『 17年版 』 と 『 64年版 』 の 「 ダンケルク 」 2作品。
キーラ・ナイトレイ 主演 『 つぐない 』※(07年) は、
後半 戦争に 突入する のですが、 終盤間近に
海岸で 意気消沈した 兵士達の 映像が かなり 長く流れます。
この場面、強く印象に 残っているのですが、状況が よくわかりませんでした。
しかし、雑誌記事で わかったのですが、この 場面は 「 ダンケルク 」 で
打ちひしがれる 兵士達 だったんですね。
なので 「 あの “悲壮感” 再び 」 と、楽しみに して 観ましたが…。
( ※ タイトルに反し、“償っていない” ドンデン返し? に 驚愕しました )
「 ダンケルク 」 (英/仏/米/オランダ・2017)
クリストファー・ノーラン 監督。
「 浜辺パート 」 は 思いのほか エンタメ で驚きましたね。
冒頭、兵士から 撃たれつつの 移動、 担架サスペンス(?)、
空から 桟橋への 爆撃 & 機銃 攻撃、
沈む船からの 脱出と、なかなか 楽しかったし、
商船内 での 「 穴塞げ 」、「 船下りろ 」 の 小競り合いも 人間臭くて
チョット笑えて 良かったです。
「 海 ( 救出船 )」 パート は、
ただ 目的地に向かい、救助するだけで、地味だと思ったのですが、
以外にも 「 人間ドラマ 」 が 濃かったな~。
ここでも イギリスへ 「 帰れ 」、「 帰らない 」 の やり取りが
戦場の過酷さ( トラウマ ) を 表していたし、その後の 事故死 も
やるせない。
( イギリス流の ブラック・ジョーク かと思いましたが… )
マーク・ライランス が 渋い名演 で、オイシイ役 でした。
「 空パート 」 は、臨場感ある 視点、空中戦が 気持ちよく、
並んで飛ぶ 「 スピットファイア 」 が優雅でした。
あと 溺れる人たちが、広く 美しい 海面との 対比で、無常感を
強く感じ、印象に 残ります。
終盤の トム・ハーディ の やり切った顔 も 印象的。
雑誌記事に よると、「 スピットファイア 」 は 富豪所有の 実物 で、
機体の塗装 も再現され、
「 メッサーシュミット 」 は スペインの 「 イスパノ 」 という機体のようです。
「 スツーカ 」 と 「 ハインケル 」 は 大型のラジコン のようですが、
違和感は 全然 感じませんね。
まあ、機体自体 良く知らないんだけど…。
( 後から 画像検索 しました )
個人的には 思ったより 「 エンタメ作品 」 でした。
3つのパート の 時系列の違いも “エンタメ・サスペンス的” だし。
( 実際は 作家性の表れ ですが )
でも、不思議と エンタメ的な カタルシス は感じませんでしたね。
「 人間・ドラマ 」 としても
「 助かりたい者 」、「 助けたい者 」、「 守りたい者 」 を 各自の行動で
描写していて 結構 高く感じました。
でも、一番楽しみにしていた “悲壮感” は感じず、そこは残念。
「 ダンケルク 」 (仏/イタリア・1964)
アンリ・ヴェルヌイユ 監督。
邦題は 「 ダンケルク 」 だけど、近くの(?)「 ズイドコート海岸 」 が
舞台で、こちらは “フランス人 視点” です。
( 原題 『 WEEK-END A ZUYDCOOT 』 “ズイドコートの週末” )
OP後の タイトルバック が フランスっぽくて?オシャレ。
1940年、6月1日 から 始まります。
( 「 ダイナモ作戦 」 終了は 6月4日 )
主人公・マイア( ジャン・ポール・ベルモンド )が、仲間の兵士3人 と
海岸へ 赴くと、ズラッと 兵士達が 並んでいるのですが、
この 光景は 『 17年版 』 よりも 人数を 多く感じ、イイ雰囲気 ですね。
しかし、マイア 始め、他の フランス兵たち も、軽口、ユーモアが
多く、“コミカル な面” を 強く 感じます。
戦場場面は、 間欠的な 砲撃、 戦闘機による 爆撃、機銃掃射
が 回数も多く 恐怖も感じ、 迫力が ありました。
今作でも 戦闘機 「 メッサーシュミット 」 は 「 イスパノ 」 のようです。
『 17年版 』 は 「 スピット~ 」 が カッコ良かったけど、
ここでは 連なって飛ぶ 「 メッサー~ 」 が 脅威的で 怖・カッコイイ。
あと、海岸だけ じゃなく、町や 病院も 映り、被害の状況が 窺えるし、
『 17年版 』 に無かった、多数のケガ人、死体も しっかり 映っていて、戦場の臨場感も ありましたね。
海岸近くに住む、ジャンヌ ( カトリーヌ・スパーク )との ロマンス?も
良いアクセント で、
それだけに とどまらず、しっかり “戦場の暴力” も 描いました。
でも、終盤 間近の マイア を誘惑する ジャンヌ に 笑ってしまい
ましたが。
あと、戦闘機から 脱出し、パラシュート降下する ドイツ兵 を、
多くの 英仏・兵士達 が
“一斉射撃” する場面は “戦争の狂気” を感じますし、
その後の マイア の セリフ、
「 ムカつく ・・・ 誰というわけではないが・・・」
が 虚しくて 心に響きます。
反対に、冷たい(?)イギリス人の中、フランス人妻 への
英・ロビンソン大尉 の “優しさ” には グッと きますね。
でも その後、無常な展開になり やりきれないですが…。
そして 6月2日 になり、
命からがら 生き延びた マイア が発する
「 本当に 地獄ってあるんだな 」 のセリフが 重く 切ない。
ラストの マイア しかいない海岸への 大量の爆撃は
「 戦争の虚しさ 」 を 物語っているのかな?
『 64年版 』 は、ユーモア のある セリフが多いですが、それは
戦争という 不条理への 「 抗い 」 や、「 正気を保つため 」 でも
あるんだよな~。
( そのためか “悲壮感” は そんなに感じず )
そんな マイア の飄々とした セリフが 可笑しくも 切ないんだけど…。
というわけで 個人的意見で まとめると、
『 17年版 』 は 「 スピットファイア 」 が カッコよく、エンタメ度が 高く、
人間・ドラマ もある、結構 バランスのとれた 作品。
『 64年版 』 は ユーモアを 交えて 戦争の不条理を 描き、
爆発が 派手で 戦場らしい描写も 多い、ブラック・コメディっぽい作品…かな?
私は 『 64年版 』 の方が 好みで、面白かったですね。
( ダンケルク じゃないけど… )
あと、作品と 関係 ありませんが、
『 64年版 』 の ジャンヌ 役、カトリーヌ・スパーク は その後、
D・アルジェント 監督の サスペンス・ホラー、
『 わたしは目撃者 』(71年)に 出演しますね。
ダンケルク映画 は もう1本(?) 『 激戦ダンケルク 』(英・58年)が
あり、こちらも 気になります。