今月は ミステリー 2冊、漫画 1冊。
「 少女を殺す100の方法 」 白井智之
気になっていた 作家です。
「 多ジャンル・短編集 」 ですが、基本 「( 本格・)ミステリー 」 でした。
まあ、
『 人間の顔は食べづらい 』 は 「 横溝正史 ミステリ大賞 」 の
最終候補作 だったし、
『 東京結合人間 』 は 「 日本推理作家協会賞 」 候補作、
『 おやすみ人面瘡 』 も 「 本格ミステリ大賞 」 候補作 と、
本格系?の作家みたいなので 当然とも いえますが。
全5編で、題名通り 少女たちが たくさん 死んでます。
あと、装画は 浅野いにお の “少女の絵” で、
タイトル、内容との ギャップが スゴイ ですよ。
1作目 『 少女教室 』。
冬休み、未履修の補講ため 集まっていた 2年A組の生徒 が
射殺される。
しかし、生徒は 全21人 だが 死体は 20体しか 無かった。
残った 1人が 犯人 だと考えた 教頭の クサカベ は、
この後の 「 保護者説明会 」の前に 犯人 だけは 特定しておこうと、
調べ始めるが…。
死体の顔が潰されていたり、「 座席表 」 や、防犯・カメラ 映像 で
調べた 「 登校時間 」(と ジャージ着用の有無 )の表 が 載っている
など、
ミステリー要素が強めに 感じました。
前半は クサカベ が調査する展開で、このまま 進むのかと思っていたら、
中盤で 違う展開( 趣 )になり 少し ガッカリ。
しかし、その後の 麻耶雄嵩っぽい? 展開は 楽しかったし、
最後にも やられましたね。
以外にも 情報量が 多く、もっと じっくり読めば良かったと 後悔。
2作目、『 少女ミキサー 』。
「 巨大・フードプロッセッサー 」( ミキサー )の中で 目を覚ました
少女・ドロシー。
そこには ニーナ と レイラ、2人の 少女がいた。
その 「 ミキサー 」 には 朝、上から 全裸の少女 が 落ちてきて、
“生きている少女が 5人” に なると ミキサー が回転、バラバラにされ、
中央の穴に 捨てられるのだった。
ニーナ と レイラ は 生き延びるため、落ちてきた “4人目” を殺してきたのだが、それに ドロシー も 加わる事に…。
「 不条理・ミステリー 」 ですが、今作も 情報量 が多め。
狭い ミキサー内で 殺人が 起こるのですが、
「 首、手首、足首を切断 」 と、なかなかの 死体状況 で、
ミステリー気分が上がりますね。
何点か 気になる箇所が あった のですが、わかりませんでしたね。
なので 個人的には ミステリー難易度(?)は 高めでした。
( そもそも 熟考しないで 読み進める タイプ ですが… )
今作も 軽めに 読み進めてしまい、チョット後悔…。
ここからは 書きおろし 作品。
3作目 『 「 少女 」 殺人事件 』。
新人・ミステリー作家 赤井虫太郎 に呼び出された 後輩・カズオ は、赤井 の 「 未発表作 」 を読み、“犯人を当られるか” の 「 賭け 」 を
することに…。
小説内 ミステリー小説、「 メタ・ミステリー 」作品です。
赤井の 「 小説 」では 始めに 「 読者への挑戦 」 や、
「 ノックスの十戒 の遵守 」 が 書かれているのですが、
怪獣 が 出てきたり、アイドル候補生 20人が 殺されたり
( 赤井は 怪獣、アイドル が好き )
と、内容は かなり 突飛。
それでも 前の2作 の後悔を 踏まえ、初めから じっくりと
読みました・・・が、
かなりの “変化球”( ある意味 “ど真ん中”?) で、脱力・・・すると
共に、その 発想に 感心しました。
「 ノックス 」的 には フェア でしたが、人によっては 「 バカ・ミス 」 に
なるのかな?
個人的には 嫌いじゃないですよ。
4作目 『 少女ビデオ 公開版 』。
いかかわしげな タイトルですが、今年 読んだ 平山夢明 作品に
勝るとも劣らない かなり えげつない内容でした…。
父親が 娘に宛てた 「 ビデオ・メッセージ 」 で 娘の母親 について語る話なのですが、
父親の仕事は “用済みになった 少女” に、“別の少女の肉” を
食べさせる事 なんですよ…。
凄惨な 「 エログロ 」 作品ですが、伏線が しっかり あったし、
予想に反して 父娘ドラマ部分 も良く(?)、
最後は イイ話(??)で 締めるところは やっぱり 平山っぽいですね。
5作目 『 少女が町に降ってくる 』。
叔母の家に しばらく住むことになった ミロ。
その村では 8月16日の朝 に 少女 が降ってくるという…。
「 超常現象、特殊状況・ミステリー 」 でいいのかな。
20人 降っていた 少女 が、1人 増えていたり、
少女たちは みな同じ 「 DNA 」 だったり、
過去、神主による 「 少女監禁事件 」 があったりと、
面白そうな 要素が たくさんあり、読んでいて 楽しかったですね。
当然、殺人事件 も 起こります。
今作も 情報量 が多めで、しっかり 読んでは いたんけど、
ダメ でしたね…。
設定を 活かした トリック も 良かったし( 好きなヤツ )、
犯人 も良かったな~。
最後は チョット感動的で、後味は 結構スッキリ・・・は しないか。
特種な ミステリー設定が 好みでした。
5作品 全て 面白かったのですが、個人的に 1番良かったのは 5作目かな。
「 グラスバードは還らない 」 市川憂人
本格・ミステリー。
マリア と 蓮 の 刑事コンビ の シリーズ、第3弾。
1作目の 『 ジェリーフィッシュは凍らない 』 は読んでます。
不動産王、ヒュー・サンドフォード の所有する ガラス製造会社の
社員2人 と、研究者と その恋人 の4人( + メイド 1人 )は、
部屋が 多数あり、通路が 迷路のような フロア に 閉じ込められる。
┋
刑事の マリア と 蓮 は、ヒュー の 希少動物収集の 情報をつかみ、
ヒュー が 最上階に 住む、「 サンドフォードタワー 」 へと赴く。
非常階段を使い 上階を 目指した マリア だったが、タワー で爆発が起き…。
フロアの “仕掛け”、 消えた “硝子鳥”( グラスバード )と、
ミステリー的な ケレン味 が 楽しいです。
ある人物の 心情描写も 良いアクセントに なっていたし、
( ちゃんと “謎” になっている )
意味深な 表現や 描写、さりげない伏線も 上手いな~。
“仕掛け” の1つは 私が 「 悪趣味好き 」 なので なんとなく推測 は
出来たし、
先に 読んだ 『 少女を殺す~ 』 に 似たようなのが あったので
インパクトが 薄れちゃったのが 残念でした。
でも 後半の展開は かなり良かったです。
あと、マリア と 蓮 の掛け合い( 蓮 の皮肉が 可笑しい )は 愉快
だし、タワーの爆破の くだり も 緊迫感があり、エンタメ としても、
普通に 楽しめましたね。
「 ジェリーフィッシュ 」 が 出てくるので、興味があれば 1作目 から
読んだ方が良いのかな?
「 藤子・F・不二雄 SF短編PERFECT版2 」
藤子・F・不二雄
初出が 1973年 から 75年 までの SF短編 13作。
『 定年退食 』 は 平山夢明 の短編、『 定年忌 』
( 定年後、全ての 権利を 失う話 ) を思い出しました。
“暴力的” な 『 定年忌 』 と 比べ、
こちらは “諦念” と “微かな望み” が、可笑しみ と 物悲しさ を
醸し出していましたね。
ラストのコマ が 「 天国への階段 」 のようで 印象に残ります。
あと、“食料事情” が おもな原因らしい のが 興味深いです。
( もちろん 現実にも 食料問題は あるのだが… )
『 間引き 』 も 「 人口増加問題 」 で、似たような テーマ。
「 コインロッカーに 赤ん坊を捨てる者が 増えた 話 」 が すでに 不穏だけど、
さらに 不穏を掻き立てる “唐突な殺人” が 起こり、
個人的には 気分が 盛り上がりますね~。
記者のセリフ、
「 1980年現在、世界の総人口は 45億に 近づいた 」
「 一方、食料の増産は はるかに これを 下回り、・・・ 」
からの 記者の “推理” が 楽しく、
“推理” の前に 挟まれた、保険営業 の 「 カロリー保険 」への 勧誘 と、
“推理” が オチ で繋がる 快感が たまらないな~(?)。
さらに 厭世的 だったのが、
中盤に 「 彗星衝突 パニック 」展開になる、『 箱舟はいっぱい 』 で、
“ありそう” なのが 怖くて 面白い。
『 ノスタル爺 』 は ダムに沈んだ村を 30年ぶりに 訪れた 男 の
回想話 で、
戦争で 引き裂かれた 「 愛 」 を、
ある “現象” と “決断” で描いていて、切なさを 覚えるのですが、
読後に “言葉の意味” がわかり、さらに 切なくなりました。
『 休日のガンマン 』 の、
“パロディのような ガンマン” を描く、前半 と、
『 権敷無妾付き 』 の、“知らない女性からの手紙” が来る、
前半の くだり が
ミステリーっぽい描写と 展開で 地味に 好きですね。
『 コロリころげた木の根っこ 』 は DV夫作家 と その妻 の話で、
サスペンス・ホラー で 面白かったです。
似たような話?は ネット や TV で やってた気が…。
『 アン子 大いに怒る 』 は、『 エスパー魔美 』っぽい
ほのぼの系の話 で チョット癒されます。
今回は 厭世観 を感じる作品が 多い印象で、
宗教色 が 少し あったのが 興味深いですね。