今月 読んだのは…
本格ミステリー
「 誰も僕を裁けない 」 早坂吝
本格ミステリー
「 ラザロの迷宮 」 神永学
“奇妙な味系”?の 短篇集
「 来世の記憶 」 藤野可織
“変”愛・アンソロジー 第2弾
「 変愛小説集 日本作家編 」 編:岸本佐知子
本格ミステリー
「 ロートレック荘事件 」 筒井康隆( 再読 )
と 多めの5冊。
まずは「 ミステリー 」3冊から。
「 誰も僕を裁けない 」 早坂吝
エロ × 社会派・本格ミステリー。
『 援交探偵らいち 』シリーズ、3作目です。
埼玉県。
“ある現場”を 目撃した事で「 トラウマ 」を抱える事になった
高校生の戸田公平( とだ こうへい )は ひょんな事から
「 超・過保護な父親 」を持つ令嬢、埼( みさき )と出会い、
親密な関係になる。
埼からの誘いにより「 彼女の家 」で 会う事になった 戸田は
5月1日の夜に 家に向かい 木を登って 2階から侵入、埼と夜を過ごす。
だが翌朝、戸田は “ある理由” から逮捕されてしまう事に…。
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東京都。
援交少女・上木らいち の元に届いた、
逆井東蔵( さかい とうぞう )からの「 “メイド”の依頼 」。
約束の日の 5月1日、東京都にある
「 各部屋が 放射状に広がっている 」異形の館、「 逆井邸 」を訪れた らいち。
だが 東蔵本人は 依頼していないらしく一旦は 断られそうに。
結局、数日間 雇われる事になった らいち だったが、2日の朝 逆井家の三男が「 自室で 絞殺されている 」姿で発見され……。
この「 シリーズ 」は 1作目『 ○○○○○○殺人事件 』、
4作目『 双蛇密室 』は読んでます。
( 興味ないと思うが『 AI探偵 』シリーズ3部作は 読んだ )
本作は
「 高校生・戸田公平の逮捕 」と、
「 らいち が関わる事になった 殺人事件 」
の2パートが 交互に進む 構成です。
「 戸田パート 」は「 エロ 」と「 社会派 」両要素が 濃いめ。
それ自体は いいんですが 最初から予想外の “重い” 展開で、
そのため「 逮捕された 」 戸田の心細さも 伝わってきたりで 少々 しんどかったですね。
ちなみに「 戸田パート 」は 本作の根幹に 関わってくるので
詳しく書けません。
一方の「 らいち パート 」は「 異形の館で 起こる殺人 」と
「 本格 」らしい内容。
こちらは「 エロ 」も 程よい感じ。
ミステリー的にも 序盤から ヒントっぽいのが 出て来るので
“解りそう” な気配もあって 読んでいて楽しかったです。
「 本格度 」も 高く思えたし、「 逮捕 」と「 殺人事件 」の
関わり、「殺人の真相」と「逮捕の顛末」も良かったですね。
特に タイトルの意味が分かる「 逮捕 」の方の 着眼点が 素晴らしかったな。
あと、ちょっとだけ 綾辻行人 の『 殺人方程式 』を思い出しましたね。
「 エロ 」要素はあるし、意外と「 重い 」話でもありますが
「 本格 」として 面白いし、
「 社会派 」の部分も 読んでおいた方が( 知っていた方が )
いいと 個人的には 思うので “オススメしたい作品” ではあります。
5作ある『 らいち シリーズ 』で 一番 評価も高そうだしね。
「 ラザロの迷宮 」 神永学
本格ミステリー。
著者は『 心霊探偵八雲 』の人ですね。
コチラは「 ノンシリーズ 」のようだし、
単純に オモシロそうでもあったので 読んでみました。
あと「 ラザロ 」※ 好きだし。
( ※ イエスが 生き返らせた 男。
個人的には 敬愛を込めて ファースト・ゾンビ と呼んでる )
女性から「 同居人が 行方不明になった 」との相談を受けていた 刑事の 美波紗和( みなみ さわ )。
そんなところ、警察署に 刃物を持った “血塗れの男” が訪れる。
「 助けを求めた 」後 気を失った 血塗れの男、仮の名前 “A” は 記憶を失っており…。
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ミステリー作家の 月島理生( つきしま りお )は
友人の 永門学( ながと がく )と共に「 謎解きイベント 」に
参加するため ある洋館を訪れる。
案内役の “M” が
「 これから起こる 3件の殺人事件の 犯人を当ててもらう 」
という お題を出した後、
「 犯人を特定するまでは ここから出られない 」
と 続けた事で イベント参加者は 困惑。
さらに 本当の殺人事件が 起こってしまい……。
先の『 誰も僕を裁けない 』と同じく こちらも
「 記憶喪失の男 」と「 月島( 謎解きイベント )」の 2パートが 交互に描かれる 構成です。
あと、まあまあ「 社会派 」& 結構「 重め 」なところも 一緒かな。
その「 2パート 」が どう繋がるのか 興味津々で 読み進めたんですが、しばらくして 何となく予想が付き始めました。
何故かというと「 某・映画 」と似たような作りなんですよ。
しっかり「 本格ミステリー 」に 落とし込んでいたものの チョット残念な気持ちが湧きましたよね。
なので 若干 侮って いたんですが…終盤で 見事に ヤラレてしまいました。
「 本格 」らしい ケレン味のある「 真相 」&「 犯人 」に 驚きを覚えると共に 反省しきり。
「 本格 」の度合いも まあまあ高め( 伏線 良かった )だと
思ったので「 ミステリー満足感 」も ありましたね。
そういえば こちらも「 裁けない 」だったな。
「 某・映画 」を観ていなければ もっと評価は上がりそうだったので「 某 」を観ていない人の 感想&評価が 気になります。
そういう事で「 某・映画 」を観ていない人には 特に オススメ出来そうかな。
まあ、その「 某 」の紹介自体が ネタバレになるため 出来ないんですけど…。
「 ロートレック荘事件 」 筒井康隆
再読。
って事で サクッと紹介。
かつて 暮らしていた、今は「 ロートレック荘 」と呼ばれている洋館に 親友と共に 訪れた男。
館には 3人の令嬢がいたが、そのひとりが「 銃殺される 」事件が起き……。
というような、パッと見だと「 普通のミステリー 」のような
作品。
「 真相 」や「 犯人 」、「 トリック 」が忘れられない
「 ミステリー 」があると思いますが、個人的には コレが
その内の 一冊ですね。
あと、読めば すぐ分かる( そして分からない )と思いますが
「 映像化できない作品 」としても まっ先に 頭に浮かぶ 作品でもあります。
筒井康隆が書いた「 本格ミステリー 」作品としても 結構 有名なので タイトルを見かけた事のある人もいるでしょう。
そんな本作、ページ数自体は 多くはないんですが、少々 読み進めづらいんですよね。
「 真相 」に関しても 私は 丸っと騙されましたが「 本格読み 」の人だと あっさり気付くかもしれません。
あと、ネット・レビューなどに「 少々 ネタバレ気味っぽい 」
書き込みが あるので、
「 本作 」が気になっている方は 注意した方がいいかも。
( まあ、この紹介記事も それっぽいけど… )
ちなみに「 二度読み 系 」( カバーに書いてあったから ネタバレじゃない )ですが、
最後の方で まあまあ丁寧に「 解説 」しているので 助かります。
てっきり 昔の作品だと思っていたら「 1990年に 連載 」
された作品でした。 ( とはいえ 30年以上経つが… )
ちょうど「 新本格 」の頃なので その影響があったのかもしれませんね。