ミステリー2冊「 5A73 」、「 永劫館 超連続殺人事件 」 | berobe 映画雑感

berobe 映画雑感

「 映画 」と「 本 」の感想

 

 

今月 読んだのは…

 

 

ミステリー

 「 5A73 」  詠坂雄二

 

 

本格ミステリー

 「 永劫館 超連続殺人事件 魔女はXと死ぬ事にした 」

南海遊

 

 

連作本格ミステリーの 続編

 「 化石少女 と 七つの冒険 」  麻耶雄嵩

 

 

ミステリー

 「 スリーピング事故物件 」  西澤保彦

 

 

の4冊と、今回も 焼け石に水の「 ミステリー 」のみの構成。

 

さすがに 他のも読みたいんで 来月からは 通常運転?です。

 

 

まずは 最初の2冊。

 

 

「 5A73 」  詠坂雄二

 

ミステリー。

 

 

 

「 確かに 四例目でしたね 」

 

地下鉄で 自殺した男の身体には “幽霊文字” の「 暃 」が

タトゥーシールで 貼られていた。

 

通常業務に馴染まないため「 刑事部 別室 」所属の 山本早川刑事2人は、身体に「 暃 」( 読めない、意味なし 文字 )が残された「 連続?自殺事件 」の捜査に当たる事になるが……。

 

 

 

前に『 アメトーーク 』で紹介された小説ですね。

 

 

詠坂雄二 は 気になってはいるものの クセが強め…なのは

いいとして、作品によって 繋がりがあるのが 気に掛かり

手に取りにくく、

 

ファンタジー系・連作短篇『 人ノ町 』

 

都市伝説 系・ミステリー『 電氣人間の虞( おそれ )』

 

ミステリー『 ドゥルシネーアの休日 』

 

しか読めてません。

 

 

ちなみに 上3冊では「 いろんな町を探訪する 」ファンタジーの

『 人ノ町 』が フツーに オススメ。

 

個人的には『 電氣人間 』が スゴく好きなんですが、オチが人を選ぶんで ススメづらいんですよね。

 

( オチゆえ その「 傾向 」すら説明できない もどかしさ )

 

 

で 本作はというと「 幽霊文字が絡む?連続自殺?の謎 」という

なんだか オカルティック、都市伝説チックな 内容。


 

本書でも 説明がありますが “幽霊文字” とは「 JISコード 」

には 登録されてはいるが「 音 」も「 意味 」も “持っていない”

文字のこと。

 

ちなみに 書かなくても わかると思うけど「 5A73 」は

「 暃 」の JISコードです。

 

 

(「 暃 」は「 ひ 」の変換から出せます。

上と下、両方の読みに 引っ張られてるんですね )

 

 

こう聞くと 不可思議な話ですが、

 

「 登録の際、誤写によって 紛れ込んだのが ほぼ確定 」

 

らしく、文字によっては「 誤写元の漢字 」も わかっている

みたいですね。

 

 

「 話 」としては「 章 」ごとに「 山本早川の 捜査 」と

自殺者 」のパートが 交互に代わる 構成なんですが、

 

「 ミステリー 」らしい流れは あるものの、その中身は 主に

「 暃 」の「 意味 」や「 読み 」についての考察です。

 

 

こう聞くと つまらなそうですが「 暃 」の読み方に 人それぞれの人生や 性質が 反映されていて「 ドラマ性 」があり、

 

「 暃 」の「 形 」から連想する「 発想力クイズ 」っぽさも

あるなど「 エンタメ性 」(?)も まあまあ。

 

ちょっと前に読んだ エンタメ・人間ドラマ『 君のクイズ 』と 通底していると 思えたので、

 

個人的には それをもじった「 君の暃( 読めない文字 )」※

という「 話 」でもありましたね。

 

( ※「 ゼロ読み 解答 」ならぬ「 読みゼロ 解答 」)

 

 

「 オチ 」も「 好きなヤツ 」だったしで とても 楽しく読めた

作品でしたよ。

 

ですが『 電氣人間 』同様、こちらも( レビューを見ると )

「 人を選ぶ オチ 」っぽいので 人によっては ダメかもしれません。

 

 

ちなみに 読み終わった後、もしやと思い “アイツ” を 調べたら

『 電氣人間 』の アイツでした。

 

でも『 電氣人間 』未読でも 影響はないと思うので

( 実際 すっかり 忘れていたし ) 気になった方は チェックしてみてください。

 

 

 

 

「 永劫館 超連続殺人事
魔女はXと死ぬ事にした 」

南海遊

特殊設定・本格ミステリー。
 
 
 
「 私の目を、最後までみつめていて 」
 
死にゆく リリィジュディス( リリィ )の瞳をみつめた ヒースクリフ( ヒース )は リリイの絶命と共に “前日” に戻っていた。
 
リリィは「 死ぬと24時間前に戻る 」“死に戻り” と、
 
「 最後に目が合った者を 強制的に “死に戻り” に付き添わす 」
“道連れ” の 呪いを持つ 魔女だという…。
の危篤の知らせを受け 3年ぶりに生家「 永劫館 」に帰って
来た 没落貴族の長男、ヒースだったが、は すでに亡くなっていた。
 
その翌日、葬儀の日の朝、車イスに乗る 盲目の少女で ヒースの妹、コーデリアが「 鍵の掛かった自室 」で 首を切断された死体となって 発見され……。
 
 
 
というような「 19世紀初頭?の イギリスっぽい国?」を
舞台にした、「 ループ系 」の 特殊設定・ミステリー。
 
 
上記の通り「 館 」&「 密室 」モノで「 クローズドサークル 」要素もあったり。
 
あと「 リリィの 3つめの呪い 」として「 不老不死 」なんてのもあります。
 
 
内容としては「 ヒース妹・コーデリア 密室殺人 」の他、
 
「 3年前の ヒースの父の自殺 」や「 リリィ殺し 」、
その他 “いろいろ” あって 盛りだくさん。
 
 
時代設定からか「 古典 」っぽい 雰囲気なんですが、
 
前半の「 ヒース父の自殺 」では 3図に分けて「 事件現場 」を わかりやすく図解していたりと 今風で 読みやすくもあります。
 
ただ、文章が チョット固め?なのが 気になったかな。
 
 
話の流れとしては 設定から「 何度も ループして 事件を防ぐ 」みたいな展開だと 思っていたんですが、以外にも “その展開” は 少な目。
 
なので「 を救いたい ヒース 」と「 “死に戻り” から脱出したい リリィ 」に 切迫感は覚えたものの 少々拍子抜け。

 

…したんですが、これぞ「 特殊設定 」といえる「 真相 」と

「 密室トリック 」( ネタ元は 某・有名映画かな? )、

 

さらに続く 終盤の「 エグい展開 」には 衝撃が走りましたよ。

 

チョット盛り過ぎ感のある「 タイトル 」にも 納得できましたね。

 

(「 サブタイ 」も実は… )

 

「 特殊設定 」じゃない「 ヒース父 」の方も 良かったし、

 

「 手掛かり & 伏線 」関係の 描写も上手く フェアな作りで
個人的には「 本格度 」も高かったです。

 

「 認識 」のくだりに イマイチ ピンと来ない人は いるかもしれませんが、

 

「 特殊設定 」が キライじゃなければ おそらく 面白く読めるかと。

 

あと「 エンタメ性 」も 結構あると思うので「 本格 」関係なく 普通に ミステリーとしても オススメしたい作品ですね。