今月 読んだのは
本格ミステリー
「 兇人邸の殺人 」 今村昌弘
SF短篇集
「 オクトローグ 酉島伝法 作品集成 」 酉島伝法
エンタメ・ミステリー
「 推理大戦 」 似鳥鶏
の3冊。
まずは「 ミステリー 」2冊から。
「 兇人邸の殺人 」 今村昌弘
特殊設定・本格ミステリー。
『 屍人荘の殺人 』、『 魔眼の匣の殺人 』から続く、
「 剣崎比留子 」(「 剣崎&葉村 」?)シリーズ の第3弾。
「 ミステリー愛好会 」所属の 葉村譲(はむら・ゆずる)は
「 成島IMS( 医科学研究所 )」から ある “秘匿物” の回収の同行を頼まれた、同メンバー 剣崎比留子(けんざき・ひるこ)に付き添う事に。
夜中、成島・傭兵たちと 比留子&葉村は、廃墟を売りにした
テーマパーク内に そびえる「 兇人邸 」に 忍び込むが、
そこに まったく 別の侵入者も現れる。
そんな 彼らの目の前に 突如…
┋
翌朝、無事だった者たちが集まるが、比留子の姿はみえず、
さらに「 首無しの死体 」が見つかり……。
今回も 今までと 同様、「 ホラー 」設定を取り入れた
「 特殊設定・本格ミステリー 」です。
「 ホラー系 」は 慣れていますが、それでも コレ(設定)には 驚きましたね。
でも、“コレ”自体は 好みの設定では ありましたが、
「 本格 」の例は 少ない(?)※ だけに 正直 不安も。
〔 ※ この傾向の作品で 思い浮かんだのが、
若干 違う気もするが、すっかり「 昔の作品 」になってしまった アレ( 辻行人綾『 殺人鬼 』←白字 )くらいか?
ちょっと前に読んだ アレ( 万丈貴恵『 孤島の来訪者 』白字 )も 方向性としては 近いかも? 〕
でしたが「 エンタメ・ホラー 」でありながらも「 本格 」要素も 上手く織り込んでいて その考えは 吹っ飛びました。
しかも 前半は 別の「 謎 」要素?も 加わるので サスペンス性も 十分あるんですよね。
「 本格 」としては、最近 若い作者?で 多く見かける
「 盛り込み 」系(?)。
ボリューム感があるので 読んでいて 楽しいんですが、
( この傾向のせいか、最近は 単発だと チョット物足りない )
「 少々強引 」、「 納得感 低め 」、「 蛇足 」になりがちでもあります。
ですが 本作は「 世界観 」に合った「 展開・流れ 」が自然で、
そこらヘンの「 モヤっと感 」は 個人的にはなかったですね。
そのほか「 首切りの理由 」と「 殺人の動機 」も 好みのヤツだったし、
それらに繋がる「 ドラマ 」も 読み応え 十分でした。
あと、
「 トリック関係 」が 意外と単純で( ゴチャゴチャしてない )
「 フェア 」な作り( しっかり考えれば 解けそう )なのも
高評価。
という事で 個人的には「 本格 」としても、
普通に「 エンタメ・ホラー作品 」としても かなり満足できましたね。
「 推理大戦 」 似鳥鶏
ミステリー。
北海道の山奥の 宿泊施設で催される、
各国から集まった 聖職者たちによる「 “聖遺物” 争奪ゲーム 」。
だが、参加した 聖職者たちは「 特殊能力を持つ 名探偵 」であった。
そんな 名探偵たちが集う ゲーム当日の朝、ある「 事件 」?
が起き……。
初読み作家。
「 鮎川哲也賞 佳作入選 」した作家ですが 読みたい感じの作品が なかったんですよね。
チョット気になるのは『 楓ヶ丘動物園 』シリーズくらいかな。
ですが、本作は「 内容 」が 面白そうだったし、
本作の前に読んだ『 オクトローグ 』で 少々 読み疲れたため、
「 軽めな作品 」を 読みたかったので 読んでみました。
「 本格 」かどうかは 特に 気にしていませんでしたが…
前半は
「 アメリカ( ロス )」、「 ウクライナ( キエフ )」、
「 日本 」、「 ブラジル( サンパウロ )」それぞれの
「 名探偵の話 」(4話)で、
後半から メインの「 聖遺物 争奪ゲーム 」という構成です。
前半の4編は 文体の書き分け?が巧く、
「 各国の文化( 情勢 )」も しっかり取り込んでいる内容で
単純に「 短篇 」として すごく面白かったんですよね。
特に「 アメリカ 」は ちゃんと「 海外モノ 」の文体になって
おり「 翻訳本 」を読んでいる感じを覚えましたよ。
個性豊かな「 探偵 」描写も( 一部 気になる人がいたけど )
良かったです。
ですが、肝心の「 ミステリー 」部分となると 結構 荒かったな。
「 アメリカ 」のヤツは「 トリック 」自体は いいアイデア
でしたが( でも 再現性は 低いと思う )
あれじゃ「 証拠 」は残るし
〔 普通ならいいが FBI(科学捜査)絡みだと すぐバレそう 〕、
「 日本 」のヤツも アイデアは かなり好きですが その実、
霞流一 を思わせる「 トンデモ系 」でしたからね。
というわけで 不安を抱えながら 読んだ「 後半 」でしたが、
その不安は 的中。
いろいろと無視を し過ぎた「 トリックの推理 」は
「 本格 」関係なく 納得感が低くて ガッカリ。
( ある「 推理 」では『 空想科学読本 』、
『 ベルセルク 』の「 ガッツの大剣の回 」を思い出した )
「 魅力的な名探偵と その スゴイ能力 」と、
何やら シリアスっぽい趣の「 カバーイラスト 」、
少し「 社会派 」要素を含んだ※「 前半 」の落差もあって、
その落胆の度合いも 大きかったですね。
( ※ 社会派の要素
「ウクライナ」編では「 マイダン革命 」などの ロシア絡み、
「 ブラジル 」編では 貧民街「 ファベーラ 」)
終盤の展開で「 やっぱ バカミス&エンタメ でいいんだ 」と
納得はしたものの、それでも 腑に落ちませんでした。
「 文章 」は上手いと思ったし、「 キャラ・設定 」も良く、
「 前半 」は 総じて面白かったのに どうしてこうなった?と、
私としては 珍しく 疑問が湧く 作品でした。