「 泳ぐひと 」 (米・1968)
B・ランカスター 主演 の 「 人間ドラマ 」…かな。
短編小説が 原作です。
前から 気になっていた 作品で、「 Amazon プライム 」 での鑑賞。
「 海パン一丁 」 の ネッド は、人の家のプールを 泳ぎ伝い、
丘の上の屋敷に 帰ろうと 試みるが…。
ネッド 役、バート・ランカスター。
ネッドと プールを持つ住人たち との 「 人間ドラマ 」 なんだけど、
実は…な話。
当時の アメリカを 皮肉っている みたいですが
( アメリカン・ニューシネマ らしいです )、知らなくても 楽しめました。
私は 雑誌記事などで 少し 内容を 知っていましたが、
情報が無い方が 楽しめる作品 だと 思いますね。
でも、私は ネタバレ しないと 書けないので 「 ほぼ ネタバレ 」です…。
森から始まる OPの後、
海パン姿 の ネッドが 颯爽と 登場、他人の プールに 飛び込みます。
ここらへんは 裕福層が 住む森( 丘?) みたいです。
その プールの持ち主・夫婦 とは 知り合いらしく、
同年代の知人の男 も いるんですが、かなり 久しぶりに 会ったようです。
あと、同年代の男の たるんだ体 に比べ、
ネッドの体は 逞しく、若々しい。
会話から ネッドの妻 は元気 で、娘たち もいる事が わかります。
( 娘たちは 家で テニスを している らしい )
知人たちが プールを持っていると 知った ネッドは、
“天気も晴れ” なのもあり、プールを 泳ぎ伝い 丘の上の屋敷に 帰ろうと 考えるんですね。
早速 ネッドは 海パン姿で歩いて 知人・ハワードの家 に行き、
プールで 泳ぐんですが、
ハワードの母 から
「 一度も 病院に 見舞いに来ないくせに 」、「 二度と 来ないで 」 と
キツイ口調で 言われます。
途中、“馬を思い出し(?)” 、馬場で “馬” に 会いつつ、
次のプールに 行くと、
娘の ベビーシッターだった ジュリー がいて、彼女と一緒に 行く事に。
道中、ネッドに 憧れていた ジュリーが、
「 ネッドの シャツを 盗んでいた 」 という 変態チック な エピソードが
胸に来ます。
次の プールで ネッドは 「 就職口がある 」 と 知人に 言われ、
気分を 害するも 泳いで 先に 進みます。
すると、乗馬のハードル場 があり、それを 飛び越えていた ネッド が
足を痛め、急に 痛々しい姿に なっちゃいます。
休憩中、ジュリー の 「 覗き・セクハラ話 」 を 聞いた ネッドが 急に、
「 幸福にしてやる 」、「 守ってやる 」 と、
ジュリーに キモイ発言をし、彼女に 逃げられ、また1人に…。
次の 老夫人( 全裸 )は ネッドを 見て、「 1セントも貸さない 」 と
言っていたりと、
ネッドの 人間性に 難がありそう なのが だんだん わかってきます。
そう、この話は ネッドが会う人々の言葉 から、「 ネッドという男 」 の
“人となり” や、“過去” が 浮かびあがってくる話 なんですね。
次の 「 10セントで レモネードを 売っている 少年 」の場面でも、
海パン一丁 で お金を 持っていない ネッド が、
「 明日払う 僕は正直だ 」 と 言って 少年から レモネード をもらう
エピソード があるんですが、
ここからも 彼が 「 金にルーズ 」 なのを 感じます。
その少年の家の デカいプールで ネッドは 泳ごうとするんですが、
両親が いないので プールは カラ。
なので 少年と 一緒に 泳ぐマネ をして 泳ぎ切ります。
少年 からは 「 ごまかしだ 水が無いよね 」 と 言われるんですが、
ネッドは 「 違う あると思えば 本当にある 」 と 答えます。
ネッドが 「 容姿 」や 「 調子、愛想の良さ 」 だけで これまで
生きてきたことが 少し 垣間見えますね。
後半は ネッドの 元・浮気相手 が登場、彼女の未練を 感じ取り、
口説くんですが、その バイタリティーには ちょっと 感心しました。
この場面、2人の機微 の描写が 愛憎たっぷりで 緊迫感があり、
盛り上がります。
( 時間も 結構長い。 もちろん フラれる )
最後は 「 市民プール 」。
入場に 50セントが 必要なんですが、そのお金は 客に貰う という
トホホぶり…。
ここでも 知人から 「 借りは いつ払う 」 と 言われ、
娘たちの “素行の悪さ” や “父への陰口”、
“妻が 見栄を張っていた事” も わかるんですが、
誤魔化し、見ないように していた ネッド には 到底 受け入れられない。
終盤、ネッドが 屋敷の前まで たどり着くと、
今までの “晴れ” が ウソだったかのように “雨” が降ってきます。
物語の最初から ネッドや 人々の 意味深な発言が あるんですが、
ネッドが 屋敷に たどり着いたとき、その意味が わかるんですね。
( 途中で なんとなく わかりますが… )
個人的に 今作の ジャンルは 「 サイコ・人間ドラマ 」 かな。
終盤は 「 幻想怪奇な 雰囲気 」 もあり、かなり 好みの作品 でした。
と、“ほぼ ネタバレ” なので、結末は なんとなく わかると思いますが、
一応、簡単に 結末を 書いときます。
屋敷到着からの続き。
雨に濡れた ネッドが 屋敷の敷地に 入りますが、
庭は 荒れ放題 で、テニスコートと ネットも 汚れていて、無人。
しかし、ネッドは 「 テニスをする 娘たち 」 の 笑い声や音を 聞きます。
( ボールを 打つ音に 合わせ、カメラが 左右に パンする 描写に 恐怖を覚えます )
ネッドは 廃れた屋敷の 玄関に着くも、カギが 掛かっていて 入れず、
ドアノブを ずっと ガチャガチャ させています。
カメラが 割れた窓を アップ後、家の 内部映像 になりますが、
部屋には ガラクタ以外 なにも ありません…。
最後は 玄関ドアの前で うずくまる ネッドの姿を 少し遠目から映し、
映画は 終わります。
多分、ネッドは
金にだらしなく、女たらしで、上手く 誤魔化し生きてきた男。
結婚も “妻の資産” 目当てでした。
ところが 妻と離婚し、娘たちも 居なくなり、住む所を 転々としていた
ようです。
( だから 知人たち と 会うのは 久しぶり だった )
多分、知人たち から 金を借りて 暮らして いたんでしょう。
つまり 今作は ネッドの
( 狂気を はらんだ )「 輝かしい頃への現実逃避 」の話 なんですね。
時々流れる 勇壮・大仰な音楽 が、だんだん滑稽 に思えてきます。
彼が 海パン一丁 なのは、何も持っていない事の 示唆でも あるのかな?
あと、自慢の肉体の 年齢による衰え も、“足を痛める” で 表れて
いたし、
途中 現れる 「 馬 」 は 「 古き良き アメリカ 」の意味?らしいけど、
個人的には 若い頃の肉体 の表現( 憧憬 )に 思えました。
ジュリーに 「 守る 」 と言ったのは、下心よりも
娘たちを 思い出しての言葉 と思いたいな~。
「 プール伝いに家に帰る 」 行為は、自信( 偉大さ )を 取り戻す
「 挑戦 」 かな。
「 個人( 金持ち )のプール 」 から、最後 「 市民のプール 」 で
泳ぐ事になったのは、彼の転落 の 表現でも ありましたね。
個人のプール も ネッドの物 じゃない のが 少し皮肉?
現実を直視できず、「 今も変わらず 良い 」と 思い込んでいるのは
滑稽でいて 悲しいですね。 ( よく見かける気がするが… )