「 赤い影 」 (英/イタリア・1973)
ニコラス・ローグ 監督の オカルト・サスペンス 作品。
ダフネ・デュ・モーリア の短編が 原作。
イギリス。
歴史的建造物を 修復している ジョン は、自宅で 資料を見ていた。
不吉な予感を覚えた ジョン は外に出て、「 赤いレインコート 」を着て川で 溺死している 娘・クリスティン を発見する…。
しばらくし、娘 を失った 喪失感が 消えない 妻・ローラ を連れ、
ジョン は 教会修復のため イタリアの ベニス へ赴く。
その ベニス では 連続殺人事件が 起こっていた…。
レストランで ローラ は 霊能力を 持つ 老姉妹と 出会い、老姉妹 から
「 娘は近くにいる 」 と言われ、後に 「 ジョンの命が危ない 」 とも言われる。
そんな ジョン は、 “赤いコートの人物” を目撃し…。
ジョン 役、ドラルド・サザーランド。
ローラ 役、ジュリー・クリスティ
「 ホラー映画 」 としては 結構 有名な 作品ですが 未見でした。
「 TSUTAYA 」 に 「 発掘良品 」 として 入っていたのは 知っていましたが、
雑誌記事で ほとんど 内容を 知っていたので なかなか 観る気が
起こらず…。
でも、いいかげん 観ておこうと思い、鑑賞。
公開当時、夫婦役、D・サザーランド、 J・クリスティ の
過激な ベッドシーン が 話題になったようですね。
この作品は、カットバック による “霊視” 演出が 多い 「 霊能者モノ 」 作品で、
もう一つ 「 ホラー要素 」 があり、「 ミステリー 」 要素 も あるのかな?
あと、「 夫婦ドラマ 」 としても よく出来ていたし、主演 2人も 良かったですね。
序盤、川から 娘 を抱きかかえる D・サザーランド の演技は アドリブ
なのですが、
悲痛さが すごく伝わり 素晴らしかったですね。
そして 夫婦のベッド・シーン ですが、
前の場面でも 2人は裸 になってるし、ベッド・シーン も 4分くらい? と長いです。
でも、カットバック で 「 2人の身支度 」 が挿入されているせいか、
個人的には そんなに エロくは なかったかな?
あと、音楽も 朗らか?だったしな~。
監督曰く、“日常” を撮りたかったようだし。
( 音楽は ピノ・ドナジオ この後 デ・パルマ 作品を 多く手掛けます )
ホラー的な 演出と 描写は、
幻惑的な カット、 迷路のような ベニス や、
画面に映える 「 赤色 」 など、“不穏さ”、“不気味さ” は ありました。
特に、最後の “追跡” や、「 廃豪邸 」の スモーク は 雰囲気たっぷり で 盛り上がりますね~。
その 追跡場面の “赤いコート” の くだり の緊張感も スゴく 良いけど、
さらに その先の 走馬燈のような “愛も 恐怖も 混じった” 描写が
儚くて 印象に深く残ります。
でも、昔の映画らしい 「 雰囲気 映画 」 で、怖くはない ので、
“恐さ” を求めると つまらないかも しれません。
私は 凝った映像演出 が 好きなので、
内容、オチを 知っていたにも 関わらず、とても 楽しめました。
なので、興味がある方は 情報を入れないで 鑑賞してもらいたいですね。
ここから 簡単な ネタバレ。
( それでも 長いです… オチ が気になる方は どうぞ )
上記のように 映像演出が かなり重要なので、文章だけ 読むと
ホラー映画的に ( オチも含め ) 結構 普通の話 です。
冒頭( プロローグ )は、「 雨 」 のカット( タイトルが入る ) で始まり、
次いで 「 窓の格子戸 」。
そして 外で遊ぶ 娘と 息子、仕事をしている ジョン 、ローラ が
カットバック で描かれます。
ジョン が見ている 「 教会内部の写真 」 には、「 赤いフード 」 が映って
いて、
そこに 「 血のようなもの 」 が付き、広がります。
( ローラ には “血” は見えないようだ )
さらに “娘の事故” と、息子が自転車で “ガラスを割った” こと を
ジョン に 「 知らせるような事 」 が起こり、
不穏を感じた ジョン は 外に出ていき、溺死した 娘 を見つけます。
ベニス に移り、
ローラ と 老姉妹( 目が悪い 妹・ヘザー が霊能力者)との トイレ場面 では、
トイレに もう1人 “女性” がいますが、ローラ には “見えない” 様子。
しかし、ヘザー だけは 気づいてるっぽい 描写があります。
前半に わかりますが、ジョン は 「 霊能力?がある人 」 で、
ローラ は 「 無い人 」 なんですね。
でも ジョン は それを 受け入れて( 信じて )いません。
あと、冒頭の 「 雨 」 は ベニス に行くため 家を出た時の 「 雨 」 で、
「 格子戸 」 は ベニスの 「 ホテルの 格子戸 」 だと わかります。
多分、ジョン が “予期した” 描写なのかも…。
夜になり、食事のため ホテルを出た 夫婦が 道に迷い、
ジョン が 「 赤いコートの人物 」( 以下 “赤コート” ) を目撃します。
( 邦題 『 赤い影 』 が秀逸 原題は 『 DON’T LOOK NOW 』 )
そして 中盤。
ローラは 老姉妹に 傾倒 気味に。
ジョン は仕事中、事故で 落下しそうになり、老姉妹の “忠告” を
気にしだします。
さらに 自身も 「 落下した自分 」 を “幻視”。
後半。
ジョン は 息子のケガで 帰国したはずの ローラ が、老姉妹と 船に乗っているのを 目撃し、
彼 は 警察署へ行き 老姉妹 を捜すよう 要請します。
ジョン は 老姉妹 と 殺人事件 が 関係していないかが、気がかり(?)のようです。
そして 自身も 老姉妹 と ローラ を捜すが 見つからず…。
その 捜索中、
一瞬 川面に “水面に映る 「 赤レインコートの娘 」” を 幻視 した後、
チラッと “赤コート” を見かけます。
その後、電話で ローラ が ちゃんと イギリス に居る事がわかり、
ジョン は 警察署にいた 老姉妹の妹・ヘザー を ホテルに 送り届けますが、
部屋で ヘザー が 突然 “霊視” します。
しかし、「 信じていない 」 ジョン は、それを 無視し ホテル を出て
歩きますが、
一瞬、“水面に映る 「 赤レインコートの娘 」” を 幻視し、その直後、
“赤コート” を見かけます。
( 少しして、帰国し 老姉妹を 訪れた ローラ が ジョン を追います )
この “幻視” で、「 信じていない 」 ジョン が、
「 もしかして 娘なのでは…?」 と、少し 思い始めるのですね・・・多分。
そして ジョン は、見るからに 子供の “赤コート” を追いかけ、
そして 「 廃豪邸 」 に入った “赤コート” を さらに 追い、
ついに 追い詰めます。
( ここで 原題、『 DON’T LOOK NOW 』 が 頭を よぎりますね~ )
そして 背中を向けていた “赤コート” が ジョン の方を 振り向きますが、
その顔は “老婆のような容貌” でした。
( ネットに 画像あります 結構 かわいい? )
そして “赤コート” は ポケットから 刃物を取り出し、ジョン の首を切ります。
そして 苦しむ ジョン の足が “ガラスを壊し”、そこから
“血が したたり 広がって” いき、
ジョン は 今までの事を 走馬燈のように 思い出し、亡くなります。
“赤コート” は 連続殺人事件の 犯人 でした。 ( 動機不明 )
そして 「 廃豪邸 」の門の前では、ローラ が 「 ダーリンズ 」 と叫ぶのでした…。
最後は、船( 霊柩船?)で 「 ジョンの葬儀に向かう ローラ 」 で 終わります。
プロローグ で ジョン が “見た” 出来事 は、「 娘の事故 」の “暗示” と、
「 自分の死 」 の “暗示” です。
( 息子が割った ガラス、 写真に写った 赤いフード、 広がる血 )
ジョン が見た、船に乗っていた “帰国したはずの ローラ” は、
彼 が “予見” した 「 自身の 葬儀場面 」 でした。
ジョン が 老姉妹 と 殺人事件 の繋がりを 危惧していたのも、
“赤コート” が “老婆の容貌” だったから・・・多分。
警察署で、「 女性は 歳を取ると 顔が似てくる 」 みたいな セリフが あったし…。
作品のテーマの 1つは、「 見た目通り とは 限らない 」 ですが、
ジョン が 老姉妹 を捜している時 “幻視” した 「 赤レインコートの娘 」 は、
“水面に映った姿” でした。 ( なので 上下 逆さま )
つまり、“鏡像” = 「 似ているけど 違うぞ 」 という、警告 だったのですね。
終盤、“赤コート” を追いかける前に 一瞬 幻視 した
「 赤レインコートの娘 」 も、 “水面に映った姿” です。
結局 ジョン は 「 自身の死 」 を回避できなかった という、悲しい結末ですが、
監督 としては 「 宿命 」 の話として 描きたかったみたいです。
あと 終盤で、
ローラ が門の前で 「 ダーリン 」 を “複数形” で 叫んでいるのは、
「 最愛の 家族に 向けて 」 の叫び だから みたいです。
なので、この作品は 「 家族の話 」 でもあるんですね。