アニメ映画「 千年女優 」 | berobe 映画雑感

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「 映画 」と「 本 」の感想

関係ない話から。

 

 

アニメ『 ジョジョ ~ ストーンオーシャン 』

 

アニメの制約上「 演出( サスペンス )面 」が「 弱弱 」だったけど、終盤は かなり良かったな。

 

最後の「 過去部 振り返り アート 」も 素晴らしかったし。

 

しかも「 曲 」は『 1・2部 』の ED曲、

イエス『 Roundabout 』で 気分が上がりましたね。

 

 

『 ジュラシック・ワールド / 新たなる支配者 』(22年)

 

「 イナゴ場面 」良かったな~。 

 

でも「 イナゴ イナゴ 」いうから 出番が多いのかと 思ったら、

少ないじゃん…。

 

「 デカ・イナゴ 」最高だったのに…。

 

次は「 イナゴ( 昆虫、インセント )・パーク 」希望。

 

 

 

本題。

 

 

「 千年女優 」(日/2001)

 

今敏 監督の「 ファンタジー系 人間ドラマ 」アニメ。

 

 

『 パーフェクト・ブルー 』(07年)は VHS時代

「 レンタル 」で観たんですよね。

 

「 アニメ で サイコ・サスペンス~? 」って事で まったく

期待しないで 観たんですが、

 

見事な「 サイコっぷり 」で 感動しましたよ。

 

その印象が 強すぎて SFの『 パプリカ 』(06年)

楽しめたものの( ちなみに 原作も 読んでる )、

 

ドラマ強めの 本作や『 東京ゴットファーザーズ 』(03年)の初見時は あまりノレず、「 面白さ 」が分かったのは 再鑑賞時でしたね。

 

 

で、この間( かなり経ってしまったが )、「 BS 」で 本作を放送してたんで 久しぶりに 鑑賞したんですが( 3回目 )、

 

千代子の人生( 軌跡、記憶 )と シンクロする 映画 」、

「 その “映像” に( なぜか自然に )入り込む 立花たち 」という

 

「 入り混じる 」構成の話は ちょっと「 幻想的 」、

「 メタ的 」?でもありで やっぱり面白かったですね。

 

基本は 憧れの “鍵の君” を追う 女優・千代子の 文字通り

「 人生を賭けた愛のドラマ 」なんですけど、

 

映像制作会社の 二人、立花の「 役の 成りきりっぷり 」や

それに対する カメラマンの「 ツッコミ 」が 可笑しかったり、

 

「 映画の オマージュ的な 要素 」が 感じられたと、

結構「 エンタメ度 」も高いんですよね。

 

「 ドラマ 」としては あの「 一途な結末 」、

しかも「 恋に恋する 」という 乙女チックな想いに

 

「 悲しさ・哀れさ 」を感じる人がいるみたいだけど、

 

それは 千代子の前に「 呪いをかける老婆 」=「 自分 」が

出てきている事からわかる通り、本人も 薄々自覚してるんですよね。

 

それでも「 “映画で” 千年を越え 再会を願う 」( 様に見える )ところが

 

なんか「 幻想SF的 ロマンチズム 」っぽくて イイんですよ。

 

もちろん「 妄執 」の話でもありますが、

そもそも「 強い想い 」=「 妄執 」ですからね。

 

ちなみに「 蓮 」( 英語:LOTUS )の話が ちょこっと出て

きますが、アレも

 

「 輪廻転生 」( 仏教 )と「 複数の 映画作品(=人生 )」に掛けてるんですよね。

 

そう意味では「 苦しみの映画 」※なので、実は まあまあ

理に適った 内容に なってるんですよ。

 

 

〔 ※ 仏教的には 現世は「 苦しみばかり 」( 四苦八苦 )。

「 輪廻 」は 苦しみが続くことである。

 

まあ、今は「 因果 」関係なく、

お経で 一発の お手軽な「 解脱 」みたいですけど 〕

 

 

話は 少し それますが、本作を 観る前に 意図をもって ちょうど放送されている『 夢見るように眠りたい 』(87年)を先に観たんですが、

 

「 “映画”の映画 」( “女優”の映画 )、「 映画で人を追う 」話という意味では 似ている内容でしたね。

 

さらに どちらも「 戦争 」が ある種 “切っ掛け” だったし。

 

 

ここから「 画像 」。

 

ついでに『 夢見るように眠りたい 』も 最後に 軽く紹介。

 

 

 

〔『 千年女優 』  タイトル 〕

 

 

〔『 千年女優 』  冒頭の「 SF宇宙 映画 」場面 〕

 

本作は「 映画の終盤 」から 始まる。

 

いきなり「 SF 」で ビビった記憶が。

 

この くだりの後、「 テープ( 映像 )の巻き戻し 」に かぶさる

ように「 タイトル 」。

 

この演出が 上手いんだよな。

 

 

〔『 千年女優 』  千代子が出演した作品のパンフ 〕

 

よく見ると『 トラック野郎 』的な映画も。

 

実は コレ、ちょっとした伏線でもあるんですよね。

 

 

「 アニメ 」だし、内容は よく分からないしで スルーしている人が多そうな?作品ですが、

 

「 映画の映画 」という内容は( 特に 昭和の )「 映画好き 」

ほど 刺さりやすいと思うので、機会があったら 観てほしいですね。

 

 

〔『 千年女優 』

映画界を去った 女優、藤原千代子と「 鍵 」〕

 

千代子にとって「 鍵 」は “自分では 外せない”( ドラクエ的 )

「 呪い アイテム 」でもあった。

 

 

 

〔『 千年女優 』

「 スカウトされる 少女・千代子 」の回想場面 〕

 

当たり前のように「 過去の回想 」には 立花たち( 右の2人 )の姿が…。

 

 

〔『 千年女優 』  少女・千代子が匿う事になる “鍵の君”

 

助けた “鍵の君” に恋をした 少女・千代子と再会するため 女優に。

 

”鍵の君” は ある意味、オム・ファタールでもありましたね。

 

 

〔『 千年女優 』  “映画” に入り込む 立花たち1 〕

 

こんな感じで 自然に「 映画・回想 」に入ってくるのが「 画 」的にも 可笑しいんですよね。

 

シームレスに「 映画と現実 」が 繋がっていくのも楽しい。

 

 

〔『 千年女優 』  “映画” に入り込む 立花たち2 〕

 

立花に至っては「 役 」としても 入り込む。

 

千代子ファン 」の 立花は 彼女の映画を何度も?観ている

から「 セリフも 覚えている 」って事なんでしょう。

 

それに 呆れつつも 撮影する カメラマンも 可笑しかったな。

 

 

〔『 千年女優 』  “鍵の君” が残した 千代子の「 絵 」〕

 

…というように 笑えるところが 結構あるんですが、

基本は やるせない話でね。

 

 

〔『 千年女優 』  「 SF宇宙映画 」の 立花たち

 

まあ、後半に こんな感じなのもありますけど。

 

 

〔『 千年女優 』  映画から現実に 〕

 

「 地震 」と一緒に生まれた 千代子は「 地震 」で女優を終わらせる。

 

この時、呪いアイテム「 鍵 」も外れるが、また こうして

千代子の元に…。

 

“鍵の君” の顛末を知る観客としては なんとも言えない、

複雑な気持ちが 湧くんですよね…。

 

 

ちなみに、

 

「 ED曲 」は 平沢進『 ロタティオン( LOTUS‐2 )』

( ここにも「 蓮 」が )

 

『 パプリカ 』のED曲と

連アニメ『 妄想代理人 』( タイトルがイイ )の OP曲も

この人。

 

かなり特徴的で 面白い楽曲なんで 興味があったら聴いてみてください。

 

個人的には『 妄想 』 OP『 夢の島思念公園 』が好きですね。

 

『 妄想代理人 』今敏 作品で 一番好きな作品なんで

取り上げたいな。

 

 

 

ここから ついで『 夢見るように眠りたい 』の サクッと紹介。

 

林海象の「 監督デビュー作品 」で「 脚本 」もやってます。

 

 

〔『 夢見るように眠りたい 』

冒頭の「 黒頭巾 映画 」の終盤 〕

 

『 夢見るように眠りたい 』もまた「 映画の終盤 」から始まるけど、こちらは 最後の「 謎解き 」が消失していて……

 

 

〔『 夢見るように眠りたい 』

探偵と 助手の2人 と「 誘拐犯のテープ 」〕

 

「 ゆで卵 大好き 」探偵・魚塚を 演じるのは 佐野史郎

 

話としては「 誘拐された 富豪の月島の娘、桔梗 を追う 」

という、一応「 探偵モノ 」。

 

 

〔『 夢見るように眠りたい 』  身代金 100万円 〕

 

誘拐犯・Mパテー商会 の 要求額は 100万円。

だが、依頼料も 100万円と 同額で…

 

この「 100万円で 驚く 」場面 好き。

 

 

〔『 夢見るように眠りたい 』

「 仁丹塔 」と「 次なるテープ と 桔梗?の花 」〕

 

さらに 犯人も「 謎かけ 」で「 桔梗の居場所 」を伝えるのだが、そもそも 桔梗を帰す気がないようにも 思えてきて…

 

という、謎めいた展開。

 

 

〔『 夢見るように眠りたい 』  昔の映画俳優の写真 〕

 

よく見ると…

 

 

〔『 夢見るように眠りたい 』  飾られた「 女優の写真 」〕

 

『 千年女優 』同様、こちらも「 女優の映画 」で…

 

 

〔『 夢見るように眠りたい 』  失われた「 謎解き 」の… 〕

 

そして「 映画の映画 」でしたね。