ドラマ系「 映画 」いろいろ | berobe 映画雑感

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「 映画 」と「 本 」の感想

 

 

複数「 映画 」の感想とか いろいろ。

 

一応「 ドラマ系 」のくくりです。

 

 

その前に 3つ、関係ない話題を。

 

 

『 映画秘宝 6月号 』町山智浩『 関心領域 』の記事で

『 サウルの息子 』ネメシュ・ラースロー監督による 短篇、

 

『 ちょっとの我慢 』( 原題『 With A Little Patience 』)が

紹介されていました。

 

記事では 構成上「 ネタバレ 」していましたが、

 

「 彼女は 何を我慢しているのか 」

 

という「 約10分 ワンカット 」の ちょっとした ミステリーになっているんで 興味のある方は 観てみてください※。

 

 

( ※「 原題 」で検索しよう。

字幕ないけど「 セリフ 」自体 無いので 無問題 )

 

 

ちなみに ユダヤ系である 『 関心領域 』の監督、

 

ジョナサン・グレイザーが 受賞スピーチで 今の イスラエルを

批判、それを ラースローが批難した…という事がありました。

 

ふたつめ。

 

出たばかりの『 映画秘宝 7月号 』の表紙が

『 マッドマックス:フュリオサ 』フュリオサ なんですが、

 

なんと『 北斗の拳 』原哲夫の「 書下ろし 」なんですよ!

 

超・カッコイイんで 興味があったら 現物 or ネットで 御覧になってください。

 

最後。

 

『 文春CINEMA 春号 』の連載、

リム・カーワイ 監督の『 香港からの手紙 』

 

今回は「 香港の雨傘革命を 支持して 仕事がなくなった 」

アンソニー・ウォン で ちょっと 感慨深い 気持ちに。

 

〔 映画『 白日青春 -生きてこそ-  』(22年)で来日 〕

 

「 仕事激減 」の事も言っていて、それによると A・ウォンが 出演していると「 大陸では 劇場公開できない 」らしく、

 

そのため オファー自体 来なくなったとの事。

 

それを知らない人も 多いみたいで

「 なぜ 映画に出なくなったか 」よく聞かれるみたいですよ。

 

 

 

という事で 本題。

 

まずは「 画像 」のあるヤツから。

 

 

ウェス・アンダーソン 監督の

「 アステロイド・シティ 」(23年)

 

「 テレビ番組内の ドラマ 」という 少々ややこしい設定は

あるものの、

 

「 子供科学賞の 授賞式に来た人々が 宇宙人到来により 足止めされる 」群像劇

 

…と「 話 」自体は シンプル。

 

この監督は ノレる・ノレ無い がはっきり出るんですが、

本作は オフビートな笑い?に ハマれ、ノレた格好です。

 

あの宇宙人の場面なんか くだらなくて 超好きですね。

 

あと、何より アメリカン・ポップ・カルチャー的(?)な

「 背景 」が アートとして 目に楽しくもありました。

 

 

〔『 アステロイド・シティ 』  背景1 〕

 

 

〔『 アステロイド・シティ 』  背景2 〕

 

 

〔『 アステロイド・シティ 』  背景3 〕

 

 

俳優は アンニュイな雰囲気の スカヨハ が良かったですね。

 

マーゴット・ロビー も いきなり出て来て ビビったな。

 

 

 

「 スモール・アパートメント ワケアリ物件の隣人たち 」

(12年)

 

「 Amazon配信 」100円枠(「 月替わりセール 」)から。

 

前から ウィッシュリスト入り していた作品。

 

 

頼みのが 精神療養所に行ってしまった、貧困層向けの

アパートに暮らす、頭の弱い フランクリン・フランクリン

 

ある事がきっかけで アパートの大家を殺してしまった

フランクリンは 殺人を隠ぺいしようとするが……。

 

みたいな「 原作あり 」の シニカル・ユーモアな 人間ドラマ・コメディ。

 

「 室内では いつも ブリーフ姿 」の 主人公、フランクリン

英国のコメディアン、マット・ルーカス が演じています。

 

その他 出演者が

 

ジェームズ・カーンビリー・クリスタル

ジョニー・ノックスビルドルフ・ラングレン etc…

 

と 豪華なんですが、

 

頭の弱い フランクリンの「 犯罪コメディ 」としては 弱く、

( 何より 気の毒に思えてくる )

 

アパート住人の「 群像劇 」としても 各住人の「 掘り下げ 」が足りないため、

 

「 原作 」の内容は わかりませんが なんだか 中途半端な出来。

 

前半は すごく楽しかったし、その後も 何だかんだ 退屈はしませんでしたが チョット物足りなかったです。

 

フランクリン兄弟の愛情 」、「 親との確執 」、「 妻の死 」と 面白くなる要素は あったので 各人物の「 背景 」が もう少し詳しく描かれていれば もっと 面白く観れたかも。

 

( 上映時間 97分 と短めだから 尚更 )

 

 

〔『 スモール・アパートメント 』

主人公・フランクリン と 死体の アパート大家

 

 

いつも「 ブリーフ姿 」で「 炭酸飲料 大好き 」な フランクリンが主人公。

 

ちなみに 大家 役は ピーター・ストーメア

 

 

〔『 スモール・アパートメント 』

妻を亡くした男、 オールスパイス 役の ジェームズ・カーン

 

 

〔『 スモール・アパートメント 』  メノックス博士

 


トンデモ・自己啓発「 脳内筋肉 」を提唱する メノックス博士 を演じるのが ドルフ・ラングレン

 

そのインパクトと 出番も まあまあアリで かなり オイシイ役。

 

 

 

…で、気を取り直して 次に「 Amazon配信 」100円枠で

借りたのが…

 

 

ニコラス・ウィンディング・レフン 監督、

マッツ・ミケルセン 主演の「 ブリーダー 」(99年)

 

彼女が妊娠した レオルイーズのカップルと ルイーズの兄

 

両方と つるんでいる、レンタル・ビデオ店の店員、レニー

不器用な「 恋のゆくえ 」を描いた内容。

 

レフン 監督よりも レニーを演じた マッツ・ミケルセン 目当ての方が強いです。

 

『 プッシャー 』よりも こぢんまりとした 内容だったので それよりも前だと 思ったんですが、

 

『 プッシャー 』(96年)の後の作品でしたね。

 

( おそらく 予算の関係だと思われ )

 

どちらかと言えば メインは レオルイーズ のカップルの方で、

 

レオが感じた?「 子供を持つ事の 責任 」、

「 身近な暴力 」や「 自分らしさの 喪失 」など

 

漠然とした 将来の不安による 彼の「 困惑 」が よく描かれていていました。

 

一方の マッツ演じる「 話題が 映画しかない 」レニー

「 映画オタク 」ぶりも なかなかイタく、そして 切なく 描かれていて 良かったですね。

 

エンタメ要素のある『 プッシャー 』の方が 好きですが、こちらも イイ映画でしたよ。

 

後半も 超・エグい展開だったしね~。

 

 

〔『 ブリーダー 』

レンタルビデオ店の店員、映画オタクの レニーマッツ )〕

 

 

〔『 ブリーダー 』  レニーと 彼が 想いを寄せる レア

 

 

レニーは 意中のレアに話しかけるが 話題が弾まない。

それでも 何とか「 映画の話題 」で乗り切るが…。

 

 

レア を演じるのは レフンの今の妻、リブ・コーフィンセン

 

 

〔『 ブリーダー 』  ダメ出しを食らう レニー

 

 

レオ からは ダメ出しを受けてしまい…。

 

さらに後日、レアを映画に誘うも「 ダメ出し 」が頭をよぎり……

 

というように レオの方は「 オタクに 恋は難しい 」的な流れで

結構 ヤキモキする話でした。

 

 

 

ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー 監督の

「 ペトラ・フォン・カントの苦い涙 」(72年)

 

ファッション・デザイナーの ペトラと、彼女に こき使われて

いる 助手のマネーレ

 

ペトラは 若い女性、カリーンに好意を抱き…というような話。

 

てっきり マネーレの「 惚れた弱み 」を描いているのだと思っていたら、

 

ペトラが 若い女性・カリーンに 惚れこみ 利用され、フラれて

メソメソっとする、逆の内容でした。

 

一方、こき使われる マネーレペトラを 一途に想っている?

ようなので「 一方通行の愛 」( 愛は盲目 )の話といえそう。

 

ほとんど「 ペトラの愛憎 」と「 密室劇 」なので 退屈な面も

ありましたが

 

「 カメラ構図 」が 凝っていたので それに 救われましたね。

 

あと、マネーレの心境の変化( 動き )とは逆の、

 

動きのない「 カメラ固定 」での 2分くらいの「 ワンカット 」で撮られた「 ラストカット 」も 素晴らしかったですね。

 

それと 前半に『 煙が目にしみる 』※の レコードが掛けられる、チョット印象深い場面が あるんですが、

 

後で「 歌詞の和訳 」を読んで それが ペトラマネーレ

両者の?「 愛の顛末 」を 暗示する演出だと 気付きました。

 

という事で 本作を 観る前、観た後に『 煙が目にしみる 』

和訳を読むと いいかも しれません。

 

 

( ※『 煙が目にしみる 』

 

昔、深夜ラジオの CMフィラーで 何回も聴いた曲だったので

久しぶりに聴いて チョット懐かしかったり )

 

 

『 苦い涙 』の設定を 男性監督男性の助手、「 男性同士 」に変更して「 リメイク 」したのが、

 

フランソワ・オゾン 監督の「 苦い涙 」(22年)

 

「 上映時間 」が オリジナルの 約2時間から 86分と 大幅に

短縮されているんですが、

 

「 話 」自体は ほとんど同じなので 続けて観ると 結構 ツラかったですね。

 

一応「 見どころ 」なのが 監督を演じる ドゥニ・メノーシェ

 

『 理想郷 』で 主人公を演じた人ですが、本作は その前に

撮られた作品という事で 両方観ると 演じ分けの妙が 楽しめますよ。

 

あと、イザベル・アジャーニ も 出てましたね。

 

どちらかかと言えば『 オリジナル 』の方が「 構図 」ほか、 

助手の「 空気的な存在感 」?が上手く表現されていて 面白かったかな。

 

 

で、その「 理想郷 」(22年)

 

原題は「 獣たち 」みたいですが、そっちよりは 邦題の方が

しっくり来る内容でした。

 

互いに「 理想の暮らし 」を求めるあまりに どんどん 殺伐としていく中( エゴと エゴの シーソーゲーム…? )、

 

 飼い犬だけが のほほんとしているのが 可笑しい、カワイイ。

 

ちなみに「 バッテリーによる水汚染 」により 食べられなくなった トマトをかじり、吐き出すところで

 

『 カラー・アウト・オブ・スペース 』(19年)での

ニコケイの「 トマトかじり 」( ついでに「 ダンク 」も )思い出しましたよ。

 

 

放送から 結構 時間が経つけど、「 理想郷 」繋がりで

「 映画ドラえもん 空の理想郷 」も 少し。

 

『 映画ドラえもん 』は ずっと観ていませんでしたが

『 文春CINEMA 』CDBの記事で 興味を惹かれて 鑑賞してみました。

 

取り敢えず ちゃんと「 子供の映画 」になっていて 好印象。

 

というのも 近年の『 映画 クレしん 』、中盤までは 面白く進むものの、

 

後半に 長々と おそらく 親たちに向けて「 セリフ語り 」が増えて ダレる事が多く 辟易していたから。

 

まあ、当の子供たちが 気にしていなければ 別に いいんですけど。

 

他は 観ていないので わかりませんが『 空の理想郷 』に関しては メッセージ的なセリフは簡潔で 流れを 止めていないので

 

( 子供向けの )ヌルい展開でも テンションが下がらず 観ていられましたよ。

 

正直、黒幕は ショボいとは 思いましたが、

ユートピア = ディストピアの表現が 思いのほか ハード?で、

 

特に「 のび太 がんばれ 」の くだりは「 哀愁 」と共に

「 善意の残酷さ 」も チョット感じる 怖イイ場面でした。

 

「 SF要素 」も しっかりあり「 画 」も 良かったしで 思ったよりも楽しめましたね。

 

 

こちらも ある意味 理想の話だった「 バービー 」(23年)

 

こちらは 両方( 多方面?)に ケンカ売ってて 面白かったな。

 

ケンケン 」など、ケンライアン・ゴズリング )関係も 好きだけど、

 

やっぱ ウィル・フェレル 演じる マテル社CEOが( バカで )最高でしたね。

 

ただ、こちらも(『 エヴエヴ 』同様 )後半の「 語り 」の多さに うんざり。

 

あと「 生と死 」の話も チョット合ってなかったような…。

 

 

 

「 ザ・フォーギブン 襲撃地帯 」(22年)

 

…は、アクション枠で 紹介されていたけど

実は「 実話モチーフ 」の 社会派・人間サスペンス。

 

ニュージーランドの 先住民族に「 テロ疑惑 」が 掛かった事で警察の監視が始まり、ついには…みたいな 内容で、

 

先住民族のリーダー、タメ・イティを 本人が演じています。

 

( この映画では )警察側( =白人?)が 穿った見方をし、

さらに 引くに引けなくなり 状況が悪化していくんですが、

 

発端のひとつとなった 先住民族の「 軍事訓練 」らしきものが 結局なんだったのか わからず、モヤモヤ。

 

そこらへん( 訓練の内容と意味 )の 意思疎通が 取れていれば ここまで 大事には ならなかったのでは?

 

今の ニュージーランド・先住民族の 置かれた立場や 扱いが

よくわからず、あと一歩 入り込めなかったけど 内容としては

悪くはなかったです。

 

 

「 コロニアの子供たち 」(21年)

 

ピトチェト政権時代に 南米チリにあった カルト宗教の

コミューン( 施設 )、「 コロニア・ディグニダ 」を描いた

人間ドラマ・サスペンス。

 

結構 期待していたんですが、表現・描写は 抑え目で 物足りなかったです。

 

こちらよりも( 前にも 紹介したが )エマ・ワトソン 主演の

『 コロニア 』(15年)の方が「 エグさ 」が感じられたし、

 

何よりも「 エンタメ度 」( 脱出サスペンス )が高いので

「 エンタメ原理主義 」としては そっちの方を オススメしたいですね。

 

 

最後は「 教祖誕生 」(93年)

 

ほとんど 覚えていなかったので 再鑑賞。

ビートたけしの「 小説 」が原作だったんですね。

 

インチキ宗教、ビジネス宗教を描いた ブラックで シニカルな

笑いの中に「 信仰とは 」という問いもあって 面白かったです。

 

インチキの中、ただひとり 玉置浩二 演じる 駒村だけは ちゃんと「 信仰 」を持っていたけど、それは「 神仏 」にではなく

 

「 拠り所になる、システムとしての 宗教 」ってのが 面白い。

 

( OPの 高村駒村の対話からも 何となくわかる )

 

たけし演じる 司馬も それっぽい事を言ってるけど、あれは

詭弁、自己正当化ですから。

 

その司馬の「 開き直り 」も 逆に痛快でね~。

「 バチを 当ててみろよ 」と 迫る場面とか 超スキ。

 

 

ちなみに その場面で、実在した殺し屋を描いた作品、

 

『 THE ICEMAN 氷の処刑人 』(12年)での M・シャノン

演じる 主人公・殺し屋が 殺そうとしている男へ向けて、

 

「 祈っているのか… 神が助けてくれるか 少し待ってやろう 」

 

みたいな セリフを言う場面があるんですが それを 思い出しましたよ。

 

あと「 たけし暴力 」も やっぱり オモシロいですね。

 

司馬『 男はつらいよ 』おいちゃん役、下條正己 演じる

初代教祖を「 蹴る 」場面なんですが、

 

下町感のある ビートたけし寅次郎が 重なり、ありえない

おいちゃんが 蹴られる 」という場面が 頭に浮かび ダブルで楽しかったです。

 

そうそう、岸部一徳寺島進への「 路地裏 暴力 」も サイコーでした。

 

 

 

「 ドラマ系 」といいながら 別のも 混ざってしまいましたが

今回は これで 終わり。