残り ミステリー2冊。
「 化石少女と七つの冒険 」 麻耶雄嵩
連作・本格ミステリー『 化石少女 』の続編。
『 前作 』の最後が “アレ” だったので 続編を知って すげー驚いたんですよね。
コレが出るんなら『 友達以上 探偵未満 』の続編も ワンチャンあるかも?
(「 パズラー 」強めな コッチの方が 好み )
化石オタクの 少女・神舞( かんぶ )まりあ と、
彼女の “お守” として 学園に入学した、後輩の桑島彰( くわじま あきら )、この「 古生物部 」の2人が
学園で起こる 殺人事件に関わる事になり…みたいな内容。
ミステリーのジャンル としては「 青春モノ 」ですが
かなり “変化球” 的な「 探偵と ワトソンもの 」でもあります。
ちなみに『前作』から繋がっている( 前作の ネタバレがある ) ので そこは注意。
本作は 全7章( 話 )の 連作構成。
前回は「 古生物部の存続を巡る 生徒会との対立 」が 話の軸だったけど、
今回は “アレ” を抱える 彰が まりあの “天然推理” に 危惧、
あせりを覚える…みたいな感じと 彰が ド真ん中になる話に。
それに まりあが 脚光を浴びた事で 2人の周辺環境が 変化して
彰の「 存在意義 」が 揺らいだり、
これまた・・・な 新入部員が加わったり、ライバル探偵が登場したりで 青春・サスペンス度(?)も アップ。
あと、あまり関係ないけど「 やたら 殺人事件が起こる学園 」を
みんなが 受け入れている設定も 最高だったり。
「 本格ミステリー 」としては 麻耶雄嵩らしい、
いわゆる「 後期クイーン問題 」を 感じさせる内容なため、
ダメ・苦手な人が いるかも。
あと「 各章 」で 殺人は起こるけど “彰絡み” で「 話 」が続いているため、気持ち的には ほぼ1本の印象でしたね。
そんな中、個人的に 単体で「 本格 」を楽しめたのは、
第1章「 古生物部、差し押さえる 」と
第2章「 彷徨える電人Q 」かな。
特に 第1章は「 手掛かり 」の難度が高くて ヤラレタ感がありましたね。
第5章「 乃公出でずんば 」の「 探偵対決 」も オモシロかったな。
最後、第7章「 禁じられた遊び 」にも すっかり騙されました。
( 全ては コレのためだったのか… )
という事で『 化石少女 』( 麻耶雄嵩 作品 )が大丈夫なら 楽しめるかと。
「 スリーピング事故物件 」 西澤保彦
ミステリー。
退職した 音尾初音( おとお はつね )と、親しくも 退職の原因となった 渕口由布子( ふちぐち ゆうこ )、
彼女の姪の大学生、渕口真歩( まほ )の 3人は 格安で
ルームシェアするため、21年前の 1994年に「 殺人事件 」があった 板羽ステイツの「 五〇三 号室 」を内見。
┇
3人は 事件の被害者、奏人の “残留思念”( または 霊 ) による 「 犯人は 知らない人 」を受け、21年前の事件を捜査する事にするが……。
という、西澤 作品で よく見る チョット特殊な「 過去の記憶 」系・ミステリー。
思ってたよりも「 事故物件 」感?は 低めで、
被害者の “残留思念” も「 特殊設定 」かと思いきや 出番は
少なく 想像よりも フツーの印象。
どうやら 残留思念に 関しては
「 被害者に 犯人の面識がまったくない 」
という「 動機不明 」を強調するための設定のようですね。
「 話 」自体は「 聞き込み 」と「 推理・推測 」なんですが、
これまた 西澤らしい「 下世話 」&「 痴話 」の要素が強く、
主人公・初音や 由布子、その他の男女の “ユルさ” には 少々
呆れ気味に。
さらに 人物関係も 結構 入り組んでいて( コレも 西澤らしい ) 読んでいて 少々 メンドいです。
今っぽい「 百合 」要素も( 他の作品 同様に )取って付けた
ような描写で、
「 両性愛 」を持ってきたのは イイとは思ったけど、全体としては 上手くいっていないと思いましたね。
それでも 二転三転する展開で 要所要所 盛り上がったし、
ユーモアある「 初音の心情 」や「 掛け合い 」も悪くなかったです。
何より メインの「 動機 」や「 犯人 」に 納得感があり
個人的には「 まあまあ 本格 」※だったのが 良かったですね。
( ※ 下世話 & 痴話にも 理由があった )
という事で 何だかんだ 思う所はあるものの 面白かったですよ。
でも オススメは しづらいかな。