「 煽情 」 (ベルギー/仏・2009)
エレーヌ・カッテ と ブルーノ・フォルツァーニ 監督 の
心理サスペンス?、幻想ホラー?な 作品。
ホラー映画 として 気になっていた作品 ですが、人気や 知名度は
あまり無いようで、レビュー数も 少ない。
「 映像系 」作品 で、好き 嫌いが ハッキリ しそうな作品かな。
私は 面白かったですね。
でも、オススメは 出来ないな~。
主人公・アナ の 「 少女時代 」( 怪奇譚?)、
「 思春期 」( ちょいエロ 夢想・サスペンス?)、
「 大人 」( 幻想・ジャーロ?)の 3部 からなり、セリフは ほとんど無いです。
原題、『 AMER 』 の意味は “苦味” のようです。
監督が アルジェント や マリオ・バーヴァ、「 ジャーロ 」が 好きらしく、
それらの オマージュが 多い作品で、元ネタ探し や、その雰囲気 が
楽しいですね。
だけど、そればかりに 気を取られると いろいろと 見逃す事に
なりそう。
あと、人や 物の 「 アップ 」が 多くて、わかりづらい箇所が 多い。
「 目のアップ 」 が多く、 序盤の 「 アナの目 」 と 「 母の目 」の
カットバック の繰り返しは かなり クドイ です。
しかも 「 目のアップ 」 は その後も 何度もある ので、うんざりしそう。
でも それは、この作品が “見る”、“見られる” の 「 視線 」の話 でも
あるからで、
「 セリフが少ない 」のも 「 映像で見せる 」作品 だからでしょう。
( 他の作品を見たことが無いので、監督の傾向は 分かりませんが… )
とはいっても 「 情報不足 」 では ありますけどね。
微エロ・描写 ( イメージ )が 多めで、あと 一応 「 魔女モノ 」…なのかな~?
上映時間は 90分 と短め。
オススメは しませんが、 「 変な映画 」、「 謎の映画 」 が 好きなら
楽しめるかも?
ここから “ほぼネタバレ” です。 ( 明確なオチは 分かりませんが )
長いので 興味があったら 読んでください。
OP は 「 目のアップ 」 から 始まり、その後も 「 目のアップ 」 が
3画面分割 ( 縦と 横バージョン )で 映されます。
音楽も フレーズを 繰り返す ホラーらしい 旋律で、気分が上がりますね。
少女時代の 「1部」 ( 表示はない 便宜上 )は 広大な屋敷 が舞台。
怪奇幻想 な雰囲気で、一番 面白いかな?
少女・アナ の他、アナの 父と母、グラチエラ という 女性 と、
安置されている 祖父の遺体 が登場します。
ベール で 顔を隠した 喪服姿の グラチエラ は、祖父の 世話係だったようで、
アナ母 からは 「 あの女は魔女」 とも 言われています。
「 カギ穴 」 から アナを 覗く グラチエラ との攻防?は
チョット スリリング…かな?
その グラチエラ は、祖父の遺体が ある部屋に 「 小鳥の死体 」 を
置いたり、
「 岩塩?」 を 祖父の ベッドの下に ばら撒いたり( 結構多い )、
「 爪 」 を焚いたり?と、何やら 呪術(?)を している様子。
「 岩塩?」 は “アナのベッドの下” にも 何故か あります。
アナ は夜、祖父の 安置部屋に 行き 部屋を物色。
鏡に映った 祖父の手に “光る” 「 懐中時計 」 に 気付いた アナ は、
それを取ります。
その蓋を 開けると、“嘆息”?が聞こえ、祖父の目が 何故か 開いているんですね。
アナは 祖父の目 を閉じますが、
その後 アナが グラチエラに 襲われた時、祖父の目 は 開いている
んです。
グラチエラ から逃げた アナ は、親のセックス を 見てしまい、
ここから 幻想的な体験 をします。 ( 原色演出になる )
ベッドで 寝ていた アナ が、“水が 上から 落ちてきている” のに
気づき、
上を見ると 「 足を バタバタさせる 映像 」 が 映っています。
そして また グラチエラ に 襲われて 逃げ、その後、
起き上がった 祖父 に 迫られるところで、アナは 目を覚まします。
そこは 廊下で、周りには 父母 と グラチエラ がいて、
その グラチエラ の ポケット から 出ている 「 懐中時計 」 の チェーンの アップで 終わります。 (3段階の アップ 演出が クドい )
1部は 死(祖父)と 性(両親のセックス)と 恐怖(不気味なグラチエラ)の 合わせ技 トラウマ・幻想体験 …かな?
アナ の 「 視線恐怖 」( 母が原因?)も 窺え、
「 カギ穴 」 から 覗く目の ビジュアルが 不気味で 良かったですね。
いたる所に 「 目 」 の描写、デザイン があるけど、クドいので
どうでも よくなってきます。 ( でも 好きですが )
グラチエラ が アナを襲った理由は 「 懐中時計 」 だと思いますが、
( 「小鳥の死体 」 と 同じで 呪術で 使っている?)
アナの 「 恐怖体験 」 が グラチエラのせい なのか、
アナ個人 の 幻覚、妄想 なのかは 分からない。
次、アナ の 「 思春期時代 」 ( 便宜上 「 2部 」)。
美容院に行く 母 に付き添う アナ が、「 行って 戻って来る 」話。
だけど、「 エロ視線・サスペンス 」 なんですよ。
車が 近づいてくると 娘の手を放し、上のボタン を はずして
色気を アピール し、
美容院では 白髪を染め、若さを 出そうとする 母 と、
男たちに 見られる 若いアナ との 対比が 面白い。
( 車の男 は わざわざ スピードを 落とし2人を “見る” し、 白髪も
アップ描写がある )
その前の、さりげなく 手をほどく アナ も 思春期っぽかったな~。
アナ は 併設された 雑貨屋の 主人から エロい視線 で見られ、
“棒状のキャンディー” を 口に 押し付けられる?し、
サッカー少年に 至っては キスしようと 迫って来たりと、バカ・エロ で
面白いです。
1人 坂を下りた アナ は バイカー集団 に出会い、
ここでも グラサン越しに じっとり “見られる” んですが、
アナの方 も 男たちを “見ている” んですよね。
( 口とか 汗とか。 もちろん アップだが 楽しくない )
ここの “視線対決”? がまた クドイんだよな~。
危うい 雰囲気に なりますが、最後は いつの間にか アナの前 に
母がいて ビンタされ、家に帰ります。
2部 は アナ の 妄想、夢想 多めな?男性への興味と 恐怖、
母の 娘への嫉妬と 心配 の話かな?
ここでは バイカーの1人 が 「 バイクのミラー 」 を使い アナに
光を照射する、
『 サスペリア 』 の 「 三角フラッシュ 」オマージュっぽいのがありました。
他にも 序盤に 「 ヘソから出た アリを潰す 」、シュールレアリスムを
彷彿と させる場面 や、
アナ の 「 パンチラ 」 なんかもあり、地味に 面白いですよ。
「 3部 」 は まあまあ歳を 取ってる アナ が、空き家になった 屋敷に
戻り、“何者か” に 襲われる話。
行きの タクシー では、窓から入る風で アナの服が ほつれ、
運転手 から 服を裂かれる 「 夢 」 を見るなど、
男性への恐怖心 が窺えます。
林を歩く 場面での、アナの体を まさぐる 小枝や 葉っぱ、
手に付く 「 白い樹液 」( 樹の方が卑猥 )の エロ・イメージ は好き。
この 樹液の場面 で アナに クモがつく のも 意味深。
館には 階段の壁に 「 男の肖像画 」 が 3枚並んでるんですが、
次に 階段を上がる場面 では、その絵の 「 目 」 が 切り裂かれて
いて、
アナの 「 視線への恐怖 」 が 垣間見えますね。
あと、アナが 何度か 訪問者 の確認( 心配?)をする場面も
あります。
夜になり、屋敷の 水の出ない 空のバスタブ に 入った アナ が、
「 クシ(櫛)」 の匂いを 嗅いで 自慰 をすると、体( 股間 ) から “水” が
出て 溜まっていくんですが、
この 「 クシ 」 は 多分、タクシーの運転手 が 持っていた 「 クシ 」
かな。
タクシーの場面の 最後で、運転手 の 「 クシ 」 を 映していて、
それを アナが 盗ろうとしているかのような描写も あったし。
( なので、期待と 恐怖で 気になっていた 訪問者は 運転手…かな?)
自慰で “水” が溜まり、しばらくすると 突然 “皮手袋の人物” が
登場。
アナの顔を その“水”に 押し付けるんですが、なんとか 逃げ出します。
ドアの カギを 閉めると 「 カギ穴 」 からは 1部でも あった
「 覗く目 」 が…。
次の日の夜、アナは “皮手袋の人物” から 追いかけられるんですが、
そこに タクシーの運転手 が 訪ねてくるんですね。
で、“皮手袋の人物” は アナを捕まえ、体を触った後、
アナの体に 付いていた クモを 殺します。
アナ に近づいた 運転手を “皮手袋の人物” が刺し、
その顔を 切り刻み、トドメを 刺します。
この時、運転手の 複数の傷 が 一斉に 開くんですが、
これは タクシーで アナが 見た「 夢 」 で、アナの服が ほつれ、
ばらける描写 と同じ。 ( やり返したかのようだ )
アナ が 目を覚ますと、その手には 皮手袋が はめられ、そこには
運転手 の死体も。
私は グラチエラ か、アナ母 が 犯人だと 思っていたのですが、
“皮手袋の人物” は アナ でしたね。
しかし、アナ の前に 覆面男( 顔は 真っ黒で 全然見えない ) が
登場、また逃げるハメに…。
( 一瞬、追う、追われる が逆転する?描写がある )
終盤、目の前の 覆面男に アナ は ナイフを 刺しますが、
アナ の顔には 「 血しぶき 」 ではなく、「 白っぽい液体 」 が 掛かり、
次の場面で アナは 遺体処置 されています。
覆面男に “目”( 顔 ) が無かったのは、アナ自身 だったからでしょうか…。
処置されている アナ の両手首には 傷跡 があり、自殺っぽい。
で、最後は 死んだ アナの目が開いて 終わります。
3部は 男性への欲求と 恐怖( 嫌悪 )の 幻覚話?
“皮手袋の人物” は、アナが 男性を思ったり?、性的欲求の高まり?で 出てくる 男性嫌悪の人格?かな。
アナ に近づく 運転手( 異性 )を 殺すのは、
『 殺しのドレス 』っぽいな~。 ( 『 反撥 』 も 少し思い出す )
あと、アナの 体を 這って殺される 2部 序盤の アリ と 3部の クモは、
彼女に 近づく男の排除 の暗喩 かな?
白い樹液の場面 の クモ は、男性への嫌悪感 の意味が ありそう。
興味深いのが、1部で 水 がしたたる天井に 映った、
「 足をバタバタさせる映像 」。
これ、3部の
「 アナが バスタブで 顔を 水に押し付けられて 暴れる( 足バタバタ )」の 予知っぽいんですよね。
なので、「 運命オチ 」 の線もあるかな?
自殺した様な アナの遺体が 最後、目を開きますが、
1部の 祖父の遺体 も 目を開いていましたね。
祖父は グラチエラ に 呪術?を掛けられていた 節がありましたが、
アナ の ベッドの下にも その痕跡(「岩塩?」)がありました。
なので、アナが 幻覚を見るのは 精神的なモノ ではなく、
グラチエラのせい と 見ると、「 魔女オチ 」 でもいいような…。
他にも 「 死んでたオチ 」 でも イケるな~。
というわけで、しつこい描写が多いのですが、個人的には
いろいろ考えるのが 楽しく、見どころも 多い作品でしたね。