「 ボディ・スナッチャーズ 」(米・1993年)
小説 『 盗まれた街 』 を 映画化した SF・サスペンス 作品。
監督は アベル・フェラーラ。
あと、脚本の 1人に スチュアート・ゴードン が、
ストーリー の1人に ラリー・コーエン がいます。
この前 映画 『 盗まれた街 』 について 少し 書いたとき、
『 93年版 』 は 観てなかったのに、
「 『 78年版 』 が一番好き 」 と 書いちゃいました。
それが 気がかり だったんですが、「 Amazon 」 で 動画配信していた
ので 観ました。
これで 小説 『 盗まれた街 』の映画化 全4作品 鑑賞。
環境保護局員 の父、スティーヴ の 軍施設の環境調査 のため、
軍の基地に 家族で 暮らすことになった マーティー。
軍医の コリンズ少佐 は スティーヴ に、
「 眠るのを怖がり、他人を信じない患者が 増えている 」 と告げる。
マーティー 役、ガブリエル・アンウォー。
キャロル 役、メグ・ティリー。
スティーヴ 役、テリー・キニー。
コリンズ少佐 役、フォレスト・ウィテカー。
エンタメ度 高めと 思っていましたが、普通でしたね。
前半は 不穏描写 が なかなか 良かったです。
住民から 「 黒い ゴミ袋 」 を 回収する ゴミ収集車を 映す構図が
意味ありげ で イイ雰囲気を 出していたし、
大将の娘、ジェンの母親 が ソファー で眠っている カットでは、
徐々に傾く カメラ が 不安を 煽ります。
( 中盤、複製人間の ジェンの母 の くだり でも 画面が 傾いている )
保育所では 弟・アンディ 以外の 子供の描く絵 が、
みんな同じ 「 赤地に “線虫” が うねっているような絵 」 だったりと、
徐々に高まる 異様な感じ の ゾワゾワが 心地いい。
面白いのが アンディ の描いた絵 も 「 不気味 」 なところで、
少し 混乱してしまいましたよ~。
門限を破り、パイロットの ティム と 酒を飲んで 父に怒られた
マーティーが 翌朝 言った 「 家を出たい 」 に、
父と 継母( キャロル )と その子供( 弟・アンディ )の中に
加わっている マーティーの 居心地の悪さ や、疎外感 が 垣間見えます。
中盤は 特殊効果を使った 描写が出てきて ホラー・エンタメ的 に
盛り上がってきます。
アンディ が 寝ている 母・キャロル の側に行く場面では、
干からびていた キャロル が ボロボロ に 崩れる のですが、
1カット 挟んで、奥に 映っている ドア から、
裸のキャロル( 複製人間 ) が 姿を見せる構図が スゴく 良いんですよね。
その 裸キャロル の アンダーヘア が バッチリ映っているのには
少し 驚きました。
( 顔は映っていない。 キャストを見ると、ボディ・ダブル のようだ )
次の朝、“不気味な 保育所” と “不気味な 母親” の
2択を 迫られる 弟の顔が 笑えます。
浴室の天井裏に ある “繭”(マユ) から 伸びた 数本の “管” が、
浴槽で うたた寝している マーティー の 口や 鼻に 入り込む場面は、
“管” が 半透明で “線虫” のように見え 気色悪く、見応えがあり、
徐々に 人型( 複製 )が 形成される、「 繭の中 の映像 」 も 神秘的?で、
特殊造形 としても 面白かったですね。
目を覚ました マーティー に、天井から 自身の「 複製 」 が 落ちてくる ところは 微エロ だし 笑えます。
ベッドで 「 複製中 」 だった 父 を助け、弟と 逃げる くだり では、
『 78年版 』 を 踏襲した 「 複製キャロル 」 の 「 叫び 」 が あるけど、
個人的には 気に障る 「 叫び 」 ではなく、“感情” も 少し感じるので、
怖さは ありませんね。
( 『 78年版 』 は “感情” を 感じない から 不気味 )
その後の 兵士や 住民が 追いかけてくる描写 は 緊迫感があり
結構 良かったけど。
その 「 複製人間 」は 見ただけ では わかりませんが、
「 複製人間 」側 も 見た目や 少し喋っただけでは 「 人間 」 かどうか
わからない のが サスペンス性を 出していました。
それなのに 様子を見に行って戻ってきて 父親 を マーティー が
疑い、
撃つのを迷う ティム を 尻目に、あっさりと 父親 を 撃っちゃうんだよな~。
父は 「 複製人間 」 だったけど、観てる こちらは どっちか わからないので、
マーティー の “父への殺意” を 感じて 少し 怖いんですよ。
後半、捕まった マーティー と 弟 を 捜す ティム は
“複製マーティー” が ほぼ完成した後 の マーティー を 救出する
けど、
養分とか? 吸い取られているのに、本人に 干からびた 様子が
全然 無いのが 気になります。
でも、 “裸の複製・マーティー” が もだえる 描写が 色っぽかった
から まあ、いいか。
その後、“複製・ジェン” に 「 弟 が捜してた 」 と、カマを掛けられた
マーティー が、つい 居場所を 訊いてしまい、
その “感情の表出” で 人間だと バレちゃう 場面は、
マーティー の “弟への 想い” が感じられて 少し グッと きました。
そして 間もなく 弟 が 現れ、3人で ヘリ に乗り 飛び立つも、
その 弟 は 「 複製人間 」 だったのが 定番の展開 ながら 悲しいな~。
家族が 全員亡くなり、図らずも マーティー の 願い、
「 家を出たい 」( 家族から 離れたい )が叶っちゃうんですよ。
マーティー の手で ヘリ から 落とされた “複製・弟” が、
落ちながら 「 叫ぶ 」描写には 笑っちゃったけど。
普通なら ヘリで 飛び立って 「 終わり 」 なんだろうけど、
その後、ヘリ の ミサイル を バンバン 基地 や “繭”を運ぶ トラック に 撃ち、
ドカン ドカン と ハデに 破壊します。
マーティー の モノローグ から、家族を奪われた “怒り” や “憎しみ” の発露 とわかるけど、原作には そぐわない感じ。
でも、その “基地の破壊” には 意味がありそうです。
そもそも 何故、舞台が “街” ではなく、“軍の基地” なのか。
前半、ティム が クウェート で 人を殺していることが わかります。
ティム は 90年に 始まった 「 湾岸戦争 」 に 参加していたんですね。
『 78年版 』 は 思想的な メッセージ だったけど、
今作は 多分、「 厭戦 」 が メッセージ で、
だから 戦争の象徴 といえる “軍の基地” を 爆破したんじゃないかな?
あと、個人 が抱く 「 怒り 」 や 「 恐怖 」 から来る 「 人間の暴力性 」
と、
「 個人 」 と 「 共同体 」( 家族や国 ) の関係も テーマ かな。
時に 「 個人 」は 感情が爆発し、暴力的に なることもあるけど、
その 表現として、「 憎しみによる “破壊” 」( 感情による 暴力 ) が
必要だったんですよ。
娘・マーティー の “疑惑の父親の 射殺” に ついても、
マーティー には 「 普段の父 」 と 「 複製人間 」 が 同じに見えていた
と 考えると、
父娘の間 の “隔たり” や、 大人に対する “不信感” が 「 恐怖 」 を
生んだと 解釈 できそうです。
侵略者 に ついても 「 共同体 」( 国 など ) に対する 不信感 かな?
“軍の基地” が 乗っ取られるのも なんだか 意味深ですね。
保育所の場面、侵略者の子供 が 描いた絵は 「 気色悪い絵 」 でしたが、
アンディの 描いた絵も かなり 「 不気味 」 でした。
それは、感情を持たない 侵略者( 共同体 ) も、
感情を持つ 人間( 個人 ) も、
どちらも 「 恐怖や 暴力を 生む 」 って事なのかもしれません。
あと、初めの マーティー の モノローグ、
「 世の中には 理解できない事が起こるものだ 考えても仕方ない 」
「 物事には 訳がある その訳が 好ましくなくても 」
から、制作側の ある種の 諦念 も感じるんですよね~。
前の2作( 56年版、78年版 )とは違う、この時代を 反映した、
以外にも 興味深い 内容でした。
マーティー 役の G・アンウォー は、顔のパーツが 大きく、印象に残る顔立ちで、無造作に まとめた髪 が キュートでしたね。
F・ウィテカー は 出演時間 は 短いけど、“泣き言 セリフ” の熱演 が
良かったですよ。 少し 浮いてたけど…。
「 SF・サスペンス 」 として普通に 面白く、
特殊造形 や 軽めのエロ も あり 結構楽しめました。
上映時間 も 90分弱 と 短く、観やすい作品でしたね。