映画本 「 怖い、映画 」
第2章からの 続きで、感想など いろいろ。
第3章 「 1980年代ビデオ時代以降、恐怖映画のビックバン 」
岡本敦史 の
「 中断された物語の不気味さ 「 トワイライトゾーン~ 」 では、
映画版 『 トワイライトゾーン/超次元の体験 』(83年) の 1話目、
『 偏見の恐怖 』( 『 TIME OUT 』 ) を 取り上げていていました。
人種差別主義者の男 が 時間を超え、ナチスに 追われ、
KKK に 殺されそうになり、ベトナムで 米兵に 襲われ、
最後は 強制収容所行きの列車 に 乗せられる話 ですが、
物語の起伏が無く、唐突に 終わった感 が ありました。
実は この後、差別主義者の 主人公が 改心する 続き、
「 ベトナムで 少女を 助ける 」 くだり が あったんですね。
それは 制作側の要求 だったようですが、その 撮影中、
主人公 役 の ヴィク・モロー が 事故で 亡くなってしまった ため、
続きの場面が 無くなってしまいました。
その “ぶつ切り” の 不穏な構造 が、恐怖を 生んでいる としています。
実際、何とも言えない 寂寥感は 覚えますが、
やっぱり 恐怖 よりも 置いてけぼり感 が強いな~。
でも、作品の内容は 時が経っても 尚、今日的 なので、
「 差別は 返ってくる 」 という 意味 として、このままの方が
個人的には 好きですね。
『 トワイライトゾーン 』 は 何回か 観てますが、
4話目 の 『 2万フィートの戦慄 』 が 大好きですね。
飛行機恐怖症の男 役、ジョン・リスゴー の 恐怖に 慄く様 が
楽しかったな~。
こういう 自分だけが 気づいてる、「 孤軍奮闘 系 」 の話は 好きなんですよ。
( 『 デッドゾーン 』(83年)、アニメ 『 まどかマギカ 』 とか )
この作品の、リスゴー は騒いでるだけ だったけど…。
3話目の 『 子供の世界 』 も、
サスペンス、不条理感 たっぷりで 怖かった。
なんでもできる能力 を持った 少年 が、その能力が あるがために
孤独っていうのが やるせないです。
ジョー・ダンテ 監督 らしい 愉快な映像 だったけど、それが かえって
悪夢のようで 不穏で、
ドアを開けると デカい目が… の場面は インパクトが ありました。
高橋ヨシキ の 「 デヴィッド・リンチの飛び上がるような恐怖 ・・・」
では、D・リンチ 作品の 「 顔 の恐怖 」 に ついて。
ホラー演出には 興味があるので、
初めの 「 瞬間的な恐怖演出 」 に ついては 為になりましたね。
あと、リンチの 恐怖表現 の 「 肌のテクスチャー 」 として、
「 ぶつぶつ赤ちゃん 」、「 惑星の男 」 ( 共に 『 イレイザーヘッド 』 )、
「 ハルコンネン伯爵 」 ( 『 デューン/砂の惑星 』 ) の
「 腫瘍 」 と、
「 ラジエーター・ガール 」 ( 『 イレイザーヘッド 』 )、
「 ジャンプする男 」 ( 『 ~ 最後の7日間 』 )、
「 ミステリーマン 」 ( 『 ロスト・ハイウェイ 』 )、
「 口紅を 顔に塗りたくった マリエッタ 」 ( 『 ワイルド・アット・ハート 』 )の、
「 厚塗り 」 が あるとの 指摘は 面白く、
そして、
『 ツイン・ピークス The Return 』 の 「 黒く煤けた顔 のウッズマン 」、
さらに 『 イレイザーヘッド 』 の、
“ヘンリー の部屋に貼られた キノコ雲写真” から 『 イレイザーヘッド 』 の 新たな視点が 見えてきそうなのも 興味深い。
個人的に リンチの 「 恐怖の顔 」 は、
『 ワイルド・アット・ハート 』 の 「 口紅マリエッタ 」 も 怖かったけど、
「 特徴的な 歯茎の ボビー 」( ウィレム・デフォー ) ですかね。
その 不気味な顔を わざわざ吹っ飛ぶしているのには 笑ってしまう
けど、イヤ~な感じ も残ります。
『 The Return 』 では、
後半の セーラ の “表情の乏しい顔” が 不穏さを 醸し出していて、
さらに 終盤、“その顔が…” からの くだり は 残酷描写 として
最高でした。
他の 残酷描写 としては、
ウッズマン の ルチオ・フルチばり の 「 わしづかみ頭部破壊 」 も
楽しかったですね~。
山崎圭司 の
「 ウェス・クレイヴィンは現実の恐怖に向き合う 」
は、クレイヴン の 「 虚構 」 と 「 現実 」 の 曖昧表現 についてかな。
『 エルム街の悪夢 』(84年)で、
夢の中に 出てくる 殺人鬼・フレディ を 現実に 引きずり出す 展開は、
改めて 考えると 素晴らしく、モダンホラー的な 解決法 ですね。
その後、身も蓋も無く 「 フレディは いない 」 として “フレディ を 消す” のも、また 現代的だな~。
それでいて、最後は ホラーらしい オチ に なっていましたね。
本来 安心するべき 「 夢オチ 」 を 「 恐怖 」 に 変えた アイデアは
もう少し 評価されても 良いと思うな~。
続編を 「 茶目っ気ある お喋り 殺人鬼になった 」 と 書いていたけど、
個人的には、あまり 見かけない? “軽口殺人鬼” として 結構 好き
ですけどね…。
『 エルム街の悪夢 』 では 「 現実 と 夢 」 を 曖昧 にしてたけど、
『 スクリーム 』(96年)では、
スラッシャー映画 を 「 現実 と 虚構( 映画 )」 で メタ化 していました。
“ホラーの定石” を 緊張と 恐怖と 笑い?に 変えていて 面白かった
けど、反則技 ではありました。
( “ジャンル殺し” と 言われたとか…)
でも、どのみち メタ化 は 免れなかっただろうな~。
アクションでも 『 ラスト・アクション・ヒーロー 』(93年) があったし。
その 『 スクリーム 』 シリーズ は ミステリー風な趣 が 好みで、
時に モタモタ する 殺人鬼( 幽霊マスク ) に 人間味を 感じて
良かったですね。
あと、クレイヴン 監督 といえば、「 電気人間 殺人鬼 」 を
描いた コミカルな ドタバタ・ホラー、『 ショッカー 』(89年 脚本も )
が 結構楽しく、
虚構 表現 としても 殺人鬼 が テレビ画面入り込んで いましたね。
岡本敦史 の、
「 押井守は卵を壊す 恐怖映画としての 『 うる星やつら2~』 」
は、個人的に かなり 読み応えが ありました。
押井守 監督の 『 うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー 』(84年) は、2回観てます。
( WOWOW 一挙放送 では 全部観ました )
ネタバレあり
この作品は 「 虚構と 現実の 混濁 」 が モチーフとの 説明が
ある通り、
「 日常 が 非日常 だった 」 事が 恐怖演出 で描かれていて、
面白かったですね。
記述としては、
後半の展開 と 『 ゾンビ 』(78年)との 構造の類似の 指摘が 面白く、
『 天使のたまご 』( 85年 OVA ) と、
『 迷宮物件 FILE-538 』( 87年 ) からは、
監督の “目覚め” の 「 促しと 期待と 不安 」 が感じ取れ、
その後( 歳をとったから?)の 「 変容の恐怖 」 から 「 憂い 」 への
変遷も 興味深いです。
個人的には 『 機動警察パトレイバー 劇場版 』(89年) の、
「 怪談映画 として作られている 」、
「 極めて モダンな 幽霊譚 」 との 指摘には 同意見で、嬉しかったな~。
『 うる星やつら2 』 に 話を戻すと、
筆者は 「 恐怖を覚える瞬間がある 」 と 書いているのですが、
私も 前半は 現実の覚束なさ や、不安を 覚えたし、
「 幻想怪奇 」、「 怪談 」 の要素も あったので、
カテゴリー としては 完全に 「 ホラー映画 」 ですね。
本にも 書いている、喫茶店での
「 サクラ先生 と 温泉マーク の会話 」場面の 異様な雰囲気が
好きで、
テーブルを軸に クルクル回る カメラは 不穏を 煽りますが、
『 ミッドナイトクロス 』(81年) みたいで 楽しくもあります。
夜の学校 での、幻想怪奇な趣 も 不気味で 愉快だけど、
1番好き なのは 面堂 が車で 帰宅しようとする場面。
( 『 世にも怪奇な物語 』(67年) の第3話、『 悪魔の首飾り 』 の
オマージュ で有名。 この話での 車で疾走 場面も好き )
車視点で 暗い町( 住宅街 )を 走るのですが、まるで 迷路のようで
全然 進まず、
( 脱出を阻む かのような 行き止まり が 恐ろしく思える )、
車のライトも 頼りなくて、不条理感、幻惑感を 覚えますね。
妖怪・無邪鬼 による、「 あたる と ずっと一緒に いたい 」 と願う、
「 ラムの夢 」 だったという 真相 ですが、
「 ラムの願望 」 で あたるたち が 囚われていると いえるので、
個人的には 「 監禁モノ・ホラー 」 でもあります。
でも、女好き(浮気)男 への 受け取ってもらえない愛 を ブーメラン に例えた ED曲、『 愛はブーメラン 』 が、
ラムの あたるへの 想いを 表していて 切ないんだよな…。
最後に 伊東美和 の 「 ジョー・ダマトを再評価 」 から、
ほとんどの人には どうでもいい、「 ホラー映画、チョットいい話 」 を。
ジョー・ダマト は 『 エマニエル夫人 』( 74年 フランス ) の ヒットに、
イタリアが 便乗した
『 ブラック・エマニエル 』 シリーズ を 数本 監督しています。
そのうちの 1作、『 エマニエル・イン・アメリカ 』(77年 3作目)では
「 スナッフ・フィルム 」( 殺人フィルム )が 流れるのですが、
この 拷問映像の 特殊効果 に ジャネット・デ・ロッシ が加わっているんですよ。
で、デヴィッド・クローネンバーグ は 本作から
『 ヴィデオドローム 』(82年)の アイデア を思いついたみたい なんですね~。
イイ話だな~(?)。