「 LOFT ロフト 」(日・2005)
黒沢清 監督、脚本の ホラー・サスペンス。
スランプ気味の小説家、春名礼子は 謎の “泥吐き” の症状にも見舞われる。
環境を変えるため、編集部長・木島 が用意した、山にある「 館 」に引っ越した 春名 だったが、
裏にある 建物に 「人っぽい物体 」 を運ぶ “男” を目撃する。
その建物は 「 大学の研究所 」で、その“男”、教授の吉岡誠 が運んでいたのは
近くの「 沼 」から 引き上げられた 「 1000年前の “女性のミイラ” 」だった…。
春名礼子 役、中谷美紀。
吉岡誠 役、豊川悦司。
木島 役、西島秀俊。
水上亜矢 役、安達祐実。
〔 『 LOFT 』 タイトル。
この タイトルの前( 冒頭 )に
「 その女は 永遠の美を 求め 沼に沈み ミイラになった。 」
「 千年ののち、彼女は めざめ、そして 私に呪いをかけた。 」
「 恐るべき 永遠の愛という名の呪いを。 」
と、字幕が 表示される。
説明不足気味の 作品ですが、
冒頭で 基本情報は ほとんど 説明されていましたね 〕
この間 取り上げた 黒沢清監督 『 ドッペルゲンガー 』 も
かなり 忘れていましたが、
こちらの方も 「 ミイラ 」、「 最後に何か 引き上げていた 」以外、
ほぼ 忘れていました。
印象としては “退屈” だったような…。
しかし、その後も 「 他の黒沢作品 」や 「 記事 」 などに 触れた事も
あり、
『 ドッペル 』同様に 「 意外と 楽しめるかも… 」と 思い 再鑑賞。
先に 印象から言えば、
今回も 「 若干 退屈 」で、 感想としては “普通” でしたね。
個人的には 黒沢監督らしい 場面や 演出など、楽しめた部分も
あったけど、
「 エンタメ性 」は さほど感じなかったし、テンポも “ゆっくりめ”
なんですよ。
( 上映時間も 115分と チョイ長め )
でも、そもそも 今作は 「 エンタメ系・ホラー 」 ではない( と思う )ので、
その指摘は 「 若干 筋違い 」 では あるけど。
そんな中でも 面白かったのが 「 話 」。
冒頭から 説明される通り、今作は( 一応 )「 愛 」の物語 なんですが、 「 死の世界 」の話でも ありました。
私は 「 愛 + 死の世界 ( 地獄 )」のパターンが 好き なので、
黒沢演出も 相まって 「 物語 」自体は かなり 楽しめましたね。
ここから 「 画像 」で 話とか 演出とか 簡単に紹介。
( で、結局 「 ネタバレあり 」 に… )
〔 『 LOFT 』 小説家・春名礼子 役の 中谷美紀 ( 上 )。
下は “吐泥” 場面 〕
春名は 「 恋愛小説 」を 書いているらしいが、筆が進まない。
おまけに 口から “泥状のモノ” も 出る…という、
何やら イヤな予感がする展開で 興味を引かれるんですが、
あまり 活かされていなかったような…。
〔 『 LOFT 』 編集部長・木島 役の 西島秀俊 〕
『 クリーピー 』 では 「 実は 結構 “ヤバめな奴” 」 でしたが…
〔 『 LOFT 』
大学教授・吉岡( 左 )と、包まれている “女性のミイラ” と、
窓から 覗こうしている 春名( 窓の影 )〕
“女性ミイラ” は 1000年前のもの。
戦前にも “女性ミイラ” が 引き上げられた事があったが、
何故か 「 沼に戻された 」らしい。 それと同じ ミイラ かは不明。
この場面、窓に ぬ~っと 幽霊っぽく 現れる “春名の影” と、
ホラーらしい演出。 理由も ちゃんとある ( と思う )。
〔 『 LOFT 』 「 窓越し 」に 重なる 吉岡と 春名の手 〕
吉岡が手を “窓の手” に 重ねたのは、
「 生きている人か 確認した 」ため…たぶん。
〔 『 LOFT 』 研究所に 忍び込んで “ミイラ”を 発見する 春名 〕
“ミイラ”は 「 乾燥系 」 ではなく、 しっとりした 「 死蝋系 」っぽい感じ?
だけど、雑な扱いのせいで、「 ミイラ 」っぽさは あまり感じない。
〔 『 LOFT 』
学生たちが 来るため、一時 “ミイラ”を 移動させる場面。
運転しているのが 吉岡 で、後部座席に “ミイラ”。
中盤くらいにも 吉岡と 春名の 「 車正面カット 」がある 〕
『 ドッペル 』の時にも 書いたけど、黒沢監督の 「 車正面 カット 」は
意味深な演出。
この場面も なんか“違和感” を 感じるのは、この背景が 「 映像 」
だから。
このため、若干 “非現実感” を 覚えるんですよね。
〔 『 LOFT 』 車を止め、思案中の 吉岡が 思い出す “黒い女” 〕
先の「 車の演出 」も相まって、「 オッ~ 」と 盛り上がる 描写になって
ます。
先の「 “窓の手” の くだり 」 は、
この “黒い女” か気になっていたから なんですよ…たぶん。
〔 『 LOFT 』 “黒い女” を目撃する 春名 〕
こちらは
前の住人 が残した 「 小説 」を パクった 春名が見る “黒い女”。
誘われるように 春名は 森へ…
〔 『 LOFT 』 森での “黒い女” 〕
安達祐実に 似てるな~と思ったら 本人だった…
〔 『 LOFT 』
「 沼 」( 上画像 )と、「 沼 」を 指さす “黒い女” ( 下画像 )〕
この “霧” は、体が欠ける “黒い女” から、
「 幻想的 」というよりは 「 あの世っぽさ 」を 感じます。
〔 『 LOFT 』 「 館 」に 侵入し( 2回目 )、春名を 待っていた 木島 〕
さすがに 恐怖を感じた 春名は 木島を 追い出すが、
その後 木島は 「 石 」を投げ 窓を割る。
ここで
3カ月前、「 館 」には 木島が 世話をしていた 水上亜矢 という、
「 小説家志望の学生 」が 住んでおり、「 今は 行方不明 」 なのが
判明。
ここでの 西島秀俊の 「 真意がよくわからない 粘着 」( サイコ )演技が 最高。
( ちなみに 木島が 「 ドアに 指を挟まれる 」くだり は 『 DOOR 』を
彷彿と させますが、偶然でしょうね )
〔 『 LOFT 』 館内での 春名と “黒い女”=水上亜矢( 左上 )〕
ここの 「 心霊 」場面は 「 水上の出現 」が バラエティ豊かで なかなか
楽しい。 ちょっと長いけど。
〔 『 LOFT 』 3カ月前の “倒れている水上” と 木島 〕
3カ月前、「 館 」を覗いていた 吉岡は、
口論の末に 木島が 水上を “殺す” 場面を見る。
木島が いなくなった隙に 「 館 」に侵入した 吉岡は
倒れていた 水上 を確認。 すると 彼女には 息があった…。
〔 『 LOFT 』 吉岡に 抱き着く 水上( 上画像。 外が光っている )と
「 一緒に 地獄へ 」と言う 水上 ( 下画像 )〕
吉岡の 「 君を救う 」の言葉に対して 水上は
「 どうやって “魂” を救うの 」と 返す。
水上が “ミイラ女性” では…と 思った 吉岡は、
さらに 水上の 「 いこう、私と一緒に 地獄へ 」の言葉を 聞いた事で
混乱?( なにか映像を見た様だ ) 水上を 殺してしまう。
吉岡が 隠れ、外に出るなか、戻って来た 木島は “水上の死体” を
ビニールに 包む…。
ここで 「 ミイラの( 魂の )孤独 」が 判明?
水上に 憑りついたっぽい感じだが、これが 「 永遠の愛の呪い 」
なのか?
「 90度傾いた 画 」( 上の画像 )は、 終盤の 「 沼の画 」 から
“下”( 水上 )が 「 死の世界 」、 “上”( 吉岡 )が「 生の世界 」との
イメージ が 読み取れそう。
「 窓の外 」が “光る” のも なんか「 生の世界 」っぽい。
でも、もっと単純に 「 寝そべる ミイラ 」の表現かも…。
〔 『 LOFT 』
同じ方法で 春名と 一緒に 死のうとする 木島と、警官たち 〕
“水上の死体” が 埋まっていると 思しき場所を 掘った 春名と 吉岡
だったが、死体は 見つからず。
帰り道、「 水上の 行方不明 」が 明るみになり 行方を くらませていた 木島が いきなり 2人を 襲撃。
木島は 「 人は必ず死ぬ だから俺はなんでもいい 」
「 お前も いいだろ、こんなもんで 」
と、春名を 「 道連れ 」に 死のうとするも、警察官が 止めに入り、
助かる。
( ここは 『 ジョジョ 6部 』の マックイイーン を想い出しましたね )
ここは 木島の セリフが 怖い、名場面だったな~。
〔 『 LOFT 』 吉岡と 歩く “ミイラ” 〕
「 水上殺し 」に悩む 吉岡に “ミイラ” が 襲いかかるも、
吉岡は 「 全部 お前のせいだ 」、「 自分の運命は 自分で決めろ 」と 逆ギレし、撃退する( 首が 取れる )。
吉岡は 春名と共に “ミイラ” を燃やし、春名に 「 水上殺し 」を
告白。
“水上の死体” についての記憶が 「 朧げ 」な 吉岡だったが、
「 死体を運んだ 記憶 」を 思い出す。
残るは 「 沼 」 だけだった…。
〔 『 LOFT 』 「 沼 」の 「 引き上げ場所 」に 向かう 2人 〕
ここ、上下に 分かれてますね。
面白いのは 「 引き上げ装置 」が 「 門 ( 入り口 )」に 見える ところ。
これは 「 死と 生を 繋ぐ門 」 のイメージ とも思えますが、
タイトルから 推測すれば 「 生と死の間 」( 中二階 )の方 かも
しれませんね。
〔 『 LOFT 』 木箱を開ける 吉岡 〕
2人は ウインチを使い 「 沼 」から 「 木箱 」を 引き上げる。
すぐさま 開けてみるが…中身は カラ。
「 あれは 幻覚 だった 」と 吉岡は安堵し、春名と 抱き合うが…
〔 『 LOFT 』 「 沼 」から 引き揚げられた “水上の死体” 〕
もう一つの ウインチが 突然 作動、「 沼 」から “水上の死体” が
現れる。 ( “水の上” に 掛けてるのかな? )
驚きと 恐怖のあまり? 吉岡は ( まるで 死体と 入れ替わるように )
「 沼 」に 落下、
それを 唖然とした様子で 見続ける 春名であった…( 終 )
冒頭の 「 永遠の愛の呪い 」 と 「 私 」 が何( 誰を )を指しているのか
イマイチ 判然としませんでしたが、
日本らしい「 怪談テイスト 」な最後 でした。
“女性ミイラ” の行動原理は たぶん、「( 死後の )孤独 」。
死んで、目覚めたら ( 「 沼 」から 引き揚げられたら )※
「 孤独 」だったので 他者を巻き込んだとか かな?
( ※ 「 戦前に 引き上げた 」時も 異変( 呪い?)が 起こったため、
再び 沈めたのだろうと 推測 )
『 回路 』(00年)でも 「 死後の世界 」は 「 孤独の世界 」 でしたし。
水上も 「 沼 」に ひとりで いたくなかったんでしょうね。
そんな “ミイラ” ( と 水上 )の 「 寂寥の思い 」の中、
一人 狂気を振りまく 木島 が異質。
その 木島の 「 真意が 全然 読めない 」 “サイコパス度が強め” の
言動は 何だかリアルであり、楽しく思うと 共に、
今作もまた 「 人間不信 」を 描いていたんだな~と しみじみ。
もちろん、木島の 「 誰かと 一緒に 死にたい 」 との 「 想い 」から
わかるように、
「 孤独 」という要素で “ミイラ”と 繋がっているんですけどね。






















