「 エル ELLE 」 (仏・2016)
ポール・ヴァーホーヴェン 監督 の サスペンス・ミステリー。
ゲーム制作会社の社長・ミシェル は自宅で 男 に襲われるが、
ミシェル は警察には 届けず、自ら 犯人 を 捜すことに…。
軽く ネタバレ あり。
個人的には 思ったより ミステリー要素は 少なく、
「 人間ドラマな ブラック・コメディ 」 作品 でしたね。
ミシェル ( イザベル・ユペール ) の 「 犯人探し 」 も良かったけど
「 人間ドラマ 」 が楽しく、
息子の恋人・ジョジー や 母親 との 確執 のほか、
親友・アンナ の夫、ロベール との 不倫関係、
元夫の恋人 への 嫉妬 や、
さらに 向かいの家の パトリック ( ローラン・ラフィット ) への 誘惑
と、かなり 自分本位で 観ていて 面白い。
しかも ミシェル は 襲われたのに ショック を面に出さず、
変わらず 活き活きして いました。
“泣いたり”、“落ち込んだり” した所で、なんにもならない と
思っているんだろうな~。
知人たち へ 事件報告 した後、みんなの 反応を 見て
ウンザリ顔をした のが 印象に残ります。
しかも 犯人 からの 嫌がらせ を 受けた後も、
「 防犯スプレー 」 と 「 小型の手斧 」 を買い、
後に 「 銃の撃ち方 」 も習い、
自分で 対処しようとする 気概が スゴイ…。
あと、「 クビ免除 」 の 「 チ○コ・チェック 」 も良かった。
面白いのが こんな ミシェル でも、まだ “父親の重荷” に苛まれて
いる ところで、
意を決した “父との対面” が 叶わなかったのが 切なくも 可笑しかったですね。
しかし、ミシェル だけじゃなく 他の人たちも、
自分の “想い”、“信念” を貫こうとし、
また “願望” や “欲求” を 叶えようとしていて、結構 「 自由 」 でした。
敬虔な ミシェルの父 ( 監督曰く、“パラノイア的な宗教者” ) は、
“自分の信仰を押し付け”、子供たちへ “宗教行為”( 十字を切る )を
行っていたし、
( 批判され “逆ギレ” したわけですが… )
同じく 敬虔な レベッカ も、「 神 」 を 信じ ( そして 沈黙 していた )、
ゴミ分別 違反者への “罰金に反対” していて、
ミシェルの母 は 若い恋人を 作り、プチ整形 も。
あと ミシェルの息子、ヴァンサン が ジョジー との 結婚( 同棲?)
を 望んだ理由も、優しい ( お人好しな ) “想い” からでした。
けど、みんな 自身の 信念や 欲求に 素直で、利己的で
人間らしく 愛らしい。
まあ、そんな “考え方の違い” は、時に 他者には 理解されず、
嫌悪感 も 与えるけど。
そして 「 自身の願望( 欲求 )」 には 「 邪な願望 」 もあり、
それを 叶えていた のが 犯人 だったわけですね。
( でも 性嗜好障害?に該当しそうだから 意味合いが 違うかな? )
面白いのが ミシェル自ら 犯人 と 関係を 結ぶところ。
終盤、「 他の被害者 」 を思い、さすがに 考え直す場面 は
「 早く それに 気づけよー 」 と ツッコミを 入れてしまいました。
最後 ミシェル は、嫌いな 父の願い を ( 一応 )叶え、
息子の考え も 受け入れ、
アンナ も 寛容さ を示し 良い エンディング でした。
( ロベール は 追い出されたが )
主人公や 他の人物 に “共感できない” 所が 多い のですが、
それは 今作が “共感を得る” 話じゃなくて、
他者との “考え方の違い” からくる、“葛藤” や “憤り” と
“向き合い方” の話 だからです。
( そもそも ヴァーホーヴェン が 監督 だからな~ )
雑誌インタビュー で 監督は
「 お手軽な “理解” や “共感” は 思考停止 に結びつく 」
と 言っているし。
あと 監督 は、
「 登場人物に 共感できないのと、その作品が 面白いか どうかは
関係ない 」
とも 言ってます。
なので 「 共感できない 」 との 感想は 正しく、本質( テーマ )は
その先の、
「 共感 できない、価値観が違う 相手と どう向き合うか、やっていくか 」
なんですね。 ( 多分 )
まあ、私は それとは あまり 関係なく 「 ブラック・コメディ 」 として
楽しみましたが。