら仕上げてみた。

よし。これで麦はこの割合でオッケー。
では次に、先ほど選出した芋焼酎の銘柄と
麦焼酎の割合比率に、神経を集中させ、
慎重に混合していく。

麦の風味と特味。
芋の風味と特味。
しかし芋側の後味と甘味が違う……。

かなり細かい作業で作るんですね。
そう問われ、いつもこんな感じなんで…(^^;)

ん? 
あっ!そっか!あれがあったじゃないか!

そう棚をガサゴソと探す。
四合瓶ではあるが、農林64号の銘柄が運良く
一本だけあった。香りと味を確かめ、
ある一定の温度で、農林64号の華を開かせる。
華を開かせた銘柄の焼酎を、先ほど割り出した
芋と麦の焼酎に混和をさせていくが、

その比率は非常にシビアな為、ゆっくりと
慎重に流し入れる……。
すると……近づけた。

先程言ったように、酵母と原材料の産地特性が
違いますので、島の焼酎のようにはいきませんが
だいぶ近づけたと思いますので、
嗜んでくださればと…そう。割上げたグラスを
女史の前にスゥーっと、差し出した。

確かに。
鹿児島っぽさは残ってますが、
島の焼酎みたいですね。

まぁ〜即席で作ったので、荒々しさはありますが
次回まで、こちらで少し我慢なさってください。
…あっ!無論、そちらの焼酎は、僕の
試験品ですので、お代は頂きません。

マスターは唎酒師とか、アドバイザーとか
ですか?そう聞かれた。

いえいえ。
僕にはSSIは必要ありません。
焼酎は蒸留酒です。瓶の中で眠る、各銘柄の
個性を見つめ、そのポテンシャルを最大限に
引き出してあげるのが、僕のシゴトですよ。
そう答えた。

蔵元と知り合えた喜びも味の内。
銘柄を覚えられたのも味の内。

どんな音楽や音を聴くのでしょう。
どんな空間で嗜むのでしょう。
どんなアテと嗜むのでしょう。

その時、その日を

日本酒も好き、ワインも好き、そして焼酎も好き
このご時世、素晴らしきお綺麗な飲み手さんと
出会えた事、店主、蔵元に代わり
改めて感謝申し上げます。