残りの 「 本格ミステリー 」2冊。
「 忌名の如き贄るもの 」 三津田信三
本格ミステリー、「 刀城言耶 」シリーズの長編。
生名鳴(いななぎ)地方の「 虫絰(むしくびり)村 」。
十四歳になった 尼耳季千子( あまがみ・いちこ )は
「 忌名儀礼 」として、子供を災厄から守るため付けられる
名前、“忌名” が書かれた「 御札 」を捨てに 一人「 滝 」へと
向かう。
七歳の時とは違い 今回の道中では 何も起こらなかったが、
滝壺に「 御札 」を投げ入れた後に…。
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意識を取り戻した 季千子は 蒲団で寝かされていたが、体は
まったく動かず。
周りの家族は 通夜や 葬式の話し合いをしており……。
┋
結婚する 先輩の 発条福太(はつじょう・ふくた)と 季千子
から、「 両家への結婚報告 」の相談を受けている 刀城言耶。
そこに 季千子の父の「 隠し子 」、市糸郎(いちしろう)が
「 忌名儀式の最中に亡くなった 」との報せが届く……。
前の長編『 碆霊の如き祀るもの 』は、「 怪異 多め 」の
ボリュームたっぷりな内容でしたが、
本作は 最初に「 怪異 」はあるものの、
後は 比較的 オーソドックスな ミステリーの展開でしたね。
その内容も 「 アリバイ 」を巡る話が中心になっており、
さらに「 儀式、尼耳家の謎 」など「 民俗学 」的な要素も
強く、総じて 「 地味な内容 」といえるのかもしれません。
「 怪談 」的にも “角目”(つのめ)の存在は あっさり判明してたし、“虫首”の存在も 浮いてましたしね。
その分 読みやすいともいえ(?)、「 ページ数 400少し 」ありましたが、結構 早めに読み終わりました。
まあ、“派手さ” は ないので、読んでいる途中の ミステリー気分は「 フラット気味 」でしたが。
とはいえ「 民俗学 」要素も 嫌いじゃないし、「 犯人 」自体も わからなかったので 普通に 読めたし、
終盤の「 推理 」展開も 弱めな立ち上がりでは ありましたが、
このシリーズらしい展開で 盛り上がりましたよ。
最後は 微妙な気持ちになりましたが、
その後の…は 地味の反動もあってか 思いのほか 興奮。
本作が 地味目だったのは コレを活かすためだった…のかも。
ただ、「 手掛かり・伏線 」関係も 地味だったのは ちょっと
残念。
あと「 トリック 」は まあ、いいとしても
( ちなみに “アレ”は 読んでます ) 「 そこへの持って行き方 」は 少々苦しかったですね。
ちなみに “アッチ”の方も 「 納得感 」
( ○○は こっちの方が 良かったかも?)は 低いですが 好きです。
「 廃遊園地の殺人 」 斜線堂有紀
本格ミステリー。
20年前、プレオープン中に起こった「 銃乱射事件 」の影響で 閉園した 遊園地、「 イリュジオンランド 」。
今の 遊園地の所有者、十島庵(としま・いおり)主催の
「 遊園地 公開 」の 招待客に 選ばれた「 廃墟マニア 」の
眞上永太郎(まがみ・えいたろう)は「 イリュジオン 」へ…。
「 イリュジオンの 元・関係者 」が 多くを占める
招待客たちに、十島財団から派遣された 佐義雨(さぎさめ)は
『 このイリュジオンランドは、 宝を見つけたものに譲る 』
との 十島の伝言を伝える。
だが、各々「 宝探し 」を行うなか、翌朝に「 串刺し死体 」が発見され……。
「 設定 」としては『 楽園とは探偵の不在なり 』の方が
面白そうですが、図書館にあったので読んでみました。
「 話 」としては 「 廃遊園地で起こる 殺人 」に、
過去の「 天衝村(あまつき・むら)における 遊園地 建設 」と
それにまつわる 「 村人の対立 」の話が挟み込まれる 構成。
てっきり「 イリュジオン 」の マスコット・キャラ、
“ギャニーちゃん”(の 着ぐるみ)が 殺人鬼みたいに活躍する
内容かと 思いましたが、そういった場面は なかったです。
「 ミステリー 」としては 最初の「 串刺し 」は インパクトがあったし、その「 方法 」も 気になったりで 期待が高まったけど、その後は 結構 普通だったかな。
「 トリック 」は 「 串刺し 」と、それに繋がる “アレ” は
とても 素晴らしかったのですが( 読めば分かる…と思う )、
“アレ”の「 方法 」は かなり無理っぽく( 耐久性とか )感じましたね。
意外と「 本格的 」な要素が多かったのは 嬉しいんですが、
納得感としては イマイチ。
その他、粗い部分が まあまあ目立つため、
全体的に「 本格度は 弱め 」との印象を持ちましたね。
( いろいろと 盛り込み過ぎだったのかも )
個人的には 主人公が「 廃墟マニア 」なのに「 廃遊園地 」を
あまり見て回れてなかった( 楽しめていなかった )のも 気に
なるところでした。
( テンションが上がって はしゃぐ、「 マニア 」の言動が
ウザくて 楽しいのに… )
という事で、あの「 トリック 」は かなりイイと思いましたし、
( 個人的には コレだけで 読んだ甲斐があった )
「 村の対立 」や「 遊園地の建設 」を巡る ドラマも よく書けていたけど、
気になるところが多いため、素直に「 まあまあ オススメ 」とは
出来ない感じですかね。